La Tupina/ボルドー

ボルドーにある老舗有名レストラン、La Tupina(ラ・トゥピナ)。外国語を日本語表記するとき、スペースをスペースのまま記載するのか、スペースを無視するのか、はたまた「・」を打つべきかいつも悩む。
ヘラルドトリビューン誌の「世界の美味しいビストロ」で2位に輝いた実績を持ちます。シラク大統領がメージャー首相を招待した舞台としても有名。
エントランスを抜けるとすぐに現れる古風なグリル。薪の炎。滑車と錘で動くローストマシン。都会の生活に憧れているくせに、原始的な調理場に直面すると心が躍るのは不思議なものです。
いつも通り一番乗りだったので、好みの席を選ばせてもらえることに。テラス席も魅了的だったのですが、前の道を車がビュンビュン通るのでちょっと怖い。少し距離を取ってバルコニー席へ。

それにしても欧米人はテラス好きですね。そこでヨーロッパ人は未だにタバコを良く吸う。すなわちバルコニー席はテラス席から煙が流れてくるのが困る。いっそのこと、タバコの葉ではなく桜チップを吸ってくれれば燻製っぽくて風流なのに。
お通し。パテの脂に甘味があり、猛然と食欲を掻き立てられます。先日、米パデュー大学の研究者が、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に続く第6の味覚として、オレオガスタス(oleogustus)と呼ばれる脂味があることを立証して話題となりましたね。
普通のパンであるものの、前述のパテの味が濃く、ついつい手が伸びてしまう。
ゆうべのLe Bistro du Sommelierに比べるとワインは割高に感じますが、東京に比べれば納得感のある値付けだったのでコチラ。注文して良かった。私の好みに合致しました。
フォアグラのテリーヌが巨大すぎて白金高輪コートドールの記憶を惹起させます。
連れのイカをつまみ食い。塩気が強いものの、このようなテイストの皿をしばらく食べていなかったので好印象。安物の白ワインで良かったなこりゃ。
本日のオススメは仔牛とのことだったので誘われるがままに注文したのですが、想像以上に凶暴サイズでした。400グラムぐらいあったはず。牛の子供であっても牛は牛なので小さいとは限らないというかカットに拠ることをすっかり忘れていました。柔らかく甘みも感じられ、老舗の面目躍如たる火入れも心地よいのですが、いかんせん量が多すぎて飽きが来る。
弱火でじっくりと揚げられた山盛りのポテト。滋味に溢れホクホクと美味しい。タケマシュラン・フランス・ベスト・ポテト賞を差し上げます。
連れは「古臭いフレンチは飽きちゃった」と言い放ち、リガトーニにフォアグラソース、ベーコン、マッシュルームというイタリア寄りな注文。こちらもうんざりする量で、しかもホーロー鍋に入ってくるものだからテーブル上でもどんどん火が通ってグデグデになってしまうのが何だかね。
また残酷な残飯がやって来る。覚悟していた通り、「もういいや。あげる」と日本のレストランであれば2人前ぐらいの量が残ったまま引き継ぎを命じられる。それにしても濃い。塩も旨味も脂も色々濃い。

さすがに食べ疲れたのでデセールも食後の飲み物も全てパスしました。寒い土地の冬にあたたかい室内で食べる料理でしたね。夏のバルコニーでの食事にはそぐわないラインナップ。

それにしても、こんなにも重い食事を21時からちんたらちんたら楽しんで、ごちそうさまは23時過ぎ。家に着いたら0時。それから寝る準備やらなんやかんやして、どうがんばっても就寝は1時過ぎでしょう。フランス人のライフスタイルがよくわからないなあ。


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