小笠原諸島 vol.1~おがさわら丸~

地中海クルーズで船旅にすっかりハマり、北欧クルーズクリスマスクルーズカリブ海クルーズと毎年テンポ良く楽しんでいます。今回は東京から1,000km離れた小笠原諸島へ26時間の船旅!
小笠原と東京を結ぶ唯一の交通手段「おがさわら丸」は芝浦から出港します。そう、本来、港とは市街地の近くであるべき、というか港のそばに街が形成されているのだから、成田とか関空は色々間違っている。
ちなみに小笠原には飛行場がなく、どれだけお金を積んだとしても船で東京から26時間かけて行くしかないのです。しかも週に1回しか運行していないので、その間は絶対に滞在し続けなければならないという不便極まりない世界遺産。したがって、盆暮正月GWはプラチナチケット化するのです。実際、私も予約開始日に86回かけてようやく繋がりました(写真と本文は関係ありません)。
レインボーブリッジの下をくぐり、羽田わきを通り、大海原へ!
船内には売店がひとつだけ。パンやお菓子、雑誌などが律儀に定価販売。
カップラーメンの自販機はどれも200円弱と良心的。
ご丁寧に給湯器まで。そう、おがさわら丸はクルーズ船ではなく、島民の足として機能するものであるため、ヘンにボったりしないのです。ハイシーズンだからって値上げもなし。
だがしかし「船内で焼き上げたアップルパイ」は全然美味しくなかった。コンビニのほうがマシ。全員が不幸となる無駄な努力である。
レトロなモナカにもつい手を出してしまいましたがイマイチ。やはりリゾートではないこの船は。電車と変わらない乗り物と捉えましょう。
甲板で景色を眺めたり、お菓子を食べたり、船内を散策したりしていると、あっという間に日没。
レストランはセルフサービス。とにかく動線とオペレーションが悪くイライラしましたが、GWという異常な時期を想定して設計されたものではないのだから仕方がありません。
「ナンコツ入り鶏つくね重」なんじゃこのビジュアル1回死んでこい。味も食えたもんじゃない。これで1,100円は暴動が起きるぞ近いうちに。そういえば、これまでのクルーズ船と異なり、乗船時にX線での荷物検査がありませんでした。簡単にシージャックできますよこの船。

そういえば、なんでハイジャックってハイジャックって言うのスカイジャックじゃないの?とかねてから疑問に感じていたのですが、ウィキペディアさんによると「対象が船でも車でも、乗り物を乗っ取る行為はすべてハイジャック」とあり、「シージャックやバスジャックは和製英語」とのことでした。
閑話休題。連れの鶏の唐揚げもデロデロの油でアウト。さらに彼女は船酔いでエグっており、私がほぼ2人前平らげるという結果に。
予約できたチケットは2等船室。個室の船室から埋まっていくので、86回目の私にはこういうお部屋がお似合いです。でも、見かけよりも快適でした。みんなゴロゴロ寝転がって本を読んだりトランプしたりと、学生時代の合宿を思い出す。

シャワーなどもあるのですが、タオルを干したり着替えを出したりするのが面倒なのでパス。簡単にメイクだけ落として歯磨き。22時消灯。囚人かよこんな時間に寝れねーよと思いきや、しっかり眠れるものですね。
翌朝は6時に照明が点くため強制的に起きることになります。連れは引き続き船酔いに苦しんでいるため、横になるのが一番と優しく放置。私は「船内で焼き上げたクロワッサン」を求めにラウンジへ。こちらはアップルパイほど悪くなかった。
そうこうしている間に父島到着。基本的に分厚目のストレッチマットみたいなのに寝たきりであるため、ヨーロッパへエコノミークラスで向かった場合と同等の疲労感があります。あ、これ、船酔いしない場合でね。船酔いする人はもっとツラいはず。
お出迎えの皆様。週に1回のイベントだし、食料などの生活必需品もあわせてやってくるので、ちょっとしたお祭り騒ぎ。

覚悟していたよりも近く感じました。意外な快適性は、乗船客のほとんどが機能的な青年であることから来るのでしょう。俊敏性に乏しい年配者や制御不能な乳幼児はほとんどいない。外国人の姿もほとんどなく、英語での案内も皆無。そういう意味では非常に門戸の狭い世界遺産と言えます。

私にとってはそう悪くない船旅で満足しているのですが、今後、この船はどこへ向かうべきなのか。再優先はアクセスの改善、すなわち飛行場の設置または超高速船の就航。老若男女みんなたちがそれぞれに楽しめるような観光地になれれば良いのにな。


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国内旅行もすごく大事にしています。なんてったって安い。みんなハワイなんか行くだけでなく、日本の名所と美食を巡る人生の豊かさも知って欲しいな。