麺や 維新/目黒

目黒駅から目黒通りを白金方面に徒歩5分で辿り着く「麺や 維新」。もともとは横浜にあり私もお邪魔したことがあり、十数年ぶりの邂逅です。横浜のお店は少しコンセプトを変え「横浜中華そば 維新商店」として現在も営業中だそうです。
店内は奥に長細く、途中でテトリスみたいにジグザグになってます。1席ごとにパーティションが設けられ、孤食黙食率高め。ちなみに当店は「ラーメンの鬼」であるムッシュ佐野実の一門です。
私は「特醤油らぁ麺」を注文。1,100円です。見た目綺麗なラーメンで、味わいも凄くキレイ。透き通ったスープは鶏ガラがベースで魚介の風味も感じられます。メンマやワンタンもソフトタッチで優しい味わい。
麺は素麺を強くしたようなツルンとした食感。最近はゴワゴワした食感の麺が流行りではありますが、スープ同様に育ちの良い味わいです。肉は2種類あって、しっとりとした鶏肉に凝縮感のある豚チャーシュー。完成度の高い味玉も含め、トッピングだけで飲み会したいクオリティです。
ランチタイムは「豚飯」が150円で注文できます。この豚肉が旨くって、ほどよく脂がのりつつもバーナーでブワーっと後焼きしているので、心地よい香ばしさが楽しめます。
連れは「わんたん麺」を注文。やはり見た目が美しい。
一番安い「醤油らぁ麺」が800円と強気な価格設定ですが、食べログ百名店にも選出されていることですし、東京の人気のラーメン屋としてはまあ、こんなもんでしょうか。あっさりとキレイなラーメンなので、飲んだ後の〆などにも良いかもしれません。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE、夕食)/七尾(石川)

七尾市(能登半島東岸の込み入った湾あたり)の市街地から更に秘境へと移転した「ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)」。この度は1日1組だけが宿泊可能な施設を併設し、オーベルジュとしてリニューアルオープンしました。
夕食の時間になりレストラン棟へと移動。もともとは海水浴場だったビーチに面しており、きらきらと輝く海辺の眺望を独占できます。

平田明珠シェフは東京都出身。都内のイタリア料理店(どこだろう?)を経て七尾市へ移住し当店を開業。RED U-35(若手料理人の大会)でも表彰され、Gault & Millauにも毎年掲載されています。
まずは蕎麦がきで内臓を温めます。地元の蕎麦粉を用いており、また、スープには動物性のお出汁を起用しており、蕎麦がきの新しい食べ方です。
ワインリストを確認すると中々マニアックな品揃えであり私の手には負えないのでソムリエに全てお任せ。ペアリングにつき、基本は9千円前後だと思いますが、ゲストの好みや肝臓の性能を汲みながら自由自在な提案をしてくれました。
シャンパーニュと共にアミューズを。うわーお、めちゃんこ手が込んでいます。イタリア料理店でここまで創意工夫が凝らされた突き出しは初めて。クジラのレバーペーストだなんて斬新すぎ。
イカと山菜。新鮮なアカイカにラルド(豚の脂の生ハム)ならびに昆布を薄く薄く挟み込み、くるりんちょと巻いています。ちなみに当店は山菜を多用するのですが、そのきっかけが「昔は金が無く仕入れに困って山に向かうしかなかった」というエピソードが個人的にツボ。
東京の人にはあまり知られていませんですが、このあたりは日本でも有数の牡蠣どころ。近場の生産者から手に入れた上質な牡蠣を、これまた近くで獲れた七面鳥のお出汁と共に頂きます。海の幸と山の幸が邂逅する瞬間。
ワラビを大量に用いてジェノベーゼソース風に。試みとしては悪くないのですが、ちょっとパンチが弱いかなあ。チーズやらニンニクやらもっとどぎつい調味のあるパスタのほうが私は好き。
パンは「月とピエロ」という、近所の凝りに凝ったパン屋のものを採用。これが、旨い。とりわけ全粒粉のパンなど穀物の複雑な味わいがしみじみと上手く、それだけでひと品として成立する美味しさでした。
ラザーニャには前述の七面鳥の肉がたっぷりと詰め込まれているのですが、これはべらぼうに旨いですねえ。猛々しい肉の味だけでなくシイタケの複雑な風味も強く、色んな味がする。本日一番のお皿でした。
「畑」と題した一皿は40種類ほどの野菜が詰め込まれています。野菜の美味しさはもちろんのこと、右手前の味噌をアクセントにザクザクと食べ進めていくスタイルがすごくいい。ガルグイユみたいにスープで馴らしちゃうと味が均一になってしまいがちなので。
ズッパディペッシェすなわちイタリア風お魚のごった煮です。これでもかというほど磯の風味が凝縮されており、七尾湾の海の幸と濃厚接触。あまりにも色々濃いので赤ワインが進むほど。
メインはクジラ。え!クジラ!?鯨料理専門店ならまだしも、イタリア料理店で、いや、飲食店においてクジラをメインディッシュとして食べるのは初めてです。しかもコレ、決して企画モノというわけではなく、メインディッシュとして相当に美味しく、まるで上質な馬肉を精魂込めて焼き上げたかのような味わいです。すげえなあ。大きめの店なら会議室レベルで却下されるだろうなあ。この蛮勇とも言える試みをやり切る姿勢に拍手喝采。
デザートひと皿目はフロマージュブラン。北陸のチーズ工房への特注品であり、フレッシュチーズでありながらミルクのコクが深く感じられる逸品。当店の料理は厨房で行われているのではなく、生産者とのコミュニケーションから始まっているのだ。
続いて「ボネ」。イタリアのピエモンテ州に伝わるチョコレート風味のプリンです。その濃厚な味わいの余韻を小ぶりのイチゴがスパっと切っていくのが心地よい。すげえなあ、イチゴまで採れるんかこのへんは。
挽きたて淹れたての上質なコーヒーと共に、これまた丹精込められたお茶菓子を。

以上を食べ、お料理だけだと1.3万円、ワインペアリングを付けても2万円と少し。気が遠くなるほどの費用対効果の良さです。コスパはさておき、料理や接客だけを取り上げても日本トップクラスの素晴らしさであり、そのスケールはイタリア料理という枠組みを超え、七尾とかあのへんの美味しいものを丸ごと楽しむ食体験。
なるほど「Discover Japan 2021年5月号」で10ページにわたって当店が特集された理由がよくわかりました。東京に世界の食材を集めるなんて野暮。獲れたての食材をフードマイレージゼロで個性的に仕上げていく。利賀村に移転した「レヴォ(L'evo)」にせよ、美食の未来とはこういった試みから始まるのかもしれません。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

恵比寿えんどう/恵比寿

恵比寿駅の西口を出て坂を上がったビルの最上階にある「恵比寿えんどう」。キムチの美味しい「韓国食堂 入ル 坂上ル(いる さかあがる)」と同じビルです。
カウンター8席のみの小さなお店。最上階で窓のある変わった誂えであり、鮨屋にしては珍しく店内の採光が素晴らしい。

遠藤記史シェフはご実家がお鮨屋さんであり、18歳から25歳にかけてはイギリスにサッカー留学し、現地のクラブチームでもプレーしたという猛者。帰国後は銀座「鮨 水谷」六本木「鮨さいとう」広尾「長谷川稔」などの超有名店で腕を磨きました。
エビスの小瓶は800円、クラフトビールは千円~と悪くない価格設定なのですが、なぜか日本酒にだけ価格が記載されておらず、最終支払金額が思いがけず高くついたので、つまりそういうことなのでしょう。
てっさ。ビンビンにいかっているトラフグの刺身であり、マッチョな噛み応えを楽しみます。
ホタルイカと上等なもろみを叩いて混ぜ合わせます。大至急日本酒を注文しました。
天草産の鰻。思いきりバリバリに炙って、クリスピーな食感を楽しむ逸品。
ただのキュウリなのですが、細かく細かく包丁を入れ、塩麹とあご出汁とスダチ’(だっけ?)を用いて爽やかな味わいへと昇華させています。うーん、これが、料理だ。
カラスミは粒感がありタラコのような舌ざわり。カチカチに凝縮感のあるのも良いですが、こういった優しいタイプも良いですね。
メジマグロの炙り。これはもう、どっちゃくそ旨いですねえ。フレッシュなのにコクがあり、脂のバランスも完璧。まさにメークドラマと言える味わいです。
にぎりに入ります。まずはキンメダイ。先ほどのメジマグロに方向性が似通っており、私はときおり失神した。
マグロは中トロのみ。最近は泳ぐダイヤモンドとも言うべきマグロを連発する鮨屋が増え、結果として客単価の上昇に繋がっていると思うのですが、当店の一点集中型には好感を持てました。
ガリは歯ごたえを残すタイプであり私好み。にぎりのスタイルにつき、シャリを筆頭に全体的に小ぶりな仕様であり、色々食べたいけど量は食べれないワガママ女子などにも向いていることでしょう。
赤貝も一口サイズ。昨今は手榴弾のようなサイズの赤貝を用意することが主流となっていますが、なかなかどうして小粒に食べる赤貝も上品で美味しいじゃないですか。
クジラ。丁寧に下処理されており臭みなどは一切なく、上質な馬肉を食べているかのようです。
アオリイカもシンプルの極致ともいうべき味わい。
クルマエビもふたつにぶった切る特大サイズではなく、やはり一口で愉しむスタイル。甘味が強くバッチグー。
ノドグロもバリっと炙り、皮目のサクっとした食感からジューシーなエキスへとグラデーションを楽しみます。
ホタテの磯辺焼き。生で食べるのも好きですが、熱を入れ味わいが凝集し、それを包み込む海苔の風味も磯っぽくて魅力的。
イワシはジトっとした脂が響き滅法旨い。内側にネギ(?)が忍んでおり、イワシの余韻を上手く断ち切っています。
白エビもプリプリというよりはシットリとしたニュアンス。純白な甘味に目尻が下がる。
コハダ。このタイミングで出るのは珍しいですが、その場面に相応しい熟度でありしみじみとした味わいです。
鰻が再登板なのですが、先の鰻とは調理が全く異なりフワッフワのホロッホロでまるで別物。あちらは酒のツマミによし、こちらはにぎりにピッタリです。
巻物トロたくで。シャリ少な目の肉多めという正義の配合です。
ハマグリのお椀で〆。ごちそうさまでした。

一通りを食べ軽く飲んでひとりあたり3万円強と、思ったよりも高くつきました。それでもマグロとウニとイクラをバカみたいに盛り付けてインスタに媚びる、みたいなことはしない姿勢が好印象。最近流行のフォーマット化された鮨屋とは一線を画す、信念を感じるスタイルです。昨今の鮨ブームに一石を投じる店。玄人好み。上級者向け。同性の友人とシッポリどうぞ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。