釣亭 伝助(つりてい でんすけ)/彦三町(金沢)

金沢屈指の観光スポット「近江町市場」から徒歩数分。飲食店と住宅街が入り混じった独特の立地に開業した「釣亭 伝助(つりてい でんすけ)」。金沢では珍しくビルの地下での営業です。
店内は思いのほか広く、カウンターが6-8席にテーブル席が数卓。ワンオペでの営業なので満席になった際に処理できるのか心配になります。

濱﨑興樹シェフは能登町出身。海上自衛隊に入隊しイージス艦に配属され料理人として5年間腕を振るったというパンチのある経歴。能登の食材と酒、そして海軍カレーが自慢と、アピールポイントと満載の居酒屋です。店内には戦艦大和の模型や山本五十六の訓示など、海軍グッズが満載。
生ビールはマスターズドリームが800円とお値打ち。ラテアートみたいな絵柄はどうやって表現しているのだろう。日本酒も1合千円前後であり、中でも能登が誇る「谷泉」と繋がりが深いそうです。
付き出しに枝豆・梅干し・胡麻豆腐という夏真っ盛り3点セット。この枝豆は黒崎という産地のものだそうですが、歯ごたえがあって味覚に芯があり、びっくりするぐらい美味しかったです。梅干しの爽やかな味わいにスっと汗がひいていく。
最初のお造りはマハタ。思わず目を丸くしてしまうほどの厚切りであり、ガチっとした歯ごたえに、噛みしめるほど溢れ出る白身の旨味。のっけから胃袋を鷲掴みにするひと皿です。
続いて白えび。誰もが知る高級食材を、ピンポン玉大ほどのサイズにギュウギュウに盛り付けてくれ思わず笑みがこぼれます。もうすでに私はこの店にリアコです。
サザエも出て来ます。コリコリとした食感に奥行きのある貝の味覚。濃厚な肝と合わせて日本酒がとても良く進みました。
茄子はバリっと焼いた後にキンキンに冷やし、生姜醤油でさっぱりと頂きます。味の良さはもちろんのこと、火照った身体が心地よく冷えていくのが良いですね。
焼き物は鰻の白焼き。ちなみにこの日は6千円かそこらのコースであり、こんなに気前よく高級食材が出払ってしまって大丈夫かと心配になります。「う晴(うはる)」を思わせる肉厚な個体をバリっと香ばしく焼き上げており、その味覚の迫力に思わず圧されてしまいます。
揚げ物はなんと手羽先の唐揚げ。やはり当店は旨いもの屋であり選ぶ料理は自由自在。それでいて中々エレガントに揚がっており、純粋に油物としてレベルの高いひと品でした。
ラフテーも出てきました。とりとめのないラインナップではありますが、旨いものは旨い。こちらも泡盛ロックで迎え撃ちます。
〆のお食事はもちろん海軍カレー。海上自衛隊は金曜日にカレーを食べるのが定番だそうで、その上で艦艇や部隊によって味が異なるそうです。こちらはシェフが乗艦していたイージス艦のレシピだそうで、思いのほかシャバシャバ系でスパイスが強く、アダルトな味わいでした。
デザートに旬のスイカで水分補給。ごちそうさまでした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は1万円弱。高級食材を気前よく出してくれた上でこの支払金額は大変お値打ち。能登の旬の食材をこれだけわかり易くプレゼンテーションするのは一種の名人芸と言えるでしょう。

次回はより豪華なコースをリクエストしようかな。アラカルトメニューを好き放題食べるのも良いな。楽しみの尽きない旨いもの屋でした。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。