駿河屋(するがや)/成田

灰皿テキーラでお馴染みの市川海老蔵の屋号と言えば「成田屋」。初代の市川團十郎が成田山の新勝寺に色々とお願いしたことをキッカケに仕事が上手くいくようになったことが関係し、その屋号が定着したそうです。
さてその新勝寺すぐ脇にある「駿河屋」。厳密な創業年は不明ですが1798年の記録には既に載っているそうであり、コチラの屋号は創業者が静岡の出身だったことに因るそうです。

ちなみにこの辺りに鰻料理専門店が異常に多いのは、もともと印旛沼で獲れた川魚料理とくに鰻料理が名物の地域であり、江戸時代に成田山詣でとセットで訪れるのが流行ったからだそうです。
まともに並べば1時間待ちは当たり前の人気店ですが、そこはお店側も親切で、整理券を貰った後に成田山のお参りで時間を潰し、戻って来て整理券を提示すれば程なく席へと案内される仕組みです。待ち時間に係るストレスは一切なし。番頭さんの「おかえりなさーい」との声掛けに心和みます。
鰻料理は焼き上がりまでに20分を要するとのことだったので、「だし巻き玉子」で繋ぎます。特大サイズでその辺の居酒屋に比べると随分と良心的。ただし砂糖の甘さの強い調味であり、私の口には合いませんでした。このへんの好みは人それぞれでしょう。
「白焼」は期待以上に肉厚で、バリっと強い火力で焼かれています。外側は軽く焦げて香ばしく、身そのものはフンワリとした食感。都心の有名店の同等かそれ以上のクオリティと言えるでしょう。
シャレで「鳥重」も注文してみたのですが、これはまあ普通に美味しい程度であり、余程の事情が無い限り観光客がわざわざ注文する必要は無いでしょう。専門店の焼鳥弁当のほうが全然美味しい。
真打登場「特上うな重」。ベーシックな「うな重」が1尾のところ、「特上うな重」だと1.5尾のようです。細かな調理工程の違いは存じ上げませんが、先の白焼きのバリっと感に比べるとフワっと感のほうが支配的であり、いわゆる関東系の焼き蒸しの調理を用いているのかもしれません。個人的には西日本の焼魚スタイルが好みなので、あまり私のタイプではありませんでした。
「肝吸い」も付随するのですが肝腎の「肝」が入っていません。思わず顔をしかめると、連れが「あんたは高級店ばっか行ってるから知らんかもしらんけど、肝が入ってへん鰻屋とか普通によくあるから」と、なぜか私が非難されました。私はただ肝を食べたかっただけなのに。それだけなのに。
お漬物は自家製でしょうか。それぞれはシンプルながらバラエティに富んだラインナップであり、中々に美味しかった。
色々と書きましたが、好みの違いはあったにせよ鰻屋としては魅力的なお店でした。何より成田山へのお参りとセットでお邪魔できるというコンセプトが良いですね。成田駅から成田山にかけての参道も日本っぽくて雰囲気が良いので、成田空港での待ち時間はもちろん都心からの日帰り旅行としても楽しめるエリアに感じました。

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