つづら/小松(石川)

小松市の郊外、金沢の中心部から車で小一時間の住宅街にある「つづら」。ミシュラン2ツ星。どでかい純和風建築の一軒家であり、海原雄山あたりがたむろしてそうなザ・料亭です。真っ白な暖簾に緊張感のある打ち水。ああ、日本っていいなあ。
うひょー、なんてクールなお部屋なのでしょう。控えめに言ってあげぽよです。お手洗いも部屋に備え付けれられており、他のゲストと顔を合わせることがないのがいいですね。有名人の密会などに良いかもしれません。羽田1タミ奥のVIP車寄せからチェックインして小松空港に着陸し、そのまま車で直行すればすぐですよ、芸能界の皆さん。
まずは(フルーツの)カキにギンナン、鮎、クリ。季節感を大切にした仕立てで嬉しくなる。秋が来ました。
お凌ぎにアカイカとアマエビのにぎりずし。いずれも昆布で〆ており、濃密な甘さの奥に仄かな旨味が光ります。
お椀はノドグロにマイタケ、くるみどうふ。わほー、お椀というか何というか、最早すっごいお魚料理です。グレイテスト・ショーマン。こんなに食べ応えのあるお椀は初めてや。くるみどうふのネットリとした食感が地味にツボです。
お造りはナメラ。東京の人は食べる機会の少ない魚ですが、このあたりではバリバリに、しかも生で食べちゃいます。奥ゆかしく粘り強い味わい。とりわけ舌ざわりが魅力的。
はす蒸し。ハスとはこのあたりで言うところのレンコンであり、ミンチされおまんじゅう(?)状態になったものが密度高くビッシリと敷き詰められています。語感以上に食べ応えがあり、ドンコにアワビ、才巻海老とラグジュアリー感もたっぷり。
宮崎牛のロース。脂たっぷりで美味しいのですが、先のはす蒸しで胃袋が満たされつつあり、フラットな状態で楽しむことができず残念。
他方、イチヂクのゴマ和えは食わせますねえ。黒ゴマの芯のある風味と白ゴマの円みのある味わい。お口直しがてらスイスイと食べ進めることのできる逸品です。
お食事はサッパリとした生姜ごはん。濃いめの赤出汁にお漬物と、正統的なフィニッシュです。
デザートは何だろ。スポンジっぽい焼き菓子(?)に生クリームと欧米に寄せているのですが、あまりピンと来ませんでした。ヘンに西洋化せず葛切りとかわらび餅とかが良かったな。
お抹茶で〆てごちそうさまでした。

以上を食べ、ノンアルコールビールなどをいくらか飲んでお会計はひとりあたり2万円弱。このあたりでの食事としてはかなりの価格ですが、ザ・料亭な雰囲気でしっかりと日本料理を食べるという意味ではリーズナブル。旅行者にとっては中々アクセスが難しい土地ですが、小松空港に行く途中または帰る途中に組み込むと良いでしょう。

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