ブルペン(BULLPEN)/武蔵小山

2021年10月、武蔵小山駅から徒歩15分ほどの中原街道沿いにオープンした「ブルペン(BULLPEN)」。「りんだ」「らんまる」の姉妹店であり、その業態は何と立ち食い。開業当初はウォークインでアラカルト注文もOKだったそうですが瞬でとんでもない待ち行列が生じてしまい、整理券方式となったり電話予約方式となったりと試行錯誤中です。
名前の通り野球がコンセプトの鮨屋なので、スタッフはTシャツにベースボールキャップと部活のような雰囲気。ちねみに経営は「株式会社ショートストップ」であり、野球好きな会社なのかもしれません。ただし当店の大将は佐々木男駆(だんく)シェフであり、このあたりはちょっとバスケっぽくもある。
お酒はやや高ですねえ。缶ビールが500円にワンカップの日本酒が700~1,000円と、そのへんのコンビニで買えるものだけに、千原ジュニア缶ビール1,200円事件に理解を示してしまいます。
4千円のコースと7千円のコースがあり、我々は後者を選択。まずはマグロ。7千円の鮨としては最高レベルのタネ質であり、立ち食いで楽しむには勿体ない美味しさです。
いくらかツマミもできる、とのことだったのでカツオを。豪快に炙られた皮目がバリっと香ばしく、玉ねぎ醤油(?)の風味も食欲をそそります。
カワハギ。肝の量に瞠目。美味しさのバックビルディング現象であり、思わず日本酒を追加しました。
サンマは身と脂のバランスが良く、ややメタリックな風味が心地よい。加えて当店はやはりシャリが美味しいですねえ。羽釜で高温短時間で一気に炊き上げ、骨格のある赤酢でガガガと仕上げています。
またガリも2タイプ用意されており、左翼でシャクシャクと歯ごたえを楽しみつつ、右翼で酢の風味を堪能しました。
のどぐろ。繰り返しになりますが、7千円の鮨としてはかなり気前の良い打線であり、ぼってりとした脂で思わず頬が緩みます。
エビにウニ。「インスタ映え意識しますね!」と盛りに盛ってくれ、至福のひととき。
ブリ。ノドグロと方向性が似た味覚であり、ぬらぬらとした脂が堪りません。
こちらはブリをなめろうで。にぎりとはまた違った調味であり、ブリのポテンシャルを感じさせてくれる逸品です。
エビは面白いプレゼンテーションで登場。エビの甘味とシャリの酸味が心地良く溶け合う。
赤貝は特に印象に残らず。隣客が食べていた別コースのホタテのほうが美味しそうでした。

ところでこれはイケメンすぎる私が悪いのですが、隣のギャルが所々わたしに絡んで来るのでワンチャンあるかもしれんという気分になり、落ち着いて食べることができませんでした。一斉スタートの一体的でフレンドリーな雰囲気も相俟って、爆美女だとナンパされかねない空間なので、隙を見せないよう気を付けましょう。
こちらは生のイクラでしょうか。くどいと感じる部分は一切なく爽やかな味覚。これならいくらでも食べることができます。
トロタク。シャリは少なく殆どマグロという嬉しい配合。磯の風味の強い海苔がスタイリッシュです。
ゴボウ。軽く繊維を残したコリコリとう食感が楽しい。ゴマの香りも良く、酒を呼ぶ箸休めです。
〆の巻物にはマグロがたっぷり。四捨五入すると実質マグロといったマグロ量であり、品の良い酸味が舌先で心地よく溶けていきます。
お椀が美味しい。麦味噌仕立てのコッテリした味わいであり、西日本の贅沢なお雑煮でも食べているかのような満足感があります。
穴子でフィニッシュ。表面が軽く炙られており、最後の最後まで食欲が煽られます。
いくらか飲んでツマミを追加してお会計はひとりあたり1万円強。当初の予定よりも高くつきましたが、当初の期待よりも全然美味しく、このクオリティであればむしろ割安と言えるでしょう。

ただ、鮨として普通に美味しすぎるので、やはり着席してゆったり食べたかったなという気持ちが強い。「鮨屋とんぼ」のような価格帯とスピード感であれば立ち食いでも全然良いのですが、やはり2時間立ちっぱなし(本当は1時間のはずですが、この日の最終回だったためゆったりとした進行でした)で旨いものを食べるというのは生理的に矛盾しているような気がしました。

沸騰した人気が落ち着いて、予約ナシのウォークインでアラカルト注文ができるようになった際に改めてお邪魔したいと思います。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。