ラ・クロシェット(la clochette)/羽咋(石川)

石川県は羽咋市にあるミシュラン1ツ星フレンチ「ラ・クロシェット(la clochette)」。公共交通機関でのアクセスは難しいですが、田んぼの中にポツンと佇む情景は唯一無二のものでしょう。雪が積もったりすると、よりクールかもしれません。
入り口のドアを開くとカランカランと鐘が鳴り、店名の「小さな鐘」に因んでいます。建屋は瓦屋根で独特のエクステリアなのですが、内装は窓が大きく健康的な雰囲気。

橋田祐亮シェフは東京都出身。東京やフランスの名だたるレストランで腕を磨き、帰国後に奥様(彼女も料理人だ)と共に2015年に「夢喰庵」オープン。2017年に移転リニューアルの形で当店を開業しました。
私は運転があるので飲みませんでしたが、連れが注文した「ワインペアリング」が風雲急を告げる展開。「シャンパーニュです」とお出し頂いたグラスがチリ産であったり、南仏のどす黒い赤ワインがキンキンに冷えていたり、ペアリングとは思えないほど気前の良い注ぎっぷりであったりと、良くも悪くもワインについてはド素人です。きちんとしたワインと共に料理を楽しみたい方は持ち込みでどうぞ。できるかどうか知らんけど。
アミューズは能登豚のパテにローズマリー風味のポテトチップス(?)。土台のしっかりした味わいであり、泡に合いそう。
フォアグラのムース(?)に七尾産のカツオのタルタルをタコススタイルで。ひと口サイズながら凝りに凝った味わいであり、ガチプロの香りを感じます。
能登島産のウニ。凝縮感のある味わいであり、羽咋産のカリフラワーのババロアの土っぽいニュアンスに良く合います。
パンは2種であり、いずれも素朴な味わいですが、全体を通してコッテリ目なソースなので、これぐらいプレーンなものでちょうど良かったです。
宇出津産の毛ガニ。宇出津とは能登半島の北東にある小さな港。東京の人にとって石川県はあまり毛ガニのイメージがありませんが、中々どうして旨味が詰まっており、海の幸バンザイと快哉を叫びたくなる美味しさです。バターナッツかぼちゃのムースやココナッツのエスプーマなど、センスを感じる調理も魅力的。
アワビ。こちらも宇出津産。グニグニと逞しい歯ざわりが堪りません。肝のソースが濃厚で、サマートリュフの軽快な香りにも心地よい。日本料理だと蒸し一辺倒の食材なので、やっぱりフランス料理は楽しいなと思わせてくれるひと皿です。
七尾産のアマダイと石崎海老(いっさきえび)。アマダイのバリっとした食感に逞しい白身の味わい、エビの深遠な甘味、発酵トマトのソースの複雑味など、完成度の高い味わいです。でも盛り付けがちょっと惜しい。
羽咋の遅摘みメロンのグラニテでお口直し。へえ、石川県ってメロンまで作ってるんだ。
メインは能登牛のイチボ。シンプルな調理ですが素材をハッキリと感じさせる仕立てであり私好み。右上のコロッケみたいなモノの中にはベアルネーズソース(マヨネーズっぽいソース)が詰まっており、濃密な酸味が皿の上でのアクセントとなって凄く良かったです。
メニューに「自然栽培米 はくいの夢」と記されており、リゾットでも来るのかなと考えていたのですが、なるほど甘味でリオレと来ましたか。米特有のふんわりとした甘味と乳のコクが溶け合い、小粒ながら存在感のあるひと口です。
羽咋産のシャインマスカット。先のメロンもそうですが、石川県は意外にフルーツ王国キングダムなのかもしれません。
黒イチヂクのテリーヌ。甘さにも色々あって、こちらは濃密でアダルトな甘さが支配的。アイスからはスパイスのニュアンスが感じられ、躍動的な味わいです。
手の込んだ小菓子にハーブティーで〆。ごちそうさまでした。

以上、お食事のコースで1.8万円ほど。羽咋での食事としては高価格ですが、高級食材を惜しげもなく用いたレベルの高いフランス料理であり、むしろ割安に感じました。ただ、料理は文句なしに美味しいのですが、ワインのくだりも含め、サービスがそれに追いついていないのが気になるところ。6,600円や9,000円のコースもあるので、そのあたりをチョイスするとバランス良く感じるかもしれません。

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