牧志 かけ見/美栄橋(那覇)

沖縄屈指の繁華街「国際通り」から脇に抜けて徒歩3分ほどにある京料理店「牧志 かけ見」。ゆいレールの美栄橋駅と県庁前駅の間あたりの住宅街にあります。
ハコは結構広く、ギッチリ詰めればカウンター10席にテーブル8席ぐらいはありそう。ただしこの日は「新春特別会席」と称してお正月料理を主題にした夜であったため、通常のオペレーションと異なるため間引いての営業です。

掛見祐二シェフは京都で30年近く経験を積んだ本格派。沖縄の食材はもちろんのこと、全国各地から必要な食材を起用している印象を受けました。
75BEERで乾杯。オリオンが誇る沖縄限定のプレミアムクラフトビール。これが世界基準で美味しく、加えて800円で飲めるのだから堪らない。そのほか日本酒もいくつか頂いたのですが、一律で1合1,100円と良心的な価格設定です。
「祝い盛2段重」はおせち料理における代表作が要所を抑えて盛り込まれており、また、それぞれがきちんと美味しい。2020年の正月はクーデター真っただ中のボリビアで迎えたので、日本で平和に正月を迎えるのも良いものだとしみじみ。
お雑煮は丸もちを白味噌で。私は東西が同居する複雑な家庭環境で育ったので、正月期間は関西風と関東風の雑煮を交代ばんこで経験しており、その幼少期を思い出し独りしみじみしていました。ところで揚げたサトイモがとても旨い。
お造りは奄美のマグロに香川のフグ。このあたり特有の瑞々しいマグロの風味が乙な味。
福岡のサワラ。数日前に小倉で藍島のサワラを食べたばかりなのでサワラには少しうるさいつもりだったのですが、当店のそれも全然美味しい。食材のブランド化とは何なんだろうと色々考えて混んでしまう1皿でした。
かぶら蒸しはたっぷりの大根おろしとともにしっかりとした出汁で。個別の素材というよりは全体としてまとまりのある一品であり、身体と心が温まりました。
メインは北海道産の牛肉のランプ。いやな脂は全くなく、グイグイとした赤身を楽しむ味わいであり和風ローストビーフといったところでしょうか。卵白で仕立てたフワフワ醤油ソースも旨く付け合わせのタマネギもグッド。満腹に近づきつつもしっかりと食わせるメインでした。
お食事は鯛の炊き込みご飯。鯛の量が気前よく、ゴハンながら結構酒を飲めてしまいます。
甘味に栗きんとんのどら焼き。〆のデザートまでお正月気分を楽しむことができて大満足のディナーでした。
お会計はひとりあたり1.3万円と、この手の料理屋としては格安。高級食材をアホほど使って無理に値付けを上げるようなことはせず、必要なものを必要なだけ用意し後は技術で整えるといった芸風は凄く好き。きちんとした京料理は沖縄には少ないので、移住者や駐在員にも重宝しそう。かなり使えるお店でした。

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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。