小田島/六本木

和食とワインの掛け合わせのパイオニア「小田島」。小田島稔シェフはパリで3年を過ごし帰国後に数々の和食店を手掛け、現在は六本木を本店とし港区のワイン通を唸らせ続けます。余談ですが、パリ時代にフランスアルプス最高峰モンブラン(4,807メートル!)に単独登頂を果たしています。
高級居酒屋然としたカジュアルな店内。カウンター席にテーブルがいくつかであり、15席ぐらいのキャパです。客層がすごくいいですね。気取らずはしゃがず心からワインを楽しもうとする姿勢を感じました。
この日は私のお誕生日祝いでお邪魔したのですが、連れがシャンパーニュのフリーフロープランを用意して下さっていました。「お料理に合わせたワインをお出ししますので、シャンパーニュはチェイサーのつもりでお楽しみください」とソムリエもノリノリ。まだ何も食べていませんが、このお店は素晴らしいと確信した瞬間です。
まずは塩辛。深くなくシャラっとした味わいの塩辛であり泡とよく合う。これだけで1杯以上飲んでしまったかもしれません。
冷製の茶碗蒸しにはイクラがびっしり。加えてこの特大イチゴがイクラの塩気を妙に合い、シャンパーニュと共に奇跡のマリアージュを奏でました。旨かったなあ。ありそうでない斬新な組み合わせです。
カニとアンキモ。もう、完全に酒を飲ませにかかっているモードです。アルコール受け付けないひとキツいだろうなこのお店。
サザエのつぼ焼き。グイっと焼いただけのシンプルな調理ですが、海の旨味が凝縮されておりいとおかし。
本マグロのぬた和え(?)でしょうか。濃密な味わいのマグロに負けない調味が施されており、ワインがグイグイ進みます。
色んな貝をザザっと炒めました。やはりワインが進む。ちょっとした苦みも程よいアクセントです。
シマアジのにぎり。コッテリとした脂を湛えておりリッチな味わい。
スペシャリテのフォアグラ大根。薄味に炊いた大根に火を入れたフォアグラを。フォアグラそのものは非常にあっさりと仕上がっており、フォアグラをこんなにも軽やかに食べることができるのかと驚きました。
鹿肉(だっけ?)のハンバーグをお椀に落とします。濃密にして濃厚。小さなサイズではありますがパワフルな味わいで記憶に残りました。
ブリだっけなあ。もうこのあたりワインが進み過ぎて記憶が曖昧になってきました。
立派なタイはシェフ自らお取り分け。シンプルな調理ならびに調理ですが、これがやはり旨く、酒にも良く合う。
〆のお食事は稲庭うどん。あっさりとした出汁でズズっといけるのがいいですね。適度な歯ごたえもあって見事なフィニッシュでした。
デザートもシンプルな水菓子で。もう、シェフほどの域にたっすると、こねくり回すことはなく全てが研ぎ澄まされていくのかもしれません。
いやはや、素晴らしいランチでした。完全にワインを飲ませるために料理が設計されており、ワイン好きでこの店を否定する人はこの世に存在しないのではあるまいか。私は和食には日本酒と誓っている人種ではありますが当店は例外。ワインラヴァーと共に大いに盛り上がりに行ってください。

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レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。