Winerystay TRAVIGNE(宿泊)/新潟

新潟のワイナリー「カーブドッチ(CAVE D'OCCI WINERY)」がオーベルジュを開業。もともとブドウ畑を含めた敷地内に温泉や宿泊施設は存在したのですが、このたびアッパー層を目掛けて高級感を前面に打ち出しました。
チェックインすると海外のモダンなお屋敷にお邪魔したようなセンスの良い空間が広がります。大きな窓からはアルバリーニョ(ブドウ品種のひとつ)の畑が広がり、ワインラヴァーでなくても特有のあげぽよポイントを感じられるでしょう。
客室は全部で10。我々が滞在した部屋は天蓋付きのベッドが自慢です。
テラスからは前述のアルヴァニーニョの畑を望むことができます。チェックイン時にウェルカムワインを1杯、部屋に入ってそのままダイレクトにテラスでもう1本を空けました。
デスクは広く電源も豊富なのですが、wifiが死ぬほど遅く使い物になりません。これはweb会議などは厳しいですね。ワーケーションは無理めな施設です。
ミニバーは全て無料なのですが、内容物は水と軽めの1本のみであり、あまりフリーダム感はありません。酒が足りない方はラウンジのセラーからルームサービスで注文することができますが、当然に有料です。
クローゼットは無くオープンにハンガーをかける形式。長期滞在するゲストは少ないでしょうから、これぐらいの簡易的なラックで充分。
お手洗いは最新システムが導入されており機能的。お手拭きのタオルがレストランみたいに1枚1枚ポイするスタイルであり、謎の高級感が植え付けられます。
バスルームも広々。ちなみに前述の通り敷地内に「ヴィネスパ」という温浴施設があって無料で利用できるのですが、スーパー銭湯の域を出ないものであり、客層もTRAVIGNEと違って色々アレだったので、余程の理由がない限り自室を利用したほうが良いでしょう。
アメニティはアヴェダで統一されているのですが、個別パッケージではなくディスペンサー方式であり、ビジネスホテル感が強い。
夕食は併設の「レストラントラヴィーニュ」へ。佐藤龍シェフは埼玉県出身ながら新潟に根を張るという荻野由佳のようなスタイル。ホテルニューオータニ東京や六本木「ル・ブルギニオン」を経てカーブドッチへ。途中、ブルゴーニュのレストランでの修行経験もあるそうです。詳細は別記事にて
朝食が素晴らしい。サラダにパン、ヨーグルト、卵料理とベーシックなラインナップなのですが、素材ひとつひとつが最高峰の品質を誇ります。
決して華美ではなくむしろ素朴な朝食なのですが、実に慈愛を感じさせるお料理でした。ここで焼かれる天然酵母パンなんて絶品なんだからね。
食後はワイナリー内をご案内頂きました。ワイン雑誌で見たことのある醸造責任者ムッシュ掛川史人が普通に声をかけてくださり、いま会いに行ける醸造家です。
ワイン造りに携わっている従業員は僅か5人。「ウチのワインは早飲みで高くなく、料理に寄り添うものを得意としています。1本何万円もする長期熟成タイプは目指していない」自分たちが目指したいものを目指したいように作れるっていいなあ。
良い宿でした。まだ走り出したばかりで荒削りな面はあるものの、オーベルジュの本質・ワインリゾートの神髄に迫っていることがひしひしと感じられました。カーブドッチというバイブルがあって、その世界観を作り上げる構成要素としてオーベルジュがあり、レストランがあり、宴会場があり、パン屋があり、シャルキュトリ屋がある。実現すべき価値観が従業員間で共有されており、実に魅力的な職場と言えるでしょう。今度は収穫直前の時期にお邪魔したいと思います。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。