こなす／刈谷（愛知）

名古屋在住の方に「刈谷に見るべきものは何も無いが、『こなす』の料理は素晴らしい」とオススメされて伺いました。北口徒歩3分の高級居酒屋。開店時刻が独特の18:15。時間ピッタリにならないと入れてもらえないので、せっかちな方はお気をつけて。
予約時に「3,500円、4,000円、4,500円のコースがあって、あとは予算でいくらでも追加できます」との案内があり、4,500円のコースをお願いしておきました。
生ビールは5～600円程度と居酒屋価格。黒生やハーフ&ハーフもあります。
店主が名刺代わりにとノドグロをプレゼンテーション。まさか4,500円のコース料理で
こんなにも立派なノドグロに出会えるとは感激。ふわりと漂う香ばしい焼き目の香りにじっとりとした脂の甘味。デラックスな美味しさです。麻布十番だと塩焼きだけで7,800円も請求されるのにこの差はなんだ。
自家製コロッケはたっぷりのミンチ肉で、ミートボールとのあいのこのような様相を呈しています。味付けも濃く、良く出来たお惣菜のような味わい。
七輪がテーブルに置かれ、セルフで空豆を焼く。これは手間の割に味は中くらいといったところ。普段からおにまるで食べているため感動が薄かったのかもしれません。
ホタルイカを生から焼く。普通はボイルしたものや沖漬けぐらいでしか食べることがありませんが、香ばしく焼くのも素晴らしいですね。複雑な体型であるため火入れにムラが生じ、結果として食感のグラデーションへと繋がる。
ホタルイカの肝の芳醇さに抗えず日本酒を注文。愛知のお酒、義侠の生酒を。いずれの日本酒も1合1,000円を切るので、飲み助には堪らないお店です。
七輪が下がり、代わりにガスコンロと土鍋が到着しました。鹿児島の黒毛A4和牛です。鰹だしやポン酢で食べて美味しいですが、やや類型的か。個人的には肉の下に敷かれた極太のモヤシが旨かった。
空豆・茄子・貝柱のかき揚げ。ホクホクむっちりと美味しいのですが、揚げ油が傷んでいるのか、油の臭みが少し残るのが気になりました。
冒頭のノドグロのアラで作ったあら汁。ワーオ、これは美味しいですねえ。ノドグロの豊かな甘味を縦糸、芯のあるコクを横糸として豊かな味覚を紡いでいます。ここまで美味しい液体は中々ない。本日一番のお皿でした。
お食事はタケノコごはん。正統的なタケノコごはんなのですが、やや水分の残るベチャついた食感なのがちょっと残念。加えて香の物などちょっと味の濃いアクセントがあっても良いかもしれません。
デザートにイチゴを食べてごちそうさまでした。ちなみにパパ活用語で「苺」とは1万5千円のことですこれ豆な。

これだけ食べて、ビール1杯日本酒1合飲んでひとりあたり7,000円弱。東京では考えられない費用対効果の高さです。絶巧ここに極まれりといった調理ではなく、良い素材を率直に出すというシンプルな料理であるのも好印象。大将の柔和な人柄にもグっと来ます。

サービスはJDが素人感満載でお届けしてくれマニアには堪らないことでしょう。手が空いた時はバイト仲間同士で気軽にダベってゲラゲラ笑ったりする文化祭のようなノリ。東南アジアの妙に店員の多い店で、従業員同士が仲良くしているような雰囲気で居心地が良い。家庭的で居心地の良いお店でした。


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