大昌園食堂/十和田市(青森)

バラ焼き。何かのB級グルメグランプリで立派な賞をとった、十和田市が誇るソウルフードです。その名の通り牛バラ肉にタマネギを加え、醤油・にんにく・唐辛子・砂糖などで調味したタレをかけ、鉄板の上でグッチャグチャに混ぜながら焼く料理です。
十和田市の焼肉屋のほとんどで供されるこのバラ焼き。当店はガイドブックでは必ず取り上げられる有名店であり、朝から晩まで休みなしの通し営業、かつ、日曜日も営業と、観光客にとっては有り難い存在。
16時というヘンな時間に訪れたためにガラガラかと思いきや、いくらか地元客が入っています。奥の個室では大勢のお父さんたちが大宴会中で微笑ましい。

ちなみにバラ焼きは十和田市が有名ですが、発祥の地は三沢市の米軍三沢基地近くにある食堂『赤のれん』が発祥の店らしいです。戦後、牛肉はまだまだ高価で一般の人々の手には入りにくい存在でしたが、三沢では米軍払い下げ品として赤身以外のバラやモツが比較的安く手に入ったそうな。
基本的には焼肉屋であり、そのうちのひとつのメニューとしてバラ焼きがあるという位置づけ。それでも15時までならライスや味噌汁がついて800円というオトクなメニューがあったりと、やはりバラ焼きが特別な存在であることは間違いなさそうです。

我々は数時間前にたっぷりランチを摂ったばかりだったので、ほんの味見程度にと、バラ焼きを単品で2人前注文。車であったため飲み物は頼まなかったのですが、特に嫌な顔はされませんでした。というか、後述しますが基本的に感じの悪い客あしらいなので、これぐらいどうってことないです。
注文後数分で肉とタマネギが到着。オバチャンが問答無用で鉄板の上に具材を展開し、そのまま立ち去って行きました。せっかくなので写真を撮っていると、芝居がかった溜め息をつきながらオバチャンが戻っておいでになり、「ああもう!混ぜて混ぜて!混ぜないと焦げるから!」と指導が入ります。
厚切りのタマネギと薄切りのバラ肉とでは火の通り具合が異なるので、火が通りつつある牛肉を火力の弱い端へと追いやり、中心部でタマネギをじっくり焼きます。するとまたオバチャンが我々のテーブルを訪れ、「ああもう!牛肉とタマネギは一緒に焼かなきゃ、タマネギが飴色にならないでしょ?」と、2枚目のイエローカードを出されました。イラッとジャパン。うるさいなあ。そんなにこだわりがあるなら突っ立ってないで、お前が調理しろよ。
その後も彼女たちは(オバチャンは2人いたのである)看守よろしく我々の一挙手一投足に目を光らせ続け、再びツカツカと我々の元へと戻り、ガチャンと火を消し、食っていいぞと言わんばかりに顎をしゃくりあげました。後の血の日曜日事件である。
味は予想していた通りというか、今あなたが想像している通りの味覚です。牛丼屋のアタマをややピリカラに味付け、汁が無くなるまで炒めたような味わい。不味くはないが、旨くもない。ただし牛肉の脂の質が極めて悪く、翌朝の胸焼けと膨満感を覚悟する。
店内の床は飛び散った脂でヌルヌルとしており、換気もなっておらず立ち込める焼け焦げた香りが白煙となって店内に立ち込めます。服に匂いが付いてはたまらんと、滞在時間十数分で退散。
値段が値段なだけに味についてはあれこれ言えませんが、それにしてもこの店員の対応は何とかならんもんか。肉とタマネギを炒めただけの単純な料理なんだから多少焦げようが九牛の一毛ではないか。1ミリの焦げも許容できぬというのであれば、奥であんたらが調理して皿に盛って出してくれ。

『おもてなし』という言葉はこの店の辞書には存在せず、国際オリンピック委員会の偉い方がこの店に来ないことを祈るばかりです。安い肉に安い金を払ってがっついて食べ、とっとと出ていくような使い方のお店でした。


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そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。

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