大阪で最も古いおでん屋として知られ、1844年(弘化元年)に初代岡田梅次郎によって創業された「たこ梅」。本店は道頓堀にありますが、この日はキタの「新梅田食道街」にある北店にお邪魔しました。大阪駅(梅田駅)に直結しておりアクセス至便。
店内はU字型のカウンター席のみで、DJブースのような位置に鎮座するのは「関東煮(かんとだき)」。大阪独特のおでんのスタイルです。お店の方々は皆、元気ハツラツで気持ちの良い接客です。
着席すると瞬で提供されるお通し、瓶ビールを注文しても秒で届きます。また、基本的にはグツグツ煮立っているおでんを楽しむお店なので、料理の提供もちょっぱやです。まずは創業以来の名物である「たこ甘露煮」。秘伝の出汁でじっくりと煮込んだ逸品で、濃厚な旨味が特長的。私が観測した限り、全てのゲストが最初に注文していました。ちなみに当店の店名はコチラのスペシャリテに由来するわけではなく、 店員がカウンター越しに四方八方へ手を伸ばす姿がタコに似ていることと、初代の名前の「梅次郎」から命名されたそうです。
水ナスのぬかづけ。瑞々しい水ナスをサラっと漬け込んでおり、野菜というよりもフルーツに近いニュアンスを感じます。糠のほのかな酸味と塩気が茄子の甘みを引き立て、シャキッとした食感が心地よい。
大和煮。クジラ肉を醤油と生姜の甘辛い出汁で煮込んでおり、臭みはほぼなく、馬肉のようなコクと独特の食感が印象的。柔らかく煮込まれ、噛むほどに濃厚な旨味とほのかな甘みが広がります。
関東煮(おでん)に入ります。クジラやカツオをグッツグツに煮込んで取り出したお出汁だそうで、かなり白濁しておりコッテリとした味覚。左の玉子は4日間もかけて仕上げており真っ黒。右の「野菜ふくろ」は薄い油揚げに色んな野菜が詰まっており、シャキシャキとした食感が記憶に残りました。
左はごぼ天。ゴボウを軸に練り物を巻き付けた定番のおでんダネ。ゴボウの土っぽい風味が濃厚なお出汁とよく合う。右はロールキャベツで保水力抜群。キャベツも肉も旨いですが、何よりもスープの深い味わいに心を打たれました。
厚揚げ。こちらにもお出汁がジュワジュワと染み込んでおり、豆腐というよりもお出汁を楽しむひと品です。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり6千円強。おっと、ご近所の「松葉 総本店」と似たようなスタイルで同価格帯を期待していたのですが、思ったよりも高くつきました。
とは言え文化遺産クラスの食事を楽しむ観光地と考えれば悪くないディールであり、何より当店のおでん出汁は唯一無二の味わい。アクセスも良く予約も不要なので、万博のついで、乗り換えの合間にフラっと立ち寄りましょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。