郡上八幡で最初に鰻料理を提供した店として知られている「吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)」。創業は1880年(明治13年)であり、岐阜県内として見ても屈指の老舗鰻料理専門店。ミシュランにも掲載された実績があり、食べログでも百名店に選出されています。
店内はテーブル席を中心にお座敷もあって、トータルでは50席ほどでしょうか。ランチタイムは行列必至なのですが、ディナータイムはガラガラ。当店に限らず、鰻とは昼の食べ物というイメージがあるのかもしれません。釣ってきた鮎を買い取ってもらうため、釣り師のオッチャンたちが裏口にチョイチョイ現れるのが面白い。
私は「うなぎ長焼き上定食」を注文。5,250円です。鰻の蒲焼が1匹半に、ゴハンと肝吸い、お漬物にデザートが付きます。鰻は三河一色の養鰻場から仕入れたものを岐阜市の老舗川魚問屋「ヤマト」にて選別されて届けられているそう。その鰻を当店が堀った井戸水で掛け流しの状態で数日間鰻を生簀で飼育し泥抜きします。
主題の鰻は関西風の直火焼きを採用しており蒸しの工程は行いません 。そのため口当たりはバリバリで、まさに焼き魚。ムッチリとした弾力とザラリとした舌触りを楽しむことができ、鰻そのもののしっかりとした味わいを楽しむことができます。
肝吸い。出汁はあっさりめで、鰻の濃厚な味わいやタレのコクを引き立てるシンプルな仕上がりです。肝の美味しさはもちろんのこと、たっぷりの三つ葉が口直しに最適です。
白ごはん。鰻丼と異なりタレがかかっておらずプレーンバニラな味わいで、ふっくらとした食感とほのかな甘みが特長的。素朴な味わいですが、先のパンチのある鰻を受け止めるに最適な仕様です。
連れは「ひつまぶし」を注文。しかしながら当店のそれは変わっていて、錦糸卵や針ショウガなどもトッピングされており、見た目はちらし寿司のようです。一膳目はそのまま、二膳目は薬味と共に、という定番のストーリですが、三膳目のお茶漬けは肝吸いのお椀からダイレクトに注ぐという斬新なスタイル。こうなってくると、名古屋スタイルの「ひつまぶし」とどちらが正統的なのか自信が無くなってきました。
鰻を一匹半も用いた「うなぎ長焼き上定食」が5千円強で、「ひつまぶし」も3千円かそこらと、ド観光地で楽しむ鰻料理としては随分と良心的な価格設定。冒頭記した通りシーズン中は鮎料理も楽しむことができるので、郡上八幡エリアの美食は当店で完結する仕組みです。宿も併設しているので、こうなったら泊まってしまった方が手っ取り早いかもしれません。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。