山の茶屋 楽水(らくすい)/南城市

沖縄本島南東、沖縄屈指の高級リゾートホテル「百名伽藍」を擁する南城市。百名ビーチなど天然のビーチが点在し、それでいて観光客は少な目という素敵なエリアです。そのあたりでも並外れた人気を誇るベジタリアンレストラン「山の茶屋 楽水(らくすい)」。
樹々に囲まれた山道を登りきると、まさに山小屋といった雰囲気の一軒家が現れます。この雰囲気が実に独特で、並外れたセンスを感じます。ハコそのものは大きいですが席数は限られているので、予約してから訪れましょう。
山の斜面に建てられているためか複雑な構造。窓が多く、また、天井も高いので解放感は抜群です。2階(?)の窓に面したカウンター席からはサンゴ礁の海を見渡すことができ、沖縄でも群を抜いた景観の素晴らしいレストランでしょう。
我々はグループでの訪問だったため、座敷を利用させて頂きました。畳っていいですよね、童心に返ることができて。ここで生活をすれば日々こころのデトックスとなり、質の高い人生を送ることができるでしょう。

「でもね、沖縄では心の病気に罹るひと、すごく多いんだよ」優秀な女医はひやりとした言葉で呟いた。
さてお食事。当店は沖縄の郷土料理と自然食に拘るベジタリアンレストラン。地産地消の野菜を主軸に据えた、肉を一切使用しない「さちばる定食」が一番人気。1,350円です。

「まず、アルコール依存の人が多い。オトーリだっけ?あんな飲み方してたらそりゃあ、そうなるよね。あと、四季に乏しくメリハリが無いってのも遠因になっているっていう説もある」ちなみにオトーリとは宮古地方に伝わるお酒の飲み方で、ひとつのグラスで、ひとり1杯づつ注がれた泡盛を、車座になって順番にエンドレスで飲み続ける行為です。
ゆし豆腐。沖縄の郷土料理で、豆乳ににがりを入れただけで枠に入れて固める前のやわらかいおぼろ状の豆腐です。大豆の甘さが感じられる優しい味わい。スープは旨味が濃厚で美味。ちなみにこの定食では、ゆし豆腐か沖縄そばを選択するこができます。そばは長寿の薬草「雲南百薬」を麺に練りこんだ麺をであり、そちらも美味しそうでした。
切干大根の煮物。素朴な味わい。量もたっぷり。

「統合失調症もすごく多い。統合失調症には遺伝的な要素が指摘されているんだけど、小さな島の小さなコミュニティで結婚を繰り返すってのが、関係があるのかもしれない」なるほど沖縄名物としてユタという霊媒師が挙げられますが、それらは統合失調症との関連があるかもしれないということを何かの本で読んだことがあります。
季節の野菜天ぷら。「いもくじ」という、紅イモの葛を使った天ぷらが絶品。モチモチとした食感が食べ手楽しく、素材そのものの甘味が深い。塩気のバランスが良く、本日一番のお料理でした。
長岡式酵素玄米。専用の圧力釜を用いて炊き上げ、保温ジャーの中で発酵・熟成させる特殊な玄米。玄米らしさは微塵も感じられず、まるでお赤飯のような味わいです。

「学生向けの精神科入門みたいな授業でさ、『木を描いてください』ってテストをやるわけ。人によって『木』の捉え方は全然違うよね?」私は実のなったリンゴの木が真っ先に脳裏に浮かびました。「心を病んでいる人は、朽ち果てた木とか、暗い系の木を描きがちなんだよね、やっぱり」
その他、海ぶどう、ジーマーミー豆腐、サツマイモ(?)をふかしたもの、漬物、ぜんざい的な甘味など、沖縄らしい食材や料理が盛りだくさん。肉は無いもののしっかりとお腹に溜まります。

「あたしはヤシの木を描いたんだけど、それについて先生から何てコメントされたと思う?」うーん、天真爛漫とか、あげぽよとか、そんな感じ?
ドリンクセットはプラス200円。綺麗なアイスコーヒーです。

「性欲がとても旺盛ですね、って」彼女は婀娜っぽく片目を瞑った。
大満足のランチでした。大自然に囲まれながらヘルシーな食事を摂る圧倒的な非日常感に抜群の費用対効果。ちなみに当店の裏手には「さちばるの庭」というオーナー所有の素敵なお庭があり、当店を利用したゲストは自由に散策が可能。加えて海辺に行けば「浜辺の茶屋」という、こちらも大人気のカフェがあります。次回は「浜辺の茶屋」に遊びに行きたいと思います。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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