Blue(ブルー)/麻布十番

「ワインが飲みたい」とのことで、2次会としておにまるビルの5Fに2016年8月オープンした、イタリアンとカリフォルニアワインに特化したお店へと向かう(写真は公式ウェブサイトより)。店名の由来はナパバレーの青空だそうな。

ちなみに下のフロアの「orso(オルソ)」というレストランはテーブルチャージを取った上にTAX20%を請求してくるのでご注意を。
夜はこれからだ、といったタイミングで女医のケータイが鳴り響く。「ええ、ええ、あの、でもあたし、今夜、当直じゃないんですけど。ええ、もう一度確認してもらっていいですか?」彼女は裏社会の人間がそうするかのような舌打ちと共に電話を切った。
スペシャリテの「リアルとんがりコーン」。素材はベビーコーン、味付けはとんがりコーンという、面白い試みです。たっぷりのバターで炒め、味付けはイタリアの魚醤。これが見逃せない美味しさであり、もう一本もう一本とクセになる味わい。

「いつもこうなのよ」彼女は苦々しげにケータイを机の上に放り出す。「看護師の奴ら。どういう料簡で電話してくるのかしら」何でもこの日の当直が誰かは職場の壁に貼りだされており、間違うことは絶対にないとのこと。
仮にその当番表を見間違えた場合でも、PHSの転送にすごく時間を要するので(当直じゃ無い場合は院内のPHSは電源を切るルールになっていて、それでも当該PHSにかけた場合、通常と呼び出しと異なる数十秒の間があってから個人のケータイに転送される仕組み)、普通の脳味噌を持っていたらその段階で「あ!〇〇先生、今夜は当直じゃないのかも」と気づくはずだそうです。このあたり私は門外漢なので、ディティールが違ったらスミマセン。
「そういった数々のハードルを乗り越えて電話してくる奴らが、看護師なのよ」だいたい目の前にパソコン無いんだから、電話口でできることなんて何もない。彼女は憎々しげに爪先でグラスを鳴らした。
うーん、それは事務処理レベルで酷い話だね。でも、その看護師たちはもはや確信犯なんじゃないの?

「あのさ、あたしは普段の仕事で完璧を目指してる。当直とかオンコール(患者の急変時や救急搬送時に勤務時間外であっても呼ばれればいつでも対応できるように待機していること)は全身全霊で臨んでる。なのに、完全プライベートの時にまでどうして電話してくるの?医者は1秒も休んじゃダメなの?」。『お客様の中にお医者さまはおられますか?』に応じたがらない医者たちの話を思い出しました。
気のきいた答えが見い出せず、私は思わず質問を質問で返す。じゃあ、何で今の科を選んだの?もっと緊急性の低い科だってあったでしょ?

彼女はぞくりとするような笑みを見せ、切ったばかりの肉塊を口の中に放り込んで言った。「決まってるじゃない、手術が好きなのよ」


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。