天ぷら畑中/麻布十番

麻布十番で天ぷらと言えば、よこ田もしくは当店。よこ田は味は悪くないのですが、大将のマシンガントークで食事に集中できずゲンナリ。他方、当店は食べログに「無口で無愛想」との記載があったので、これ幸いと歓び勇んでお邪魔します。

純和風の落ち着いたファサード。韓国料理の有面店、鳳仙花のお隣さんです。当店は写真NGとのことだったので、文章のみでお楽しみ下さい。

飲み物メニューにいくつかワインもあったのですが、和食ですし、ビールと日本酒だと入店前から決めていました。なのですが、ビール届くまで10分ぐらいかかった。

おつまみにタラの白子。美味しいのですが、コチラにありつけるまでにさらに10分。。。客は6人。従業員は見える範囲で3名。謎の牛歩戦術である。

さらに待つこと10分。ようやく頭が到着。一斉スタートじゃないから先客のペースもあることは理解できるのですが、ここまでご新規の一口目を待たせるのはいかがなものか。これなら一斉スタート2回転のほうが全然マシ。

食べ方は天つゆ、大根おろし、塩、ダイダイをお好みで。このあたりはよこ田に比べて自由度が高くて評価できます。大根おろしも足りなくなればドンドン追加してくれる。

エビ天。低温なのかなあ。香ばしさに欠け、フリットみたいな食感です。

インゲン。極めてシンプル。より一層のフリット感。

再びエビ。ううむ、何とも印象に乏しく、公務員のような天ぷらです。

オーストラリアのアスパラ。ジューシーで瑞々しくグッド。

同じアスパラの下部。太いほうです。こちらはじっくりと長く揚げているらしく、より美味しく感じることができました。

キス。幅広く肉厚でホクホク。

山形の洌。なんですが、これも注文してから10分以上待たされた。いったい当店のオペレーションはどうなってるんでしょうか。ビールが空いてから唾液のみでエビ・アスパラ・キスを食べなければならないもどかしさと言ったらない。

ナスはじっくりと長時間で揚げられて供されます。衣がごくごく薄く、天ぷらというよりも唐揚げに近い。大量の水分を湛えた揚げ物という矛盾。本日一番のお皿です、と、興奮していたところ、「単にナスが良いだけじゃないの?」と水をさす連れ。

 再びエビ。透明な存在。私の最も好きな食材はエビなのに、ここまでときめかないことも珍しい。

カキ。 これには参りましたキュルルン。海の豊かさが実に凝縮されており、良い意味で重い天ぷら。日本酒にもすこぶる調子が良く、ナスと並んで本日一番のお皿です。

滋賀の松の司。待たされることを前提に少し早めにお願いしておくと、そんな時に限って速攻で持って来られ、結果としてグラスが渋滞する。何なのこのマーフィーの法則感。

ソラマメ。豆自体は悪くないのですが、これは天ぷらと言えるのかどうか、妙にベタベタしていて不味かった。茹でたり蒸したりするだけでいいや。

一方で、ホタテは大ぶりかつ半生。私のモロタイプで大満足。衣がうすうす0.5mmなのがやはり気になりましたが、これは店主の哲学と私の好みの食い違いであるため、これ以上議論しても平行線。

 然は然り乍ら、衣を厚くすれば美味しく感じるかというと、そうでもない。旨味に乏しく油っぽさだけが目立ちました。エビのすり身でも詰め込んで甲殻の味わいで攻めて欲しかったな。

アナゴも迫力に乏しく揚げも中途半端。先月みかわで頂いたときは腰を抜かすほどの味わいだったので、どうしても比較してしまう。

箸休めにシジミ汁。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、は言いすぎかもしれませんが、コチラについても中途半端に感じてしまう。もっとゴリっとシジミを風味を効かせるか、それが難しければ無理に出さなくてもいいのに。まあ、私は常に味濃い目を好むバカ舌なので、そう感じただけかも知れません。

羽前白梅ちろり。今回は常識的なリードタイムでのご提供。何か注文する度にいつ届くのかドキドキしてしまう。

レンコン。ポーションは特大である一方で、糸を引くほどのキメの細かさ。正直腹が膨れてかなわん。レンコンがこれほど暴力的なサイズだと飽きてしまう。1cmの輪切りで肉なり味噌なりコロ助なりを詰めて揚げれば万人ウケするのになあ。

〆のお食事へと向かいます。おしんこは水分量が多いのが印象的。

天丼、天茶、白いゴハンの3択だったので天丼を。若干もったりしているというか、軽やかさに欠けるヘヴィ級のかき揚げスタイルだったので、卒倒しそうなほど満腹となりました。

お椀はぬるかった。

水菓子は上々。特にラフランスが素晴らしい。濃密な甘さと酸味に大満足。

全体的に記憶に残らない料理でした。連れに意見を求めると、「美味しくないわ。量だけは立派」とバッサリ。ただ、彼女を庇うわけではありませんが、的確な評価だと思います。

量はたっぷりなのに満足度が低いのがポイントですよね。全体とは部分の総和以上のものであるべきなのに、総和にも達していない。しかしこれだけの量の割にそんなに高くはないので、割安と言えば割安。

でもなあ、オペレーションも悪いし、これならマシンガントークに耐え抜いてよこ田に行くかなあ。てゆーかタクシー乗って赤坂の楽亭に行くなあ、と考えていたところ、楽亭の大将が逝去されたことを知る。実に惜しい人を亡くしました。素晴らしい天ぷら職人でした。

http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13001685/



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てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。