JALファーストクラスラウンジ/羽田空港国際線ターミナル

JALには空港ラウンジがふたつあって、ひとつはビジネスクラスやJGC(上級会員)向けの「サクララウンジ」 。もうひとつはファーストクラスとハイパー上級会員向けのために特別に用意された「ファーストクラスラウンジ」があります。
ふたつの入り口は同じなのですが、前者は左、後者へ右と行く手が別れる仕組み。普段は指を咥えながら左の通路へと向かっていたのですが、今回、ようやく右のルートを取ることができました。
入ってすぐにクロークがあります。駅のコインロッカーよりもひと回り大きいサイズであり、ゴロゴロ系の大きなカバンも収納することができるでしょう。
アプローチからなんかすごい。アートディレクターには日本一の左官技能士、挾土秀平を起用。「和の伝統とモダンジャパニーズの精神を象徴するシンボルアート」と、私にとって門外漢の単語が続きました。
間取りはこの通り(画像はJAL公式ウェブサイトより)。ゲストの絶対数が少ないためか、「サクララウンジ」に比べると随分狭く感じます。
ラウンジエリア。「ファーストクラスラウンジ」だからといって客層がガチヤバイかというとそうではなく、めちゃくちゃクシャミがデカいオッサンや迷惑を顧みずケータイでどうでも良い話を続けるオバサンも普通にいます。いわゆるシティホテルのロビーラウンジをイメージして頂けると良いでしょう。それでも、「サクララウンジ」に比べて乳幼児が少ないのはいいですね。なぜか日本のラウンジは子連れが多くショッピングモールのフードコート状態なので。
飲み物は「サクララウンジ」に比べると多種多様。シャンパーニュ「G.H.マム」も用意されていました。ところでレストランでマムをオーダーする際は、「ジー・エイチ・マム」ではなく正しい発音の「ジェ・アッシュ・マム」でオーダーしたほうが知ったかぶりを主張できます。
朝食の時間帯には鉄板前に料理人が立ち、ライ麦のガレットが供されます。オーダー制で、お願いするとブルブル震える番号札マシンを手渡されしばし待つ。
その他の食事も「サクララウンジ」に比べると高品質かつダイバーシティに富んでいました。とは言えあくまでも空港ラウンジは空港ラウンジであり、都心の中くらいのホテルの朝食ビュッフェという印象です。
ガレットが出来上がるまでアミューズを楽しみます。ちょっとミッシェル・ブラスっぽく並べてみました。オマール海老のビスクにはたいそう期待したのですが、トマトの風味が支配的で海老の味覚に乏しいのが残念。
目玉のライ麦のガレット。クレープ生地にハム・チーズ・卵という仕様であり、今あなたが想像している通りの味わいです。
「タケマシュラン好きな食べ物ベスト100」にランクインする「生春巻き」と「明太子」があったので、勢いで入手。
加えて空の旅はカレーを食べねば始まらない。これは「サクララウンジ」と同じ仕様なのかなあ。ゴハンもルーも数段美味しく感じました。人は雰囲気の奴隷である。
腹の虫が落ち着いた後はラウンジ内を探検。世界一の高級紳士靴「ジョン・ロブ」とのコラボで、ジョン・ロブから派遣された(?)靴磨き職人が常駐しています。これは出張族には堪らないサービスですねえ。私は完全に遊びの旅行であり、革製ではあるもののスニーカーを着用していたので、お願いするには何だか申し訳ないような気がして断腸の思いで利用を見送りました。
バーコーナーにはシャンパーニュ「ローラン・ペリエ」と、はせがわ酒店が選びぬいた日本酒が用意されていました。グラスはリーデルの特別誂えのもの。やはりマムよりも上品で洗練された味わいのような気がします。
プレイルームにはチェスとサッカーゲームが用意されていますが、誰も利用していません。「和の伝統とモダンジャパニーズの精神を象徴するシンボルアート」を標榜するのであれば、ここはひとつ将棋や碁なども用意して欲しいところ。
そして今、ラウンジコーナーのビジネスブースに戻ってこの記事を書いています。ライティングデスクのライトがオシャレすぎてスイッチを見つけるまでに2分近くを要しました。

さて、ここからは修行僧向けの専門情報となるので興味のない方は読み飛ばしてください。

永年JGCを得るために50,000FOPを目指すのは妥当な挑戦ですが、たった1年かそこらのダイヤモンドまたはプレミアを目指すためだけに修行するのは割が合わない気がしました。
ダイヤモンドまたはプレミアの象徴的な利点は「ファーストクラスラウンジ」で異論はないと思いますが、そのコストに見合った価値がそれほど感じられない。ある意味では、空港レストランでしっかりと上質な料理を食べ、その後は有料のラウンジで過ごしたほうが、全体を通して見れば割安な気がします。特定のエアラインに忠誠を誓う必要もないですし。

もちろん海外出張が多くこのステータスの背中が見えているのであれば少しの背伸びをするのは悪くない挑戦ですが、何でもない陸マイラーが必死こいて狙うには割に合わない気がします。私は2019年度はダイヤモンドを狙える位置にいるのですが、それのために努力をするのは止めにします。これなら飛行機代を抑えてそのぶん旅行先で豪遊したほうがいいや。

もちろんこれは訪れたからこその感想であり、百聞は一見にしかずとの格言も根強い。であればまずはメルカリやヤフオクなどで「ファーストクラスラウンジ」のお試しチケットを購入し、その価値を確認してみましょう。それから修行に入るのも決して遅くはありません。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。