ローストビーフの店 Watanabe/上賀茂本山(京都)

ローストビーフ料理(?)で名を馳せた「Watanabe」が、二条城前から上賀茂本山へと移転。精華大近くの丘の上にあるため、余程の事情が無い限りタクシーで訪れましょう。国際会館駅もしくは北山駅からワンメーターかそこらです。
絶景かな絶景かな。山の上まで登ってきただけあって見事な眺望です。テラス席もあり高原リゾートに来たかのような高揚感があります。
店内も広々としており、席間にもゆとりがあります。渡辺勇樹シェフはフランス料理店や洋風居酒屋などで腕を磨いたのち、二条城前に「ローストビーフの店 Watanabe」を開業。2021年に現在の地へと移転しました。
ワインが豊富で手頃なボトルが多数用意されており、気持ちよく酔っぱらうことができます。例えばこのフランス産のスパークリングワインはボトルで4,500円でした。
メインはもちろんローストビーフなのですが、選択形式の前菜も用意されており、追加料金でアラカルト注文もすることができます。こちらのグリーンサラダは+700円でした。
前菜その1は「パテ・ド・カンパーニュ」。一般的には1センチほどの薄切りで提供されることが多い料理ですが、当店のそれはレンガのブロックのようなカットで供出されます。もはやハンバーグに近い迫力があり歓声が上がります。味覚については脂質多めのネットリとした舌ざわりであり私好みです。
こちらは「鱧のベニエ」。パテカンに続き恐るべきボリューム感であり、それぞれの粒がお手玉のようなサイズです。鱧をムシャムシャと食べる贅沢は京都ならでは。コッテリたっぷりとしたタルタルソースも皆大好きな味わいでしょう。
パンはシンプルなものですが、先のタルタルソースや後述のローストビーフのソース・肉汁を拭って食べるに素朴で程よい心地よさです。
真打登場、ローストビーフです。当店の調理スタイルは変わっていて、いま自分たちが食事をしているテーブル脇に鉄板が備え付けられており、前菜を楽しんでいる隣でジワジワと低温調理が進捗しています。
お口直しにグラニテかスープを選択することができスープでお願いしたのですが、当該スープが思いのほか食べ応えがあります。小食な方は肉に備えてグラニテにしたようが良いかもしれません。
ローストビーフが焼き上がり、目の前で恭しくカットされお皿に盛り付けられます。「ロウリーズ・ザ・プライムリブ(Lawry’s The Prime Rib)」とはまた違った高揚感。お肉は「京都北山通り 焼肉 南山」から取り寄せている熟成肉であり、肉の味が濃く旨味が強く、進次郎ふうに言えばセクシーな味覚です。牛のタタキやレアなステーキとはまた異なる口当たり。お肉の風味を活かしたソースもバッチグーです。
デザートはプリンにバニラアイス。素朴な甘味ではありますが奥行きと深みが感じられる味覚であり、先のローストビーフに通じる真実味が感じられました。
食後の飲み物は、景色が気持ち良いの女子っぽくアイスラテにしてみました。洛北の山々を眺めつつ旨いコーヒーを飲む、至福のひと時。

以上を食べ、ワインをふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1万円強。同クオリティの食事を東京で楽しめば倍以上は請求されることでしょう。やはり京都は肉食文化が進んでいるため、肉を中心に提供するレストランのレベルが非常に高い。「にくの匠 三芳(みよし)」的な肉割烹とはまた違った愉しみがあり、京都で肉を食べるのであれば候補のひとつとして間違いなく推したいお店です。

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