ラ・プラージュ(La Plage)/佐渡(新潟)

佐渡島は佐和田エリアにある自称オーベルジュ「Ryokan浦島」。ここ数年泊まった中ではトップクラスに酷い宿泊施設です。食事は和か仏かの選択制であり、我々は2泊したのでその両方を。今回はフランス料理のディナーをご紹介。店名はフランス語で「浜辺」という意味です。
須藤良隆シェフは佐渡出身。辻調を出ていくつかのフレンチレストランで腕を磨き、リヨンの「Paul Bocuse(ポール・ボキューズ)」でも研修したそうです。帰国後は家業である「Ryokan浦島」を継ぎ、その洋食部門の料理長に就きました。
酒はビールもワインもグラスで千円を切る価格設定であり、宿泊代金(1泊7-8万円だ)に比べると良心的なのですが、ワインリストはうすうすでフランス料理屋として大丈夫かいなという気お気持ちです。
アミューズは甘海老に佐渡サーモン。素材に忠実なひと口であり、曖昧さが一切ない味覚です。
岩ガキには火を入れてバジルのソースなどで工夫を凝らしているのですが、昨夜の岩ガキのほうがサイズが倍くらいあったので、どうしても比べてしまいました。
パンは2種用意されるのですが、双方ともにイマイチですねえ。そういえば当館の朝食のゴハンもベチャベチャでイマイチだったので、あまり炭水化物に興味のない宿なのかもしれません。
ブリのタルタルは素材そのものは悪くないのですが、血の池地獄のようなジュレ(?)の色味が不気味であり、大きな溜息をついてしまいました。
焼きトウモロコシのポタージュは美味しいですね。こんなに甘いトウモロコシがあるのかと目を剥く糖度であり、何ならアイスクリームにしてデザートで出してしまっても良いレベルです。
お魚料理はアマダイのウロコ焼き。味そのものは悪くないのですが、うーん、このダサいプレゼンテーションは何だろう。披露宴的というか何と言うか、いまいちアガらないひと皿です。
メインディッシュは島の黒豚を用いた一皿であり、やはり盛り付けが時代遅れに感じます。味そのもの野暮ったく、これならトンカツにでもしたほうが余程美味しく食べれる気がします。
デザートはコシヒカリを用いたアイスとのことですが、どうにも既製品を適当に盛り付けた感が否めなく、フランス料理ひいてはフランス文化に対する愛情が感じられませんでした。
食後のコーヒーにスティックシュガーとコーヒーフレッシュ。はーん?コーヒーフレッシュ?この締めくくりが当館のフランス料理に対する姿勢の全てを物語っているでしょう。

1泊7-8万円のオーベルジュの夕食としてはあまりにお粗末であり、同じ価格帯のオーベルジュで同じ新潟県にある「Winerystay TRAVIGNE」などと比べると大きく見劣りします。前夜の和のコースも食体験として悲痛としか言いようがないものでしたが、素材が潤沢であった分まだマシに思えてきました。

先代らのこれまでの功績により今のところ佐渡島で一番の料理旅館と認知されているようですが、今や「俺の~」系列のほうが料理のレベルとしては上に感じました。これからの客であるデジタルネイティブ世代も馬鹿ではないので、このままでは気付かないうちに確実に廃れていく気がします。田舎でオーベルジュやるんなら、賢島のひらまつぐらい覚悟を決めてやってほしいところです。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。