鮨 つきうだ/中目黒

中目黒駅から徒歩10分の住宅街と変わった立地。かねさか出身。2016年9月1日オープンの割に新しいお店です。
内装やカウンター、まな板など、全てが木材で取り揃えられており統一感があります。カウンターは8席なのですが、奥には個室もある模様。
マスターズドリームで乾杯。香りが良くて、甘味があって、コクがある。抜け目無く旨いです。暑い1日だったので秒で飲み干してしまいました。
まず最初にヒメサザエと万願寺唐辛子。基本に忠実。素直に美味しい。ひっそりと、しかしながら確実に旨い幕開けです。
カレイ(マコガレイ?ホシガレイ?忘れちゃった)のお刺身。バランスよく脂を含み、歯ごたえも絶妙。旨味も強く、並のヒラメよりもレベルは断然上。
ビンビールは小ビンで800円。これはちょっと高いかな。であれば同価格の生ビールのほうが精神的に納得感があるような気がしました。
シャコ。このシャコは抜群に美味しいですねえ。程よく漬けられ品の良い調味を湛えており、ザクっとした食感に、シャコそのものの余韻の長さを楽しむことができます。人生で最も旨いシャコであった。ちなみに「ガレージ」とは隠語でシャコ(車庫)を指すらしいです。
タコ。こちらもこねくりまわすことのない、正真正銘のタコなのですが、程よい歯ざわりを残した仕上がりでありオーセンティックに美味しかった。
良い香りのするグツグツが置かれます。この色、恐らくは肝のソースが主体のスープであろう。昆布の香りが穏やかに食欲を喚起させる。
サイコロ大にカットされたアワビを先のグツグツに浸します。これはもう、見ての通りの美味しさですね。ただ、アワビの表面はツルンとしているため、あまりソースが絡まないなあ、残ったソース、もったいないなあと心配していると、
バキューン!シャリと山盛りのウニを投下して頂けました。これは、アガる。即席のいちご煮リゾットであり、芳醇な海の豊かさが凝縮された見事な1皿でした。
日本酒は五凜から入り、田中六五、飛露喜へと進みました。いずれも1合1,800円と悪く無い価格設定です。ちなみに公式ウェブサイトにはコルケージ1本4,000円で持ち込みできるとの記載。一升瓶とかマチュザレム持ち込んだら怒られるかなあ。
にぎりに入ります。まずはアマダイ。色は濃い目ですが、味はタイそのもの。筋肉質な歯ごたえに奥ゆかしい旨味が感じられました。
マナガツオ。10年ぐらい前はそれほど好きじゃない食材だったのですが、ここ数年は好んで食べるようになりました。西洋料理で火を通して食べるよりも、和食として生で食べる方が好きなのかもしれません。
キビナゴ。鹿児島で刺身として食べたことはありますが、鮨として食べるのは初めてかもしれません。シンコの4枚漬けのような背徳感があり、サッパリとしつつも微かな苦味が感じられ美味しかった。
カツオのヅケ。調味が濃く、ネットリと官能的なまでに漬け込まれ、酒のツマミに最適。柚子胡椒で食べるのも乙な味。
マフグの白子。表面には焼き目がついており、中身はトロり。底のシャリと混ぜ合わせて、これまた贅沢なリゾットの完成。
コハダ。出すぎず下がり過ぎず、程よい締まり具合であり私好み。
スミイカ。するすると包丁が入っており、その裂け目裂け目が舌先にまとわりついて、程よい滑らかさ並びに甘味を演出します。
カマスの焼き物。お、間にツマミを挟んでくるのも酒飲みには堪らない演出ですね。塩気が中々に強くホクホクとした食感を楽しむ。
クルマエビ。特大品がでろりんと皿から垂れ下がり、オプティマスプライムのような威厳を感じさせます。火入れの頂点の1歩手前という印象で、ジトっとした食感が大人の色気を漂わせ、濃く強い甘みが後を引く美味しさ。本日一番のお鮨でした。
カボチャの浅漬けで気分を落ち着かせます。これが地味に美味しくって、3番セカンド篠塚のような玄人ウケする存在でした。
イシガキガイ。ホタテとトリガイの中間のような食感であり、甘味が強い。2ピース用意して頂きボリューム満点なのですが、若干の臭みが気になりました。
大間のマグロ。時期はやや早いのかもしれませんが、なるほどツナ界の巨人だけあって風格のある味わいです。ヅケとトロなのですが、ヅケのほうが魚そのものの味が濃く感じ私好み。
タチウオ。皮目から滲み出た脂で揚がったような風味であり、香り高く甘味が強い。シャリにピッタリじゃ。
白エビ。やや熟成しているのか、よりネットリとした食感で余韻が長い。トップシーズンに富山で食べたそれよりも旨く、これをツマミにチビチビと日本酒をやる幸せといったらない。
タイラガイは海苔で包んで磯辺焼き風に。これが冗談はよしこさん級に旨い。特に海苔。磯の風味の凝縮感が突出しており、主役であるタイラガイを食ってしまうほどの美味しさでした。
クジラはタマネギソースで。色こそ猛々しいものの非常に清澄な味わいで、馬刺しの良い部分を食べているかのような錯覚を覚えました。タマネギソースは解りやすい味わいで万人ウケすることでしょう。
土瓶蒸し。なるほど単純にお椀を出すよりも印象に残りやすいですね。具材の魚は何だっけな。上品な味わいに溢れた白身ならびにそのエキスをたっぷり堪能できました。
ノドグロの炙り。先のタイラガイにおいては海苔の風味が勝っていましたが、今回の勝負ではノドグロに分があります。手渡された直後からジュワジュワと肉汁が溢れ続ける直線的な味覚。クルマエビと双璧を成すほどの美味しさです。
アジ。肉厚で美味しいのですが、ノドグロの後では味も薄く存在が霞んでしまいました。もう少し序盤で食べたほうが印象に残ったのかもしれません。
アナゴは今にも崩れ落ちそうなゆるふわ系であり、口に放り込んだ瞬間からホロホロとほどけて行き、上品なツメが後から追っかけてきます。
〆の巻物はたっぷりのケガニとウニ。間違いなく美味しいのですが、いずれもスター選手の集合体であり、往年のレアルマドリードのように味の濃い作品となってしまいました。ケガニとウニを別々の巻物で食べたほうが良かったかもしれません。
ギョクは表面がキャラメリゼしたような照りを放っており、興味深いひとくちでした。

食事が2万円の、それに酒代がプラスされてひとり2.5万円といったところ。いい感じの費用対効果ですね。都心であればもう1万円はプラスされてもおかしくないクオリティです。店主はとても親しみやすく柔和な方なので、高級カウンター鮨デビューにはうってつけのお店かもしれません。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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