マキノンチ(Makinoncî)/山の上町(金沢)

金沢駅から車で15分ほどの山の上にある「マキノンチ(Makinoncî)」。もともと「フランス料理Makino」として長く金沢で好評を博したフランス料理店ですが、2020年7月に卯辰山へ移転。ミシュラン2ツ星です。
木の温もり、というか木そのもので埋め尽くされた店内(写真は公式ウェブサイトより)。10席ほどのコの字型カウンターに個室という組み合わせです。

しかしながらこのカウンター席が曲者で、目の前で料理が取り分けられるなどの演出は楽しいのですが、ゲストの中にかなり個性的な振る舞いをする方がおり、その奇行が気になって気になって食事に全く集中できませんでした。

席数の少ないカウンターは同じ船の乗組員。変なのがいれば全体のムードが台無しになるので、お店側は苦笑いを浮かべながら見て見ぬふりを決め込むのではなく、毅然とした態度で取り締まるべきでしょう。要予約ランチ13,200円ミシュラン2ツ星フレンチで、ああいった異常行動が跋扈することにつき、普通の客は覚悟できていないので。
アミューズはオカズ系のカヌレと面白い。土台の風味はシロエビであり北陸感に満ちています。人参のムースと雲丹のコンソメジュレは牧野浩和シェフの修行先「ル・マノアール・ダスティン(Le Manoir D’HASTINGS)」へのオマージュか。
牡蠣とポルチーニのロワイヤル。双方の食材の美味しい部分が凝縮されており、小さなカップながら存在感のあるひと品です。
バリっと炙った越前サワラ。むっちりザクザクとした食感で食べ応えがあります。
素潜りで獲れた黒アワビをコロッケ(フライ?)に。烏骨鶏の卵を組み立てた右翼の筒を手元で混ぜ合わせて贅沢なタルタルソースを作り上げます。
パンは野々市の「ニオール」からの仕入れ品であり、なるほど素朴ながら洗練された味わいで説得力のある美味しさです。
真っ黒のチップスを脇に置くと真っ白なアカイカが現れます。土台ならびにチップスにはイカスミが用いられており、見た目以上に旨味が強く迫力のある味覚です。
琵琶湖の天然の鰻にそのピラフを詰め込みバリっと焼き上げます。悪くはないのですが、せっかくの天然鰻のマッチョな食感を愉しむことができず、グズグズとした鰻の混ぜご飯を食べたという印象。
薪火で焼いたシカ。こちらは大天使降臨とも言うべき美味しさですねえ。肌理はどことなくザラつきを感じる肉質ですが、細胞の一粒一粒から旨味が溢れ出てくるようなニュアンスがあり、肉そのものとして大変美味しかった。
デザートの、バジルの香りを移したチョコアイスが本当にバジルの香りで満ちており面白い。ブルーベリーもフレッシュで美味。土台の生地はモッサリとした食感で少々歯切れが悪かった。
プリンにはローズマリーの香りを移しており、先のチョコアイス同様に興味深い味わいです。アマゾンカカオのショコラについては、冒頭のゲストが本日の奇行の集大成とも言うべき常軌を逸した行為へと突入し、奇行を通り越して不衛生なのが気になって気になって、味わいについては記憶に全く残りませんでした。次のゲストが気の毒だ。

以上を食べ、ランチのコースだけなら13,200円。奇癖に始まり奇癖に終わった食事であり、料理そのものは悪くなかった気もしますが、やはり奇矯な行動の記憶が支配的です。他のゲストに大迷惑を及ぼす客を諫めることができない接客レベルなので、接待や勝負デートなど、重要な意味を持つ食事での利用は難しく、客側が自衛するためには結局のところ仲間内での貸し切りでしか使いみちは無い店なのかもしれません。

レストランとは旨いメシさえ出せば良い、というわけでは決してないことを再認識したランチでした。

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