ベージュ アラン・デュカス 東京 (BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO)/銀座

銀座はシャネルビルの10階にある「ベージュ アラン・デュカス 東京」。フランス料理界の巨匠アラン・デュカスとシャネルがタッグを組んだ、東京ではトップクラスに格式の高いレストランです。1階のレセプションで仰々しく迎え入れられ、シャネルのボタンのエレベータで10階に上がり、ファッションショーのランウェイのようなウェイティングルームを抜けてダイニングへと向かいます。
インテリアは、世界中のすべてのシャネルブティックの設計を担当するデザイナーが担っているらしく、なるほどシャネルのテーマカラーであるベージュ色を基調に、シャネルの生地を想起させるソファやカーペットなど、全てがシャネル仕様です。「シャネルは別格。服からアクセサリー、バッグ、靴、化粧品に至るまで全て単一ブランドで揃えられるのはシャネルだけ」という、誰かの言葉を思い出しました。今日は胃袋までシャネルである。
覚悟していた通り酒はバカみたいに高く、いずれも市価の3~4倍といったところ。サービス料12%というのもボディブローのようにきいてくるのですが、サービス陣のクオリティは東京随一であり、これであれば12%でも15%でも好きなだけ持っていきたまえ。「なんかしらんけど10%余計に徴収しても良いルールらしい」と勘違いしているレストランが多い中、当店においてはサービスの神髄を見ることができました。
酒を決めたらスっとツマミが差し出され、そこから食べ物メニューでじっくりと料理を決めていきます。このあたりの試合運びは完全にフランスですねえ。ツマミもジャガイモをベースにビーツを差し込んだ仄かに温かいものであり気合が感じられます。
料理を決めたら早速アミューズ。シェフ自ら調達する鎌倉野菜。少しも押しつけがましくないサラっとした調味であり、そおっと内臓に寄り添います。奥のヒヨコ前のペーストにカボチャのアイスも滋味あふれる地味な味わい。
ランチのプリフィクスコース的なものでお願いし、私の前菜は「備長炭で炙った季節野菜」。そのへんのスーパーでは手に入れることのできない種類と質のお野菜がたっぷり。レストランの醍醐味である。
パンはいずれも最高レベル。写真は蕎麦とお米(だっけ?)のパンであり、その他2種類が用意されましたが、いずれも素朴にしみじみ旨い系であり、ロブションの派手派手なフレーバーとはまた違った魅力がありました。
お魚料理は「備長炭で焼き上げた天然サーモン」。備長炭と言えば焼鳥のイメージであり、サーモンをこんな風に丁寧に焼かれて食べるのは初めてかもしれません。魚そのものの美味しさはさておき、付け合わせのスイスチャードをパターン分けして調理し、また配膳時に流し込まれる追いソースも含め、全体として複雑でバランスがとれた一皿でした。
メインは「フォアグラと鴨の炭火焼き」。鴨そのものは舌圧子のような口当たりであり眉を顰める硬さだったのですが、やはり付け合わせのビーツとリンゴやソースの出来栄えを勘案するに、総合的にみてやはりレベルが高い。
お口直しは本当にお口がフィックスされるような爽やかな味覚。安っぽいグラニテのようなジャラっとした舌触りとは一線を画す滑らかさです。
デザートはもちろんシャネルのアイコンをモチーフとしたカメリア。私は彼のチョコ屋に出入りするほどココのチョコがすちなのですが、見てくれがどうのこうの以前にやはりチョコとして根本的に美味しいですね。別皿にて供されるチョコアイスもクラシック、かつ、スタイリッシュな味覚です。
ビルの屋上で育てるハーブを用いたお茶で〆。ごちそうさまでした。

以上を食べ、ふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり2万円強。ランチでこの支払金額は中々のものですが、上手く注文すればもっとお安く楽しめます。

というのも、料理の皿数を減らす代わりにグラスワインが2杯ついて1万円ポッキリ(税サ別)というプランもあり、酒も食事も量はそんなに要らない派にとっては恐らくそれで充分。シャネルとアラン・デュカスの世界観を楽しんで1万円であれば安いもの。

サービス陣のシュっとした対応や調度品などを含め、銀座の大人のテーマパークと呼べるかもしれません。まずはランチでどうぞ。

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