ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ(La Boucherie du Buppa)/中目黒

中目黒から祐天寺方面へ。レトロな商店街のどんつきにあるジビエならびに熟成肉の専門店。もともとは「トロワピエロ」というフランス料理店だったのですが、「ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ」と名前を改めて再出発。
コンセプトが「フランスの肉屋が営むブラッセリー」なだけあって、映画「ロッキー」のトレーニングシーンを思い出しそうな肉のぶら下がり方です(写真は公式ウェブサイトより)。ジビエの仕入れには一家言あり、狩猟時期や処理方法・年齢や性別に至るまで細かなオーダーをしているそうな。
ところで我々は一休経由で予約を入れ、「選べる乾杯ドリンク1杯」としてシャンパンが選択肢にあったのですが、案内されたのは何でもないスパークリングワインでした。こういうのはいずれバレるのでやめたほうが良いと思います。
アミューズにアシ パルマンティエ。まさに焼きたてのグツグツスタイルであり、単刀直入に美味。チーズの下にはジャガイモと鹿肉であり、その肉の旨味に鹿肉がありアミューズとは思えないほどの存在感があります。ちなみに「パルマンティエ」とはフランスの薬剤師・農学者・栄養学者であり、フランスにジャガイモを食用とする事を広めた人物ですこれ豆な。
前菜にシャルキュトリ盛り合わせ。豚肉が数種に鴨、牛のリエットなど。いずれも凝縮感があり肉々しさがあって旨い。付け合わせの根セロリやプチトマトなどもセンスを感じさせる調味です。
「志賀高原ビール」を手掛ける玉村本店の新ブランド「山伏」がありました。ヒューガルデン的フルーティーな味わいであり、酵母を感じる華やかな香りが印象的。なかなか流通していない酒であり、これを目当てに当店を訪れる方も多いとか。
バーニャカウダ。新鮮な野菜がたっぷり出され嬉しくなります。自分では中々買わないカラフルな根菜が混載されており、こういった食材を食べることができるのはレストランの醍醐味である。

なのですが、ここから次の料理まで謎に30分以上待たされ退屈しました。ネット上の口コミでも「料理を出すテンポが悪い」とのコメントが散見されるので、ズッ友のような関係で訪れないと会話が持たないことでしょう。
牛肉のタルタル。表面にはバリっと火を通しています。ソース(?)の酸味が思いのほか強烈で珍しいタイプの調味です。量はあまり多くなく、散々待たされた挙句になんだかなあという印象。
「山伏」が旨いのでもう1本。ちなみに限定品の木樽で寝かせたタイプのものは1本5千円超と凄味のある価格設定です。
メインはキジとカモ。やはりかなり待たされたので嬌声も中くらい。上手く熟成されているためか、野生肉とは思えないほど上品な味わいであり臭味など一切ありません。クセの強い肉料理を期待しているゲストにとっては物足りないかもしれませんが、ジビエを食わず嫌いしている方にとっては魅力的な調理と言えるでしょう。
デザートは伊予柑のムース(?)にオレンジの風味をきかせたチョコアイス。見た目は真っ黒なのに味わいはめちゃんこオレンジという面白い仕上がりです。
ハーブティーを飲んでごちそうさまでした。ビールで通したためお会計はひとりあたり1万円強と安く済みましたが、普通のペースでワインを飲めば1.5万円といったところでしょうか。
肉は美味しく雰囲気もあってリーズナブルなのですが、やはりあの皿出しの遅さは玉に瑕。まあまあ高い割に空気は非常にカジュアルなので(隣の客がすげえうるさかった)、フランス料理に係る金銭感覚に理解のある人と訪れなければなりません。ちょっとゲストを選ぶ店に思えました。


食べログ グルメブログランキング

関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

関連ランキング:その他肉料理 | 祐天寺駅中目黒駅