ユニック(UNIQUE)/北浜(大阪)

大阪は北浜駅から徒歩数分、大正12年に建てられたレトロなビルに入居する「ユニック(UNIQUE)」。中山大輔シェフはホテル系のレストランで腕を磨き、「ラ・クロッシュ シェフズルーム(LA CLOCHE CHEF'S ROOM)」の料理長を務めた後に独立開業。
内装がカッコイイ。広い厨房を大胆にインテリアに見立て、カウンター席を作り付ける。テーブル席もたっぷりあり、柱を大胆に露出させたり土壁をそのまま残したりと、アンティークな風味を残した素敵な雰囲気です。
お酒もリーズナブル。泡のボトルが1万円を切るあたりから始まっており、気兼ねなく飲み進めることができます。お料理は「塩やバター、生クリームは極力控え、農家の方や漁港から直接届く旬の食材を使い、素材のうま味を存分に楽しんで頂くことができます」との説明。
アミューズは4種。ズラズラとテーブルに並べられあげぽよです。アワビの肝のチップスにマッシュルームのドロドロスープ(ヴルーテ?)、ニンジンのペーストが入ったマカロン、安納芋のケークサレ。マッシュルームの風味が強く記憶に残りました。
生のボタンエビを用いた料理なのですが、そのプレゼンテーションが素敵ですねえ。色とりどりの大根を用いて春のような外観。しかしながら味わいはしっかりと冬を感じられる凝縮感があります。
バゲットはプレーンなものであり、普通です。ソース濃いめのコッテリ系であればこのぐらいでちょうど良いのですが、繊細系の芸風であればパンにも存在感が欲しいところ。
Riz au laitすなわちライスプディングの素材にカブを起用したもの。しっとりと優しい味わいであり、内臓を撫でられたかのようなホッコリ感があります。
豚肉のハンバーグ(?)にフォアグラ。唐突に味の濃い1皿であり、豚肉の旨味にフォアグラの脂がのっかり食べ応え抜群。振りかけられた粉はダメゼッタイ由来のものではなく、フォアグラのコンフィをパウダー状態にしたものです。
お魚料理はイトヨリダイ。しっかり目に火を入れシンプルなソースで頂きます。ポーションが大きくイカも備え付けられていたりと胃袋に鎮座する魚料理でした。
お口直しのグラニテ。昼のコース料理で律儀に口直しを出すお店は珍しい。シェフのフランス料理に対する真摯な姿勢が垣間見えた瞬間です。
メインはフランス産の鴨。王道中の王道といった調理であり、ガッツリとしたポーションもフランス流。調味もしっかりとしており、私は大満足でしたが人によっては食べ疲れしてしまう場合もあるかもしれません。ビーツのチップスの食感と風味が好き。
デザート1皿目はサッパリと。ヨーグルトのムース(?)に柑橘系のジュレやシャーベットが折り重なり爽やかな味わいです。
デザート2皿目はイチゴ系。パリっとした生地を崩しながら食べていくのですが、これまでの料理の質および量に比べるとシンプルに感じました。甘党としてはもっとややこしいデザートだと嬉しいです。付け合わせのトンカ豆のアイスはグッド。
お茶菓子は凝っています。温かい紅茶のプリンはお茶の香ばしいかおりが濃厚。節分のオニに見立てた薄皮仕立てのクッキー(?)も面白い。
レモングラスのお茶を飲んでごちそうさまでした。一通りのコースと2人で泡を1本、メインに合わせてグラスを1杯楽しんでひとりあたり1.6万円。これは大変リーズナブルですねえ。連れは「満腹でぶっ倒れそう」と評していたので量も多かった。

店名とは裏腹に、良い意味で王道の味わいが続く、珍奇な料理は出さない正統派フランス料理に感じました。ランチでも相当な完成度を見せてくれたので、果たして夜に行く必要はあるのかと逆説的な評価までしてしまうレベルです。つまり、良い店である。


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