ワンワールドを脱退するラタム航空のビジネスクラスを5連チャンで乗り納め

2019年の年末から2020年の年初にかけて南米を周遊してきました。南米の航空会社といえば「ラタム航空」一択。現在はワンワールドに加盟していますが、2020年5月1日に脱退を表明しており、その後はワンワールドの世界一周券を用いての南米旅行は難しくなるのでご注意を。
さて、その年末年始旅行において私はラタム空港のビジネスクラスに5回搭乗したので、ラウンジと共にご紹介したいと思います。


■1.サンティアゴ→イースター島
イースター島はチリ国内ではありますが本土から4,000km近く離れているので、チェックインなどの手続きは国際線に近い煩雑さを求められます。サンティアゴ空港4階の国際線カウンターに行き手続きを済ませ、イースター島訪問者向けのwebフォームを入力し、その登録番号の画面を持って2階の国内線ターミナルのPDI(警察?入管?)へと向かい、審査を受ける必要があります。
サンティアゴの空港はラタム航空のお膝元であるにもかかわらず、国内線ターミナルは専用のラウンジはありません。したがってサードパーティのラウンジを利用することになるのですが、ひとつのラウンジはカード会社の共用らしく家族連れが多くて騒がしそう、もうひとつはプライオリティ・パスなどが必要となる静かなラウンジです。私は後者を利用しました。
しかしながらこのラウンジがイケてなかった。早朝だったせいもあるかもしれませんが、まともな食事はおろかアルコールもなく、コーヒーマシンすらメンテナンス中。なぜ有料ラウンジに来てまで白湯を飲まねばならんのだ。モデルかよ。
椅子と机は床に固定されており、しかも向きが真っ直ぐではなく、常に違和感を抱えたまま机に向かうこととなります。
この個室のみが唯一自由に椅子を動かすことができるのですが、1室しか無いのでタイミングが命です。
搭乗。機内は丸みを帯びたピンク色で、ラブリーな宇宙船のようです。アンマンからドーハへ移動した際に利用したカタール航空のファーストクラスによく似ています。
シートの幅は国際線ファーストクラス級に広く、ベッドもフルフラットになり思い切り脚を伸ばすことができます。6時間のフライトなのにベッドマットやちゃんとした布団、枕も用意されており、国内線のビジネスクラスにおいては最高峰の設備です。
サービスは普通にカンジが良い。飲み物の種類も多くアルコールもあり、主力は南米のワインでした。
ただし、早朝便であるためか食事は貧弱です。チーズやハムならハズレもなかろうと、そのプレートを選択したのですが、味が薄く雪印の6Pチーズのほうがまだ美味しいレベルです。
食事に見切りをつけ、手早くベッドを作ってひたすら睡眠を貪ることにしました。今回の旅行は時差がしょっちゅう変わり早朝便や深夜便も多く、ホテルでまとまった睡眠を確保する機会に乏しいので、飛行機でどれだけ寝れるかが勝負なのです。
ひたすら眠り続け、意識が回復すると既に着陸30分前の着陸態勢。あっという間にイースター島到着です。


■2.イースター島→サンティアゴ
先の「■1.サンティアゴ→イースター島」の折り返し便なので、設備は変わりません。が、なぜかサービスがバタついており、見るからにてんてこ舞いでした。何かあったのだろうか。
ケータリングはイースター島での調達であるため期待していなかったのですが、なかなかどうしてこの牛肉の煮込みは悪くなかったです。チーズもグッド。


■3.サンティアゴ→リマ
サンティアゴからニューヨークへ向かう国際線であり、リマで経由するという航路。我々はリマで降ります。設備はイースター・サンティアゴ間のものとほぼ同じ。なのですが、CAたちが妙に気合い入っており、ハイタッチでもしてきそうなノリの良さでした。国内線と国際線の違いなのでしょうか。
サンティアゴという都会での食材調達であるはずなのに、イースター島からの食事とほぼ同じ味わいでガックリ。こういうところでサービスレベルを一定させんでよろしい。ワインに力を入れているのか、ワインリストが別ブックで用意されていました。


■4.ラパス→リマ
ラパスはボリビアの首都であるにも関わらず、その空港は田舎のバスターミナル並です。ベンチで野良犬が悠々と寝ている。
ラタム航空のラウンジは存在せず、プライオリティ・パスのラウンジしか利用することができません。
ネットは繋がらず、食事もアルコールも無し。コーヒーメーカーすら壊れており、世界最弱のプライオリティ・パス・ラウンジと言って良いでしょう。
ビジネスクラスでの予約だったのですが、シートの幅はエコノミーと同じであり、前後のスペースは多少広いかな、といった程度。新幹線の普通席のほうがまだ快適です。ビジネスクラスにも色々あるのだ。


■5.リマ→メキシコシティ
リマはペルーの首都だけあって、空港も立派です。カード会社の共用ラウンジやプライオリティパスのラウンジの他、エアライン専用のラウンジもしっかりと用意されていました。
このラウンジが結構かっこよくて、私の知る限り南米の空港ラウンジとしては最高のクオリティを誇ります。アルコールは飲み放題ではなく1人につき1杯まで。搭乗券を提示してハンコを押してもらう仕組みです。
食事は中の下というところですが、南米の他のラウンジは下の下であることが殆どなので、相対的にとても美味しく感じました。
設備はサンティアゴからリマへ向かうものと全く同じ。何度も何度も自分でベッドメイクしているので、そのへんのCAよりも手際が良くなってきたかもしれません。
食事メニューが凝っていて、「Pamela Fidalgo」というコチラでは有名な料理人の監修だったので期待したのですが、出てくる肉はいつも通りでした。良くも悪くも牛肉の質がめちゃんこ安定しています。

というわけで、ひとくちにビジネスクラスといっても色々あって、同じ航空会社であっても千差万別です。ファーストクラスについても然り。私がまだまだ若い頃は「ファーストクラスに乗った」「ビジネスクラスに乗った」という話を聞けば、まあお金持ち!という反応しかできませんでしたが、今では新幹線以下のクオリティのビジネスクラスも存在することを知っているし、上手くやれば上質なファーストクラスを格安で楽しむことができることも学びました。大人って楽しいな。


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