鮨 すが弥(すがや)/赤羽橋

「かかしまつり」で有名な東麻布商店街の入り口すぐ近く、2018年12月にオープンした「鮨 すが弥(すがや)」。菅谷崇之シェフはすし匠系列で研鑽を重ね、銀座の名店「鮨あらい」の二番手として活躍した後に独立。暖簾をくぐると石畳があり、もう一枚扉があるというアプローチが格好良い。
店内は無音。ビシリとしたL字型カウンターが広がり、高さが無いため大将の手元をじっくり楽しむことができます。8席一斉スタート2回転の日と1回転の日があり、ゆっくり飲みたいのであれば1回転の日を狙いましょう。と言っても予約は半年以上待ちですが。
マスターズドリームで乾杯。今回はビールとひたすらの日本酒で固めましたが、ワインリストにはスーパースター揃いであり、(金に糸目を付けない)ワイン通でも納得のラインナップでしょう。持ち込みはNGです。
まず最初にハマグリのスープに白子。ハマグリよりもハマグリの味がする濃密な液体であり、内臓がゾクゾクと刺激されました。1品目から手のかけた温かい料理を出す店は大抵旨いものである。
手前はヒラメ、奥は2週間熟成させたクエ。コリコリとした食感とネットリとした舌ざわりの対比が面白く、それぞれ異なった方向の旨味を湛えています。
カツオはたっぷり3枚。血気盛んな赤い肉には、、、
山わさび・ネギ・鰹節を和えた魔法のペーストで頂きます。これが、旨い。これ単体で日本酒をチビチビやれる存在感であり、カツオと共に口にすればウヒョウという美味しさでした。
小皿にシャリを盛り、塩辛を盛り付け山わさびをトッピング。食べる前から酒を追加注文したくなる逸品です。カタメ強めのシャリに塩辛の味覚が覆いかぶさり、最後の山わさびのビビッドな味わいが口の中をリセットしてくれます。
タッパーから取り出した際には二郎のチャーシューにしか見えなかったのですが、なるほどこれが噂のアンキモですね。緻密な食感のアンキモに思いきりの良い調味が映える映える。あまりに旨すぎて発電でもできそうです。
にぎりに入ります。まずはタイの昆布締め。店主は「鮨屋に来ていただいたからには、握りを召し上がっていただきたい」と、にぎりがたっぷり出るお店です。銀座「はっこく」麻布十番「すし家 祥太」など、最近、にぎりをしっかりと出すお店が増えてきました。
スミイカ。粘着質のあるアタックにサクっとした噛み応え。後で広がるシャリの余韻。先にも述べましたが、当店のシャリはかなりカタメに炊かれており一粒一粒の存在感があります。何でも「横井醸造」の米酢と赤酢をブレンドしているそうで、とても印象に残る酢飯です。
まるで焼肉屋、A5ランクの和牛の盛り合わせのような一皿は名鮪問屋「やま幸」から引いています。そうそう、店主はデジタルネイティブ世代であるためインスタ等に抵抗はなく、写真撮影は全面的にOKです。みんなで一緒に映えましょう。
まずは赤身。サラっと醤油を塗っただけなのでしょうが、実に旨い。このあと複数のマグロが続きますが、この赤身が特に正しい味がしたような気がします。
背トロ。背びれの周囲にある肉であり脂が上品でサッパリ。それでいてしっかりとトロトロしており、ある意味では矛盾を抱えた素材です。
中トロ。徐々に脂がクレッシェンドしていき脂由来の甘味と旨味が強くなっていきます。
大トロは思わず溜息が出てしまう美味しさ。脂が強いのは当然のこと、不思議と酸味が感じられるのが面白い。鼻から抜ける香りの良さも見事。
マグロで絶頂に達した後はガラっと雰囲気変えてコハダ。〆が強く、またシャリも強いので食べ応えのある1カン。
エビが大きい。カウンターからダラりと下げて天本スタイルです。ムシャムシャと永遠に咀嚼することができ、2カンほどのボリューム感があります。
小柱は海苔の風味が良いですねえ。貝の穏やかな甘味と旨味にアクセントを添える磯の香り。軍艦巻きっていいな、と思える1カンでした。
ブリいったん炙った後に5日間の熟成をかけています。食感こそ柔らかくなるものの、その分旨味と複雑性が増し、ナッツのような香りすら感じられました。
写真だと伝わりづらいのですが、このイクラも相当に量があります。ラーメンのレンゲで3杯分ぐらいかなあ。ただし見た目とは裏腹にさっぱりとクリアな味わいであり、押しつけがましくない味わい。
ウニは2種類のウニを盛り込みます。上へ上へと盛り付けるタワー系の軍艦であり、口に含むとシャリとの比率がおかしいことになってます。ウニのブルーテの中に米粒がハラハラと紛れ込む、そんな味わいでした。
お新香もシンプルながら美味しい。上品な漬け込みにコリっとした食感。1本まるごと買って家庭に常備したい衝動に駆られました。
アナゴは形を辛うじて保っていると言って良い程、ホロホロな食感。ツメの調味は濃く、なるほど当店は全体を通してかなり味濃いめな芸風なのでしょう。
さて、祭りの時間がやってきました。本日用いたマグロたちがカーテンコールで再び現れ、オールスターでのエキシビション・マッチが始まります。
風の谷のナウシカの色違いかと見紛うほどのマグロの山。
この鮨をクリエイトできるか否かは技術というよりも決断力や胆力の有無が重要となってくるでしょう。
王道中の王道といった味噌汁でフィニッシュ。
タマゴは無く以上で一通りとのこと。ここからは追加で鰯。脂がたっぷりの個体であり、また、思い切り強く締めており、何とも押し出しの強いにぎりです。噛みしめる程に広がりがある美味しさ。
カンピョウ巻きも鮮烈な味覚。海苔の風味の豊かさは既に述べましたが、カンピョウの調味も強く、ワサビの塗り付けもはっきりしています。涙こぼれる爽快な辛さでフィニッシュでした。

お会計はひとりあたり4万円弱。かなりたっぷりのにぎりを食べ、お料理に合わせた日本酒を好き放題に飲み、イワシとカンピョウを追加してこの価格であれば納得です。大将は飄々とした雰囲気であり、鮨屋独特の緊張感などは一切なく、なんとも居心地の良い鮨屋でした。マグロを山ほど食べたいならここだ。


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  • 鮨 すが弥 ←マグロを山ほど食べたいならここだ。
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  • ゑびすや魚店 ←東麻布で100年近く続く魚屋が、魚屋料理とお酒を楽しめる居酒屋を営業。
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