白金シェ・トモ ナチュラル キュイジーヌ(chez tomo Natural Cuisine )/白金高輪

女子会で圧倒的な人気を誇る「銀座シェ・トモ」が白金の地に新店をオープンしました。題して「Natural Cuisine」。有機自然農法の野菜などを主軸として、オイルや調味料、パンにまでオーガニックに拘ります。
木の温もりが感じられる品の良いカジュアルな空間。カウンターがたっぷりあって夜でも気軽に使えそうなのがいいですね。大きな窓に囲まれた半個室的な空間も会食に重宝しそうです。
乾杯は特製イチゴのカクテル。日本の飲食店では春先になると一斉にイチゴフェアを開催するのですが、これには違和感。日本人はクリスマスケーキに苺を多用し、また何でもかんでも初物をありがたがる民族性であるため冬からビニールハウスで無理くり生産する商習慣となっていますが、もともとイチゴは夏の食べ物である。「うるさいなあ、もともとが夏なのか何なのかしらないけど、今の日本は春にたくさん出回るんだから、それでいいじゃない。あんた絶対に厄介な老人になるよ」
私が選んだ前菜はフォアグラのフラン。フォアグラの風味は良く言えば雑味がなくクリアな味わいなのですが、悪く言えば印象に乏しい。他方、周囲を固めるクロックムッシュはわかり易い味わいでグッド。ブルーチーズ風味のベシャメルソースがトロトロと押し寄せ記憶に残りました。
連れの前菜は燻製のサーモン。先のフランもそうですが、当店はプレゼンテーションが可愛らしいですね。目で美味しい。女の子ウケするわけだ。
パンに至るまで当店はオーガニック。自家製のものであり、プレーンな味わいながら噛みしめるほどのしみじみと旨い。
スペシャリテの無農薬野菜盛り合わせ。「食材至上主義。氏、素性の正直な食材は決して作り手も、食べ手も裏切らない」と標榜するだけあって、目が覚めるような野菜の味の濃さが楽しめます。食材の種類は30近くもあり、同じ白金の「ブラッスリー ハルナ(HARUNA brasserie)」であれば大変な皿数となることでしょう。
私のメインはウズラのロースト。台座となるのは大根のコンフィであり、ザクっとした食感を保ちつつもしっかりと味は沁みており、ヨーロピアンなおでんと言えるでしょう。
うずらの内部にはプラム・レーズン・クルミ・アーモンド・ニンニク・パテなど尖った味覚が百花繚乱。これまた「最小限の足し算料理。1+1は2でしかない」と大見得を切るだけあって、それぞれの構成要素は何か、いま何を食べているかがハッキリと理解できる、納得感の厚い料理です。これはめちゃくちゃ旨いなあ。3,000円かそこらのコースのメインとは全く思えない。
連れのメインは海の幸のクラムチャウダー。パイでしっかりと包まれておりポールボキューズのややこしいスープを想起させる。「うるせーよピザデブ、カツ丼でも飲んどけよ。いちいちこの料理はこうだ、あの料理はどうだとか考えるの止めたら?ハゲるよ?」安心しろ、我が家は代々ハゲの家系だ。もう覚悟はできている。
デザートは3種からのチョイス。私はチョコ。ムーズの中に濃度の高いガナッシュ(生チョコ)がたっぷり。トップを飾るのはブルーベリーのアイスクリーム。これはもう文句なしに美味しいですねえ。サロン・デュ・ショコラで提供すれば行列間違いなしのクオリティです。
連れはイチゴ関連のスイーツを。あれだけ言ったのにイチゴを注文しやがる。トッピングされている焼き菓子(?)がフーバーダムのようで心和む。
コーヒーや紅茶まで有機もの。有機かどうかまで分別する味覚は持ち合わせてはいませんが、純粋に、実に美味しいコーヒーでした。

お会計はひとりあたり3千円と少し。大大大大大満足です。素材よし、腕よし、雰囲気よし。何もかもが完璧なコース料理が3千円って幸せかよ。バカみたいに高いレストランが増え続ける中、この費用対効果の素晴らしさは東京フランス料理界における一筋の光明です。黒板にかかれたアラカルトメニューはどれも旨そうであり千円前後。次回は夜に、フラっとカウンターで飲んでみよう。


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白金高輪は粒揃いの佳店が多いです。ちょっと不便な立地も良いんでしょうね、若い子たちを寄せ付けることが無くて。

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