立ち飲み いこい 本店/赤羽

赤羽駅近くの立ち飲み屋。午前中から常に満席近く稼働している赤羽屈指の人気店。
我々は3人組。しかしひとりが少し遅れて来るため、軒先のテーブル(?)席に着こうとすると「ちょっと!ふたりならこっちに来てよ!」と怒鳴られました。

数年ぶりに怒鳴られました。私は常日頃、修道院的な平和主義者として静かな日々を送っているため、このような威圧的な態度にはすっかり萎縮してしまうのです。この時点でブルってしまい、食事を楽しむどころではありません。
黒ホッピーのセットは320円。これまでの人生で一番安いホッピーセットです。

それにしても店員が恐ろしい。私に限らず客と言う客に対してフルメタルジャケットのハートマン軍曹のように怒鳴り続けています。客は奇妙な笑顔を浮かべながら、はあ、すんませんと謝るばかり。異常なビジネスモデルです。
マグロの刺身は110円。アメ横で売られているようなスジの多いまぐろですが、値段を考えればこんなもんか。
ポテトサラダも110円。スーパーの惣菜レベルで一般的な味わいです。

なお、ココから先の食べ物はいずれも100円だか200円だかその程度であり、いちいち値段を覚えることを放棄してしまいました。一番高いメニューは馬刺しの300円。つまり、何をどれだけ食べてもその金額が今後の人生に暗い影を落とすということは絶対に無い。石油王は普段からこんな気分なのでしょう。
モツ煮も普通のモツ煮です。当店は驚異的に安価な価格設定ですが、ポーションも極めて小さいため、費用対効果が良いというわけでは決してない。
自家製チャーシューは中々に美味しい。スーパーの惣菜とラーメン屋のそれの中間ぐらいの味わいです。

それにしても店員が年中無休の反抗期。一日中他人に向かって怒鳴り続ける人生って辛いだろうなあ。プライベートではどんな人格なんでしょうか。綺麗なモノを見て思わず笑みがこぼれる、というような感情などは持ち合わせているのか。気の利いた物書きに彼の半生を小説化してもらいたい。

皮のタレを注文。「ああ?何て?皮?塩とタレ?どっち?」とまた怒鳴られた。客なんだからもう少し丁寧に対応しろ、などと細かいことを言うつもりはありません。せめて私をひとりの人間として扱って欲しいです。
しかもタレ注文したのに塩出てくるし。まさに怒鳴られ損である。
なす生姜。漬物的なものを想像していたのですが、揚げ茄子でした。

ところで店員が女の子に対しては気持ち優しいという法則を発見したので、今後は全ての注文は連れの女の子たちにお願いすることに。

「あたし割とこういうお店、平気かも。そっちがその気なら、こっちだって強気に出るまでだし」と元ヤンの血が騒ぐ女子。異性をもってデタントは期待できないのか。
とり皮餃子。鶏皮で餃子の具を包んだジューシーな一口であり美味しい。ローソンのそれと同等です。

注文したものは全て供され、追加で食べ物が来ることは無いのに「なめろう!どこ!?」のように店内に怒鳴り声が響くと思わずビクっとひきつけを起こし、自分たちであるはずはないのにブルブルと震えてしまう。DVに苦しむ人の気持ちが少しだけ理解できました。

私は無理ですこういうお店。味や雰囲気を論じる前に、客に恐怖心を強いるという時点で飲食店としての体をなしていない。刑務所の囚人ですらもう少し快適に食事しているのではなかろうか。

確かに異常とも言えるほど安いお店であり、「安いんだから仕方ないじゃないか」という意見もありますが、私は腹を満たすために来ているわけではない。安さを追求するのであれば、スーパーで惣菜を買い込み自宅で缶ビールでも飲めばもっと安くあがるでしょう。

唯一の美点は怖いもの見たさのエンターテインメント体験を提供してくれるというところ。ドMな方はお試しあれ。


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