Marée de Versailles/Versailles


ヴェルサイユのマルシェは魅力的であるものの、観光客が惣菜を買ってその場で楽しむイートインスペースは見当たらず。
仕方なしに市場をぐるりと取り巻く通り沿いの店から、ピンと来たお店を選択。魚介料理専門店のようです。
フランス人の昼食は13時を過ぎてからであることが多く、正午に入店すると貸切状態。
コースのような気の利いた選択肢は無く、注文力が試されるアラカルト方式。
お通しにマッシュルームスープが出てきました。山の幸の凝縮感にくっきりとした味付けで私好み。少なくともゆうべの緑色のスープよりは数段上の味わいに感じました。  
ランチだし魚介だしということで軽いロゼを注文。水のようにガブガブと飲める酒であり喉元を通り過ぎる速度が心地よい。
私の前菜はヒラメのムースにロブスターのクリームソース、脇を固めるのはエビのフリットです。この選択が大当たり!品の良いヒラメの味わいをジュブジュブとした舌触りを楽しむムースに仕立てられており、ロブスターのクリームソースは誰が食べても好きな味。柑橘のニュアンスが感じられ、ウィットに富んだ調理を見せてくれます。エビのフリットは天ぷらのような繊細さはないものの、しっかりとした衣が食べごたえを後押しし、これはこれでアリな調理です。
妻は自家製のスモークサーモン。30cm×30cmの面積に小躍りする。一口味見させて頂きましたが正真正銘のサーモンであり、スモークの香り、脂のコク、絶妙な塩加減と走攻守揃った逸品です。
私はヒラメに固め打ち。厚さが1cm近くもある筆箱のようなシタビラメが3枚も重ね合わされるのは本日のハイライト。脂は控えめであるもののタンパク質が豊富であり、赤身のステーキ肉を食べているかのような錯覚にとらわれます。

付け合せは野菜のラザニア?ひとつの皿に対する味わいのバリエーションが豊かであり、ボリュームの割に全く飽きが来ない仕上がりです。この皿を注文して本当に良かった。
妻は巨大なエビのグリルにチョリソ、フォアグラ、キャビアと旨味溢れる食材のオンパレード。ソースにタピオカが使われており食感も面白い。パリ郊外の片田舎の何でもないレストランで、ここまで変化に富んだ料理を食べることができるなんて、まったくフランス人の食にかける思いには舌を巻く。

飛び込みで入ったのにも関わらず、文句なしに素晴らしい店でした。ヴェルサイユ宮殿の観光に来ると、どうしても園内のサンドイッチスタンドやアンジェリーナでお茶を濁しがちになるでしょうが、庭園散策を早めに切り上げ少し足を伸ばすだけで、観光客とは無縁の見事なレストランに巡りあうことができます。ヴェルサイユにいらした際は是非どうぞ。オススメです。



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