はつね寿司 本店/古町(新潟)

新潟の歓楽街、古町エリアから少し外れた場所にある「はつね寿司」。食べログの百名店に選出され、ミシュランでは1ツ星を獲得しています。カウンター8席のみの1回転で、東京のビジネスライクな鮨屋とは目指す方向性が全く異なります。
渡辺裕一シェフは2代目で、東京で腕を磨きつつ実家にUターン就職し、寿司居酒屋的なスタイルから現在の本格志向へと業態を変えたそうです。同じ古町の「兄弟寿し」にせよ新発田の「登喜和(ときわ)」にせよ、ここのところ地方の名店で似たようなストーリーを良く聞きます。
酒が安く生ビールは700円、エビスの瓶ビールは800円、地元の日本酒も1合千円前後です。ワインについてはケンゾーの「あさつゆ」など酒屋で買うのと大して変わらない価格でオンリストされていました。
新潟と言えば「南蛮えび」。いわゆる甘海老を昆布締めし、心地よい旨味と甘味で乾杯します。
続いてカツオのヅケ。逞しい鉄分にカラシの刺すような辛味がよく合う。
佐渡のアワビは4時間しっかりと蒸して頂きます。アワビそのものの磯の風味がたっぷり。
マダイはムッチリとした歯ごたえながらも適度な脂が感じられます。
イワシはたっぷりの薬味と共に海苔で巻き込みます。脂ジュブジュブジュブナイル。シャクシャクとした生姜や芽ネギの食感も心地よい。
にぎりに入ります。まずはマコガレイ。これが夏の魚かと思うほど脂がのっています。
ガリが印象的。桃のような丸のままのブツをその場でスライスし、げにあらまほしき味わいです。シャリは一粒一粒の芯が感じられつつもその周囲はボッテリと太ったスタイルであり、酸味は穏やかでありつつも記憶に残るものでした。
アカイカ。いわゆる剣先イカであり、程よい歯ごたえに清澄な味わい。
アジが美味しい。しっかりと脂は感じつつもメタリックな旨味も感じられ、地味にキョーイチかもしれません。
中トロは赤身の上品な酸味が心地よく、トロの部分で全体を取りまとめます。
コハダもいいですね。思いきりの良い〆が功を奏してクッキリとした味わいが感じられました。
キスは穏やかな味わいで全体として綺麗な味覚です。
一転、キンメダイはパワフルな味わい。煮ても焼いても鮨でも旨い。なんとも最強な魚です。
カツオは藁焼きにして頂きます。スモーキーな香りが食欲を刺激し、身のストレートな味覚に舌鼓を打つ。
ノドグロ。日本海の代名詞ともいうべきタネであり、もはやバブルな感じがしないでもないですが、だがしかし悔しいが旨い。それがノドグロ。
ウニはシャリ小さめながらタネは気前よく盛ってくれ、口腔内でウニのリゾットと化し眩い美味しさを奏でます。
アナゴはふんわりフワフワとした食感で規範的な美味しさです。
冒頭の南蛮海老のエキスを凝縮した味噌汁。これはもう文句なしの味わい。美味しいだけにもっと量が欲しかった。
追加でカンピョウ。カンピョウ数本をねじり鉢巻きのようにねじってから巻き込むという面白い試み。調味のハッキリしたカンピョウで私好みです。
海老のすり身を組み込んだギョクでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

16,000円のコース料理にそこそこ飲んでお会計は2万円弱。東京のちょづいた鮨屋に比べると慈善事業とも言える価格設定です。ツマミよりもにぎりに軸足を置いており、食後にああ!鮨くったぁ!とハートに深く刻みまれる食体験。「兄弟寿し」「登喜和(ときわ)」とはまた違った、王道の味わいの鮨屋でした。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。