オステリア バッコ(Osteria BACCO)/新潟市

新潟市の中心部から車で5-10分ほどの距離にある「オステリア バッコ(Osteria BACCO)」。ミシュランでは1ツ星を獲得し、ゴエミヨにも掲載されています。「どっぺり坂」「カトリック新潟教会」「砂丘館」など雰囲気のある建物が連なるエリアですが、公共交通機関や徒歩には弱いので、タクシーで訪れると良いでしょう。
「オステリア(居酒屋)」と名乗っているものの、全くもってリストランテの風格。店内はクロスの張ったテーブルが数卓。席間にはゆとりがあり、トータルでは12席ほどでしょうか。

三善将則シェフは新潟産まれ。東京のイタリアンレストランで腕を磨いたのち渡伊。帰国後は東京のイタリアンレストランでシェフを務めた後、2011年に新潟へ戻り当店を開業しました。
ソムリエールはシェフの奥様でしょうか。付かず離れず絶妙な距離感で私の最も好む接客スタイルです。日本のビールは確か660円で、ミシュラン1ツ星イタリアンとしては日本一良心的な値付けではなかろうか。イタリアのクラフトビールやグラスワインも千円強と、なるほど店名通りの心意気です。
まずはサワラのバットゥータ。いわゆるサワラのタルタルであり、紅芯大根やエンドウ豆と共にお洒落な味わいです。たっぷりのスプラウトと共に爽やかな味わいであり、真夏のランチの最初の第一歩に相応しいひと皿でした。
続いてスズキのインパナート。旨味たっぷりのスズキにパン粉を塗してコンガリと焼き上げます。もうそれだけで美味しいのに下に敷かれたトマトのソースと共に味わいに深みを持たせました。
パスタ1皿目はオレキエッティ(耳たぶ型の手打ちパスタ)を鮎のジェノヴェーゼで。このパスタは美味しいですねえ。まさに耳たぶといった食感であり、夜になると抱いて眠りたくなるほどの優しい味わい。ソースも鮎の苦みを上手く活かしており、塩焼き一辺倒の日本料理界に一石を投じる試みです。
パスタ2皿目はタヤリン。こちらもパスタそのものがバリ旨く、シンプルなバターソースと共に寛大で温かさに満ちた味わい。サマートリュフの風味も適量で、全体の調和を乱さない仕上げです。
メインは新潟県は阿賀野市のブランド牛「蒲原牛」。シンプルな調理ですが肉そのものの味が濃く、また脂とのバランスが素晴らしい。チーズを用いたソースや付け合わせの主張も含め、全体的にわかり易く好感が持てるひと皿です。
ハーブのシャーベットでお口を整えつつ、、、
デザートは桃のコンポートとライチヨーグルトのジェラート。ヨーグルトの酸味とライチの派手な甘さが良く合い、また桃のどっしりした風味も見逃せない美味しさです。
お茶菓子と紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコースが7千円ほどで、いくらか飲んでお会計はひとりあたり1万円といったところ。この質および量でこの支払金額は小躍りしたくなるほどの費用対効果の良さです。いずれの料理も記憶に残る味わいであり、ストレートに美味しい。当店を悪く言う人はこの世にいないのではないか。そんな満足感を抱かせる素晴らしいランチでした。

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山もあれば海もあり、食材の豊富さでは他県の追随を許さない新潟県。おまけに日本一いや世界一の米どころでもあり、つまりは日本酒どころでもあります。冷静に考えれば日本でもトップクラスの美食県にあるはずなのに、いまいち目が向けられていないのはどうしてだろう。マーケティング下手なんかな。
雑誌『自遊人』編集長・岩佐十良による新潟の美食ガイド。本社を新潟に移しご自身も新潟で生活されており、実体験に基づく感想が豊富に記載されています。新潟のグルメを語る上での必読書と言えるでしょう。