ヒロヤ(Hiroya)/外苑前

外苑前駅から徒歩7~8分の住宅街にある「ヒロヤ(Hiroya)」。「ラス(L'AS)」の近くです。フランス料理店としては珍しく深夜3時までの営業で、仕事を終えた料理人たちが飲みに来ることも多いそう。食べログではブロンズメダルを受賞しています。
店内は厨房に面したカウンター席に個室がひとつ。個室料として5千円を要しますが、その価値を充分感じられるほど特別感のある空間です。

福島博志シェフはヨーロッパでフランス料理の腕を磨き、帰国後は「龍吟」「スリオラ」で表現の幅を広げた後、2013年に当店をオープン。ど真ん中のフレンチというよりは和のニュアンスが感じられる料理です。
お酒は高くありません。薄はりのグラスに丁寧に注がれたビールは700円で、ボトルのシャンパーニュも9千円~、白ワインだと6千円台から用意されています。これなら気持ちよくひとり1本飲めるというもの。ただしサービスのスタッフはワインの知識に乏しく客あしらいも微妙なので、自力で酒を選ぶ必要がありゲストの審美眼が試されます。
入店して乾杯後、20分経ってようやく出てきたのがコンニャク。20分待ってコンニャクかよと、思わず毒づいてしまいます。
コンニャクの10分後にパン。まさかコンニャクとパンでシャンパーニュを1本空けるとは思わなんだ。思わず立ち上がりそうになりましたが、後から調べたところによると、当店は料理のテンポが悪いことで有名で、それを覚悟で訪れることが暗黙のルールのようです。なるほど、であれば下調べの足りない私の責任である。
入店後45分でようやく料理らしいものが出て来ました。アオリイカを炙ったものにカラスミ。これが一体絶品で、途端に皆の機嫌が戻りゲンキンなものである。ボトルを1本追加発注だ。
続いてエビ(細かな種類は失念)。シンプルに炙ったものですが、付け合わせのチーズスフレ(?)が軽やかな口当たり、かつ味覚は濃厚と矛盾した世界観であり、一体美味しい。
ハタのフリット。思いきりよくカリっと揚がっており実に香ばしい。ニラのソースも大人の苦みが感じられ、徐々にゾーンに入って来ました。
ホタテもやはり思いきりの良い火入れであり、表面がサクっと仕上がり乙な味。メインまで待ちきれず赤ワインを飲み始めていた我々を見かねてか、シェフが恐らくアドリブで生ハムをトッピングしてくれました。
メインはラム。シンプルな調理ですが肉の優しい味わいがシットリと伝わる仕上がりであり、肉汁のソースと共に和やかな味わいです。
追加で土鍋ゴハンも用意できるということでお願いすると、大量のカニがぶち込まれた豊かな食事が用意されました。これはいい。すごくいい。コンニャクに始まり〆は土鍋ゴハンともはや何料理かは不明ですが、旨けりゃ何でもいいじゃん的なノリの良さを感じました。

以上を食べ、結構飲んでお会計はひとりあたり2.3万円。明細を見るとコース料理は僅か8千円という価格設定であり、これは表参道の奇跡でしょう。

序盤は皿出しのテンポが悪くイラついた場面もありましたが、次からは「そういう店だ」と割り切り大いに楽しめそうです。もちろん薄い関係性のふたりでお邪魔すると会話の間が持たずに苦労するかもしれないのでご注意を。お酒を良く飲む仲良しのお友達と共にどうぞ。

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