ミシュラン3ツ星を50年以上維持する3軒のレストランを巡る旅 vol.4~ロアンヌ~

フランスの国技であるストライキにヤラれているという記事を先日アップしましたが、この日も私はダメージを受けました(写真はLAタイムスより)。
トロワグロという伝説的なレストランに行くために、まずはリヨン駅からロアンヌ駅へ在来線で移動しする必要がある。しかし乗るはずの列車がストライキで運行中止。前日にメールで連絡をくれるあたり親切なストライキである。
仕方なく同日の他の便に振り替えるのですが、ド田舎であるため朝の8時発のものしか選択肢は無い。ランチの時間までロアンヌという地球の歩き方に1ページも載っていない街に滞在する必要が生じました。まあいい、毒を喰らわば皿まで。おそらく当記事は、日本語で書かれたロアンヌ・ガイドとしては世界最高峰の充実度となることでしょう。

■Gare de Roanne(ロアンヌ駅)
リヨンから1時間半ほどでロアンヌ駅に到着。東京から山梨や静岡の小さな町に来たという感覚に近い。客待ちのタクシーは無く、駅前の一等地を巨大シネコン「Cinema roanne」が占有していました。


■Eglise Saint-Etienne
「とりあえず街いちばんの教会に行け」がヨーロッパ旅行のセオリー。教会前には広場が広がり、それを取り囲むように旧市街が広がります。後述の観光協会もこの広場に面しているので、まずはこの教会を目指しましょう。駅から歩いて10分ほどです。


■Office de Tourisme Roannais Agglomeration
教会前広場に位置する観光協会。ヨーロッパらしく歴史を感じさせる建物に、かなりの広さのテナントとして入居しています。トイレがフランスの田舎町とは思えないほどピカピカ。全体として掃除が行き届いており、整理整頓もきちんとしている、立派な観光協会でした。

スタッフはオバチャンとオネーチャンのツーマンセル体制。オバチャンには英語が一切通じませんが、オネーチャンは割と話せます。「ねえ、あの子の顔見た?すごく美人。スタイルも良いし」と、妻。確かに美人だが私の好みではない。
この街の地図をもらい、また、トロワグロへ向かうためのタクシーを予約してもらいます(uberは田舎すぎて対象エリア外)。この街の住人は「タクシーを予約する」という概念があまりないらしく、「今来てもらうんじゃなくて、11:30にココに来るように言えばいいの?」と何度も念を押され、彼女たちから地元のタクシー業者に電話する際も「そうなんです、今じゃなくて、11:30ですって。ええ、観光協会前に」と、戸惑ったやりとりをしていました。

極東の風変わりな異邦人とのやりとりを終えたオネーチャンからは某かの達成感が見え隠れし、その隙につけこんでちょっとだけ仲良くなり、そのあと顔をみかけるたびに手を振り合う関係になりました。「ほんとあきれる。何が『好みではない』よ、ちゃっかり仲良くなっちゃってさ。その、どの国の美人とも自動的に仲良くなる才能、もっと他に役立てたら?」


Rue Charles de Gaulle
教会前広場から南へ伸びる繁華街。服飾雑貨やレストランなど、結構な数の専門店が立ち並び、思いのほか栄えています。


■LIBRAIRIE MAYOL
http://www.vitrinesderoanne.com/profil/librairie-mayol
フランスは日本に比べて本屋が少なく(ように感じる)、今回の旅行においては入国5日目にしてようやくめぐり合うことができました。ミシュランやゴーミヨなどレストラン関係の書籍を100ユーロほど爆買い。これらの情報をもとに来年のフランス旅行の計画を立てるのです。店員も親切で、「重いでしょう?」と、恐らくは売り物の布バッグまでオマケにつけてくれました。東京の書店ではまず無い神対応である。


■Museum of Fine Arts and Archeology
http://leroannais.com/noesit/!/fiche/museum-of-fine-arts-and-archeology-91000
商店街の奥、マクドナルドの向かいにあるミュゼ。日本語では「美術館」と「博物館」の定義は明確に分かれていますが、フランスではひとくくりに「ミュゼ」なので、展示品はとりとめがないことが多いです。何が推しなのか事前情報ナシに訪れるのはアレなので、今回は外観のみ。


■Town Hall
市庁舎という位置づけでしょうか、コチラも事前情報を持ち合わせておらず。目の前に大きな平置駐車場があり、住民はココに車を止め、先の繁華街なり後述の市場なりに買い物にでかけているように見受けられました。ファサードには地元のバスケットボールの応援旗。


■Eglise Sainte-Anne
完璧なシンメトリーをたたえるネオ・ゴシック様式の教会。歴史的な意義などは存じ上げませんが、周囲に高い建物は無く、目の前の広場の開放感と相俟って、記憶に残る教会でした。


■Roanne’s Chapels
一転してこちらは可愛らしいチャペル。マリーナ近くの芝生の広場に佇む孤高の存在。歴史や用途は見えませんでしたが、キュートで親しみのある建物です。


■Roanne Marina
http://leroannais.com/noesit/!/fiche/marina-140029
ロアール川沿いにあるマリーナ。趣味で使うようなボートなどが多数停泊しています。遊歩道も整備されており、たっぷりの緑樹の中を地元民がのんびり散歩しています。良い雰囲気だ。


■Les Halles Diderot
http://leroannais.com/les-halles-diderot
ロアンヌの台所である常設市場。リヨン中央市場ほどの規模ではありませんが整然と維持された市場であり、日本のデパ地下に近い存在です。
魚屋、肉屋、チーズ専門店、ワインショップ、パン屋、花屋などなど、いわゆる生活に必要なものは全て揃っています。
軒先でワインを飲みながら惣菜をつまむといった楽しみ方もOK。混雑もしておらず、清潔で過ごしやすい市場でした。


■Troisgros
http://www.takemachelin.com/2018/05/troisgros.html
タクシーを予約した時間になったので、ロアンヌの街(と観光協会のみんなたち)ともお別れです。フランスのタクシーはメーター制であることが少なく、事前に行き先を伝え料金を合意してから出発することが多い。今回は10キロ20分ほどのドライブで20ユーロでした。
降り際に個人の名刺を渡され「もし良かったらまた連絡してね!トロワグロ、楽しんで!」との営業行為。東京のタクシードライバーは職業意識に欠けることが多いので、このような個人の力量が問われる仕組みを導入して欲しいところです。詳細は別記事にて


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。