スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ(Stumptown Coffee Roasters)/ダウンタウン(ポートランド)


近年、日本のコーヒー業界でも頻繁に聞くようになった「サードウェーブコーヒー」という単語。コーヒー豆を農家から直接買い付け、流通プロセスを自ら管理しつつ自らがローストし、1杯ずつ淹れるというムーブメント。

ノースカロライナの「Counter Culture Coffee」、シカゴの「Intelligentsia Coffee」、ポートランドの当店が業界ビッグ・スリーと呼ばれています。私があまりの期待ハズレにガッカリしたブルー・ボトル・コーヒーは後発です。
さて当店はブードゥードーナッツより徒歩3分に位置します。その他いくつかの直営店がポートランドにあり、また当店のコーヒーを提供する提携店は市内に山ほどあります。最近では代々木上原のPADDLERS COFFEEが当店製品の正規取扱店となり話題となりました。
木目調の居心地の良いお店。タイミングによっては行列することもありますが、テイクアウトのお客さんも多いため、着席できずに途方に暮れるということは無さそうです。
「Cold Brew」というものは「水出しの冷やしたコーヒー」であることの知識はあったのですが、割増料金で「Cold Brew NITRO」という妙なメニューを発見。はてニトロ?私の知るニトロとはニトログリセリンのことであり物騒な爆発物という理解でしかありません。

店員に聞くと、ビールサーバーを使ってコーヒーを窒素と一緒に注ぎ入れる、アイルランドのギネスのようなアイスコーヒーとのこと。なるほど窒素は英語で「Nitrogen(ニトロゲン)」。技術はまさにギネスのそれをコーヒーに転用(二酸化炭素ではなく窒素のみを注入)しているそうな。

恥ずかしながら私は存じ上げなかったのですが、日本では「ドラフトコーヒー」や「ニトロコーヒー」などと呼ばれており、既に提供を始めている感度の高いお店がいくつかあるそうです。
なるほどホイップクリームよりもクリーミーな口当たりで上質なシャンパーニュのような肌理の細かい泡が滑らか。一息鼻から抜くと果実の香りがドドドと鼻腔をくすぐります。砂糖やミルクなどを入れずとも、コーヒー本来の風味由来の甘さが感じられ、全く持って新感覚な飲料であり、ヒトコトで述べると私のタイプです。

妻は一般的なカプチーノを注文し、私も一口頂いたのですが、こちらも新鮮な豆の風味とコクがたっぷりと感じられ、あの大雑把な味覚のアメリカ人が創り出したとは思えないほど繊細な1杯です。
これまでサードウェーブコーヒーには懐疑的な姿勢を見せていた私ですが、考えを改めます。ハマりそうな予感。
レジ脇にはポートランドのビーン・トゥ・バーであるウッド・ブロック・チョコレート(WOODBLOCK CHOCOLATE)が売られており、思わず3本も購入。サードウェーブコーヒーに思想が通じるものがあり、親和性は高そうです。これはおうちに帰ってひとりで全部食べることにしよう。


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