弧柳/北新地

「こりゅう」と読みます。ミシュラン三ツ星。最近、温味ひでたか志の助と、和食で立て続けに当たっているので今夜も楽しみ。
 歓楽街の道路沿いに佇む雰囲気の良いお店。家賃高そう。
 大阪なので地場の日本酒「秋鹿」。旨いのですが、厚みがあって食前酒には向いてなかったかもしれません。
 目の前でハモを骨切りしてくれ湯引に。タマネギ酢が舌を引き締めてくれ、期待が膨らみます。
 鳥取のナントカ唐辛子をエビのお出汁でおひたしに。唐辛子は爽やかな辛さで良いのですが、出汁が、、、これ、エビか?アメリケーヌ出身の私としては満足できず。そのくせ味付けはガツンガツンに濃くて首を傾げる。
 お刺身。ワオ!これは華やか!
 舞鶴のトリガイ。え?トリガイってこんなに柔らかいバージョンあるの?先入観とのギャップに目を見張る。明石のタイはイメージ通りの美味しさ。醤油と海水のどちらかで食べよとのことだったのですが、海水はピンと来ませんでした。ジュレにしたらいいのに。
 豊後水道のイサキに焦げ目をつけて大根系のソースで。これは絶妙としか言いようがない。魚の旨味、香ばしさ、ソースの軽快さ。どれをとっても完璧です。
 紀州のアジ。素材は素晴らしいのですが、ソースがようわからん。ワサビ醤油で食べたかった。
 宮城の本マグロに醤油に漬け込んでネッチョリさせた黄味。これには参りました。ウマスギル。脂の芳醇さと黄味の良い意味でのクドさがマッチング。本日一番のお皿です。この味の重ね方、龍吟を彷彿とさせます。
 同じ宮城の阿部勘を出してくださる。文句なしの取り合わせでした。

なんですが、このお店、皿出しが遅すぎるんですよね。2回転目のスタートに遅刻してきた外人の時間調整のためなのか何なのか、1皿1皿にうんざりするほど時間がかかるのです。

この外人も酷くって、ホットパンツで店に入ってくるわ、カウンターの上にデーンとペットボトル置くわ、料理そっちのけで大声でくっちゃべってるわで少しだけ死ねばいいのに。会員制や紹介制のお店の気持ちが少しだけわかりました。外国人を予約拒否して炎上した水谷さんの気持ちもお察しします。
このお椀は出てくるまでに20分かかりました。引き続きパワフルな出汁。バチコも海ぶどうも存在感ありまくり。
でもこんなアワビ出されちゃったら、皿出しのスピード感なんてどうでもよくなっちゃうのエヘヘ。
ホワイトアスパラガス。すりつぶして味噌を加えてソースにしたりと、主役はホワイトアスパラガスのはずなんですが、エビ好きの私にとってはエビうめえとしか記憶にございません。
シーズン真っ只中の鮎。堂に入った火入れで脂の1滴1滴まで美味しく酒を呼ぶ。キュウリの浅漬けのソースといった心憎い演出に、付け合せまで手抜き無し。パチパチパチ!
たっぷりのジュンサイにウニウニ。美味しいのですが想定の範囲内で驚きはない。あ、アメーラのマイクロトマトはパンチのある甘さで印象的でした。
メインの到着、そう、この肉塊をいっぺんに火入れしないといけないから、時間調整されたんだと思います。遅刻許さん。
主犯の宮崎牛のサンカク。悪くはありませんが、焼肉屋で出てくるそれと大差なし。こいつのためにストレスのかかる食べ方を強いられたかと思うと悔しくて悔しくて。
ズッキーニのソースは豆腐を燻製したもの。なんですが、目をつぶって食べたら絶対気付かない。豆腐の燻製だけガブっと食べてみたいです。
肉が出揃ったのでそこから先は早い。外人を2馬身突き放してお食事に突入です。
がちょーん、ただのお粥かよー。兵庫のキヌヒカリという大層素晴らしいお米らしいのですが、むーん、お粥はお粥である。温味のアワビごはんと同じステージで勝負せよという方がムリがある。
鯛味噌、茄子、昆布の出来は上々。だがしかしお粥はお粥である。
デザートは桃にピオーネ、マンゴームースに桃のスープをかけたもの。生姜のパウダーがアクセントとなって良いですね。実は相当ハイレベルなデザートかもしれません。

そうそう、何となく店の雰囲気とか、カウンターのつくりとか、食後感とかがどこかに似てるなあと思って色々調べて見ると、大将は法善寺横町の喜川出身なんですね。なるほどね。

というわけで、要所要所は素晴らしい素材で満足させてくれるのですが、いかんせん自分の食べたいタイミングと皿出しのペースがちぐはぐで、とても歯痒い食事となってしまいました。

料理自体は結構好きで、リーズナブルな価格体系でもあるですが、今後ああいう客を受け入れ続ける限り私が再び敷居をまたぐことは無いでしょう。でもなあ、たまたま運が悪かっただけかなあ。でもその悪運に正当な客が付き合わないといけない仕組みもなんだかなあ。そうか、そもそも貸切にしてしまえば良いのか。

色々と考えさせられた一夜でした。



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