鮨水谷/銀座

ミシュラン三ツ星。ザギンdeシースー代表。クラブが密集するビルの地下にある、カウンター9席のみの小さなお店。華美な調度品など一切無く、これぞ"静謐"。無音、無臭。BGMが全く無く、自分の所作の衣擦れまで聴こえるってのは緊張する。

客はフランス人が3人、中国人が2人と、私以外全員が外人。すごいぞミシュランの影響力。日本人と外人が真剣に対峙して、黙々と食べ続ける光景はちょっとコミカル。久々人間の声を聞いたかと思うと、フランス人がミョウガを指差し「これは何?」と一生懸命に尋ねていましたが、さすがに店内の誰も答えられていませんでした。いいか、ミョウガは"Japanese ginger"って言うらしい。さっき調べた所によると。ほんまかいな。

写真撮影はNG。外人が窘められてシュンとしていました。極東にまで来てバカ高いお金を払って写真NGはちょっと可哀相。寿司屋にお決まりの、ペンギンマークが付いたガラスのネタケースは無く、ネタは木箱に並べられているだけ。あれ、傷んだりしないのかね。もちろんお品書きは無く、全てが時価。

まずはヒラメ、コハダ、イカ、赤身、中トロ、大トロ、ミル貝、小柱、赤貝、タイラ貝。ま、美味しいんだけど別に大騒ぎする程でも無いな、勝どきの"はし田"のほうがポーション大きめでタイプだなぁ、三ツ星って言ったって大したことねぇな、高いだけじゃん、 と、心の中で軽くケチをつける。

んが、次のネタ"煮アワビ"で考えが一変。なんだっ…!これは……っっ!とカイジばりのリアクションで、本当に本当にびっくりし、腰を抜かしました。世の中にはまだこんなにもうまいものがあったのか。こんなにもうまいものが世の中にあって良いのか。こんなにうまいものがあれば戦争も格差もなくならねーわな。食べ物でこんなにも感動し、感激したのは本当に久々。

アワビってのは特に味が無くて、コリコリと歯応えを楽しむだけのもので、私はこれといって好きなネタではなかったんですね。その先入観を完全に覆す、鳥肌が立ち涙が出るほどの美味でした。というか泣きました。

そこを起点に感動の連続。

アジ:肉厚。一般的にアジは安魚とされていますが、常識を覆すエレガントな味。

エビ:これも肉厚。歯応えがすごい。そして広がる海老の甘みに絶句。

穴子:口に放り込んだ瞬間にシャリと穴子が渾然一体となって崩れ落ちる。宮島の穴子を超えるものは無いと信じきっていたのに、あっさりと凌駕。

うに:ねっとり濃厚に甘いんですが、すーっと抜けていく。全くしつこくなく、何リットルでも飲みたい程。

玉子:ふわふわしっとり、濃厚な洋菓子のよう。

追加で鉄火巻をお願いして満腹。寿司屋で満腹だなんて、なんて贅沢!お店を出てから近くのバーニーズで買い物しようとしたんですが、寿司の記憶があまりにも鮮烈すぎて、全くお洋服が目に入ってきませんでした。

うおー満足じゃー。また絶対来るぞー!

関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。



http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13016524/