祗園245/三条京阪(京都)

三条京阪駅から歩いて5分ほどの通りにある「祗園245」。245の部分の正式な発音はちょっとわかりませんが、地番を店名に組み込むのは欧米っぽい工夫です。入店してすぐの床がガラス張りになっており、地下のセラーを覗き込むことができるのが面白い。
店内は厨房を取り囲むカウンターが8-9席で、奥に半個室(写真はヒトサラ公式ページより)。明確にそうとは言われなかったのですが、この日は全席一斉スタートでした。

吉岡正和シェフは「ホテル京阪京橋」や「カノビアーノ京都店」で経験を積んだのち、ヨーロッパで1年間腕を磨き、2011年に当店をオープン。イタリアンレストランというよりは、モダンヨーロピアンというカテゴリに分類されるそうです。知らんけど。
アルコールは高くはないのですがラインナップが微妙ですねえ。ホールスタッフに相談するもワインの知識は無いに等しく、シェフに聞いても「白ワインでも赤ワインでもどちらでも合います」との要領を得ない回答で、結局シチリアの白が出てきました。このワインがこういうキャラクターなのかもしれませんが、私には擦れっ枯らしに感じてしまい、心が閉じてしまいました。
まずは冷製のカペッリーニ。ベースのパスタ部分が美味しいのは当然として、マグロやカラスミのアクセントが酒を呼びます。ただちょっと出だしから調理に時間を要しており、我々より先に到着してずっと飲みながら待っていた先客が気の毒に感じました(我々は定刻5分前到着)。
ウナギとウズラの玉子。美味しいのですが見ての通りの味わいであり、好悪の情を持つことはありません。
重ねて登場したのは焼きリゾットに大根、雲子、トリュフ。大根は牛のスープでしっかり煮られており、またリゾットもそのスープを吸って素直に美味しい。
パンは食パン。美味しいのですが、あまりにプレーンすぎるきらいがあり、朝食で目玉焼きと共にゆっくり楽しむような味わいでした。
手羽先を揚げて溶かしたラクレットを流し込みます。ご覧の通りの味わいで普通に美味しいのですが、創作居酒屋で食べる料理のようでもあり、当店で提供すべき必然性を感じませんでした。玄関にラクレットオーブンはあったのですがそれを使用してはおらず、ガス火とスキレットでチーズを溶かしていたのも気になる。掃除をするのが面倒なのかもしれません。
タリオリーニは豚肉とドライポルチーニ、百合根と共に頂きます。やはり普通に美味しいのですが、量が少なく物足りなく感じました。
メインはハーブ牛。表面をフライパンで焼いた後に遠火の炭火で熱を加えていくシンプルな調理で、正直ベースで言うと私の自宅の庭で執り行われるバーベキューと大差ありません。ソースもごくごくシンプルで、うーん、何万円も払って食べるコース料理のメインディッシュとしてはパンチが弱いなあ。
お口直しにクリとココアのミニソフトクリーム。手軽な美味しさで気持ちが弾みます。
メインのデザートはチョコレート風味のケーキに干し柿のアイスクリーム。ミントティーと合わせてごちそうさまでした。
以上のコース料理が1.5万円ほどで、いくらか飲んでお会計はひとりあたり2万円弱といったところ。うーん、ちょっとこれは割高だなあ。もちろん料理そのものはそれなりに美味しいのですがどこかハン・ファン・メーヘレン的であり、皿出しのテンポの悪さや取り留めのないテーマ設定など、困惑する場面が多かったです。量も少ない。

もちろん当店を贔屓にする方も多く、食べログでは百名店に選ばれているので、今回は単に私との歩幅が合わなかっただけかもしれません。今でも絶対に許せない丸太町の「Bini (ビーニ)」など、私は京都のイタリアンと相性が悪いのかもしれません。

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