Bini (ビーニ) /丸太町(京都)

銀閣のあたりから御所南に移転してきた「Bini (ビーニ)」。ベースはイタリアンとのことですがフュージョンな料理が多く「イノベーティブ」に分類されることも多いようです。ミシュランでは1ツ星を獲得。
古民家をリノベーションしたお店。ハコそのものは大きいのですがテーブル数は少なく、この日のゲストは我々ふたりだけでした。中本敬介シェフはイタリアやスイスで経験を積んだのち、京都にて当店を開業。

入店してドリンクメニューが手渡されます。デギュスタシオン(ペアリング)と記載はあるものの金額は明記されておらず、サービスの方に値段を聞くと「人によって異なる」と謎回答。一般的にはどの程度なのかと私は食い下がるのですが、「13,000~14,000円ぐらいでしょうかねえ」と曖昧なスタンスを取り続けるので、このサービスは信用できないと判断し、ボトルで注文することに。
ワインリストを求めると「今日の料理に合うボトルはコチラです」とペライチの紙が手渡されます。かなりチンプンカンプンなラインナップだなあと困惑し、それでもルイナールは悪くない価格設定だったのでお願いすると、信じがたいことにこれはハーフボトルの値段でした。ルイナールのブランドブランのハーフボトルが17,380円(15,800円+サ10%)だなんてありえない。外資系ラグジュアリーホテルを遥かに超える滅茶苦茶な値付けです。

私が価格設定に圧倒されているとサービスの方は「これはシャンパーニュなので」と理路整然と意味不明なことを言って来、もしかして進次郎なのかと思うほど話が嚙み合いませんでした。

泡のボトルについては先のルイナールとスイスのスパークリングワインしか載っておらず、もっと他に無いのかと尋ねても「まだ飲み頃じゃない、若すぎる」と知ったような口をきいてきます。飲み頃かどうかは自分で判断するから他にも選択肢を用意して欲しいと懇願すると、ようやく彼女は奥に引っ込み、10分ぐらいをかけてやっとこさ2種のスパークリングワインを提案してくれました。え、全然飲み頃なんだけど。
けっきょく新世界の泡をお願いする運びとなったのですが、ワインの取り扱いが実にスローモーで完全にド素人だったことが判明。温度管理も無茶苦茶。いっちょ前にテイスティングなどしているのですがその量が信じられないほど多く、金額換算すると千円以上向こうに持っていかれた計算になります。絶対に許さない。
気を取り直して料理に入ります。アミューズに豆。健全で清澄な青い味覚です。
続いてファリナータでしょうか、薄目のワッフル生地にフォアグラと菊芋がサンドされています。中身の味わいは悪くないのですが、生地がシケシケに湿気ており、ぐんにゃりと微妙な口当たりです。
パンは一般的なバゲットにグリッシーニ。
続いては車海老。下には薄くスライスしたホワイトアスパラガスが敷かれており、程よく土っぽい味わいが海老の旨味にマッチします。
馬肉のタルタル。その上に発酵させたマッシュルームとチーズ。美味しいのですが味が多すぎるきらいがあり、マッシュルームは余計に感じました。馬肉だけでいい。
北海道より旬のアスパラガス。シンプルな調味および調理であり、素材そのものの勝利です。
函館のサクラマス。これは全然ダメですね。イマイチを通り越して不味い。なんなんだこの生臭さは。このとき我々のテーブルは完全な静寂に包まれた。
続いて牛肉。悪くはないのですが焼肉屋の2キレぐらいの量でありポーションが小さすぎます。
続いてパスタが2皿続くという案内があったのですが、届いたのはムール貝のリゾットでした。家庭料理の延長であり、私がホームパーティで作るそれによく似た味覚です。
今度こそパスタ。カニがたっぷりで素直に美味しい。
デザートに入ります。酒粕をどないかしたものに、、、
苺とアイスクリーム。何とも素朴なプレゼンテーションであり、フランス料理愛好家の私としては物寂しい気分でいっぱいです。
「ミニャルディーズです」と言いつつ出てくるのはイタリアの小菓子ばかりと言語が混在しています。きっと「ミニャルディーズ」と言いたかったのでしょう。
以上を食べ、ワインリストの中でも安いワイン(それでも2.1万円だ)を2人で飲み、お会計はひとりあたり3万円弱。これはお話にならない費用対効果の悪さですね。ワインの非人道的な値付けについては既に述べましたが、料理についても不味くはない程度のクオリティであり、量はガリガリに少なく、連れの女の子のほうから「おなかが空いた、二次会行こう」と提案されたほどです。サービスも完全にド素人でスタバのほうが数段上。そのくせ図々しくもサービス料10%を徴収していきます。

私が責任を持ってオススメしませんが、それでも行ってみたいという奇特な方は、ランチの最安値コースで、飲み物はミネラルウォーターに留めると良いでしょう。

6万円近くを支払って大変不愉快な思いをしたディナーでした。

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