花善(はなぜん)/大館(秋田)

秋田の駅弁と言えば「花善の鶏めし」。1899年創業の老舗であり、大館と言えば鶏めし、鶏めしと言えば大館です。JR東日本が主宰する駅弁総選挙で何度も最高評価を得ており、テレビや雑誌などにも数多く鶏上げられています。本社・工場・レストランの全てが大館駅目の前のビルに詰まっており、ややもすると駅舎よりも立派かもしれません。
レストランはランチタイムのみの営業であり、また花善の本質は弁当であるとも思うのでテイクアウトの弁当を購入。ちなみに県内のキヨスクやニューデイズ、百貨店など至る所に売られていますが、全て当工場で手作りされているので、どこで買っても品質は同じです。
スタンダードナンバーの「鶏めし弁当」と高級ライン「比内地鶏の鶏めし」を購入。前者が900円で、後者が1,200円です。パッケージがノスタルジックでクールですね。ちなみに昔は列車に乗り込んで手売りしたり、駅ホームで立ち売りしていたそうです。
主題の「鶏めし弁当」。鶏肉の煮汁や醤油・砂糖で炊き込んだライスに鶏肉の甘辛煮をトッピングしたお弁当です。いま貴方が想像している味と大きな差は無いでしょう。オカズもゴハンも同じ味で単調に感じました。
「比内地鶏の鶏めし」は、「鶏めし弁当」のゴハンをそのまま用いつつ比内地鶏をトッピングしたひと品。シンプルに塩焼きした鶏肉と甘辛く煮たそぼろが味覚にメリハリを持たせてあり、前述の「同じ味で単調」という課題を解決しています。副菜の「茄子の田楽みそ」も地味に美味しい。
「比内地鶏の鶏めし」は300円高いですがその金額差以上の価値が感じられたので、お求めになる際は「比内地鶏の鶏めし」を強く推奨します。一方で、1,200円の食事としては割高。とは言え駅弁とはそういうジャンルの食べ物なので、そういうものだと割り切って臨むと良いでしょう。美食の追求というよりは観光の一環です。

ところで「花善の鶏めし」は基本的には秋田県内でしか購入できないのですが(昔は東京駅などでも販売されていたが撤退)、謎にパリには進出しており、これは結構良いアイデアかもしれません。基本的にヨーロッパ人は移動中の食事に愛着を持っておらず、駅ではパンに何かを挟んだモノぐらいしか売られていないので、そのオリエンタルな神秘性とも相俟ってウケそうな気がします。

日本では秋田でしか食べることができない弁当がパリで「EKIBEN」として販売されているのは何とも痛快。陰ながら応援しています。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。