隠岐プラザホテル(OKIPLAZA HOTEL・夕食)/隠岐(島根)

隠岐諸島で一番の宿泊施設「隠岐プラザホテル(OKIPLAZA HOTEL)」。交通の要所・西郷港から歩いて数分に位置し、皇族なども利用することのある歴史あるホテルです。我々は2泊したので、今回はその夕食事情をご紹介。

<1日目>
夕食は皆、10階の食堂で摂ります。年齢層が非常に高く、平均年齢は60歳を超えているのではなかろうか。2夜とも家族連れは1組も見かけませんでした。
酒は瓶ビールが880円と、ホテルにしては高くありませんが店の雰囲気としては高く感じました。地元のお酒は1合千円を切る価格から始まり、まあ、こんなものでしょう。
我々は「しまどれ桶盛り会席」というプランで予約を入れました。前菜盛り合わせはよくある旅館の前菜盛り合わせ味です。塩辛っぽいやつが美味しかった。
こちらは日扇貝(ヒオウギガイ)のサラダ。貝柱のサイズが大きく目尻が下がるのですが、思いのほかコクが無く単調な味わいです。
お造りは流石の美味しさ。とは言え公式ウェブサイトの
「お一人様に一桶!【季節ごとの旬の海の幸のお造り】をどど〜んと7種ほど・・・ふんだんに盛り込んでお出しします。( もちろん小学生のお子さまにも!!)お客様に「これ何人前ですか?」と聞かれることもしばしば・・・。お一人様分(一桶)です!!!存分に隠岐の自然の恵みをお楽しみ下さい♪」
という表現は大げさな気がします。桶に盛られていることは認めますが、その容量は一般的な刺し盛りと変わらないでしょう。凄い盛り合わせとは「平野屋旅館」のようなものを言う。
油物は真鯛を揚げたもの。随分前に揚げられたのか全く冷えており、本来の美味しさを楽しめませんでした。これでは料理人が気の毒である。
山陰ポークと旬のお野菜なのですが、客席に置かれたセイロで固形燃料を用いて蒸すので調理が管理されておらず、料理というよりも材料でした。
茶碗蒸しはやはりヌルヌルに冷えており回転寿司のほうが美味しい。
「隠岐もずくの長芋掛け」と大そうな料理名が記されていましたが、ほんの口直しといった程度であり、やはり料理というよりも材料です。
お食事は「海鮮炊き込みご飯」と記されていたのですが、私の目には海鮮が見当たらず、ところどころニンジンが見え隠れする程度です。お出汁に魚介類の何かを用いているのかもしれませんが普通に不味い。あまりに悲しい締めくくりでした。


<2日目>
2日目も同じ「しまどれ桶盛り会席」というプランでの予約だったので、また同じ料理を食べるのかと憂鬱な気分でしたが、おや、ランナップは少しづつ変えているようです。
前菜はやはり旅館の作り置きといったところ。全35室とそれほど大規模なホテルでもないのだから、もう少しオンデマンドで対応してくれると嬉しいのだけれど。
お造りはゆうべの桶盛りよりも随分とダウンサイジングされています。もちろん2日連続で全く同じものを出さないという心遣いかもしれませんが、こちらは桶盛りを指定して予約しているのだから事前に相談があっても良いと思います。
タイとイカの朴葉焼き。素材は悪くないのですが、やはりゲストがセルフで固形燃料を用いて調理するのは複雑。鍋料理ならまだしも、それなりに火入れの管理に気を遣うべき料理だと思うのだけれど。
岩牡蠣の香草焼き。これは抜群に美味しいですねえ。熱を通した後であってもゴルフボール大のサイズ感であり、口の中が幸せで満たされます。本日一番のお皿でした。
煮魚はノドグロとのことですが妙に淡白に感じ、私の知っているノドグロとはかけ離れた味覚でした。
和牛しゃぶ鍋。もちろん固形燃料でセルフ調理です。決して不味くは無いのですが、日本全国どこに行っても食べることができる料理を隠岐くんだりまで来て食べる必要性は感じられません。だから桶盛りを指定していたのに!
今夜の茶碗蒸しは美味しいですね。中央にニッチャリとした饅頭玉が入っており、中には何か味の濃いミンチが組み込まれています。
酢の物として「サーモンカルパッチョ」が登場。やはり不味くはないのですが、なぜ回転寿司のツマミ皿みたいな料理を出そうと考えたのか、そのロジックを知りたいところです。
ゆうべの「海鮮炊き込みご飯」は軽く地獄でしたが、この日の「鯛茶漬け」は中々美味しい。きちんと鯛の漬けも乗っており納得のいく締めくくりです。

総括として、地の利を生かした生魚は大変美味しいですが、その他の料理は地方の温泉旅館の団体料理と大差ありませんでした。またキッチンとホールスタッフの連携が上手くいっておらず、目に余るボーンヘッドが散見されたのもまじ許すまじ。

「Ryokan浦島」と同じく離島特有の限界を感じた滞在でした。

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