オーベルジュ土佐山(宿泊)/高知市

高知市の奥座敷、土佐山村にある「オーベルジュ土佐山」。四国においてはかなり早期に「オーベルジュ」という概念を持ち込んだパイオニアで、週末は1泊7-8万円を要する高知屈指の高級宿泊施設です。
峡谷に組み込まれるように佇むガラス張りのコンクリート要塞。近くで見ると威圧感のある造形ですが、遠くから見ると不思議と山河に溶け込んでいます。
ロビーは体育館のように天井が高く開放的。見えるところには木材が多用されており温かみが感じれます。しかしながら、接客レベルは全くハードに追いついていないですね。手続きはトロく(チェックインの女王を見習え)、また断りも無しに私のバッグを手に取り中身をぶちまけそうになるし、出逢って4秒でキレそうになりました。
ウェルカムドリンクとしてスパークリングワインが振舞われるのですが、妙に甘ったるく気泡も雑で全然美味しくありません。そもそもグラスをクープ型とする必然性が感じられませんでした。
我々は本館から川を隔てたヴィラ棟を予約しており、吊り橋を渡るなど何やかんやで5分近く歩く必要があります。静かなのは良いのですが、夜は暗いし、雨が強い日などはどうするんだろう。
我々のヴィラに到着。外観は若干薄汚れておりギョっとするのですが、中身は綺麗にメンテナンス(リフォーム?)されています。
室内は木材を多用しており温かみのある雰囲気。照明のテイストに加え障子もあったりと、ところどころ和のニュアンスを感じさせます。
かなり広い造りであり、テラスも含めれば80平米はあるでしょうか。ベッドの他にL字型の巨大なソファーやダイニングテーブルもあり、居住性は抜群です。
ベッドは硬めではあるものの重量感を感じることはできず、どこか上滑りしている印象。これはまあ、人それぞれかもしれません。横たわると渓谷が見渡せるのは素晴らしいセットポジションです。
ミニバーにつき、お茶とコーヒーはひとり1杯づつしか用意されておらずやや物足りない。また、ミネラルウォーターの用意が無いのが残念。また、電気ケトルでなくヤカンを用いてコンロで沸騰させる方式は一周まわって斬新に感じました。
ウェットエリアは広々としているのですが、お手洗いがスケスケであり、また上部は隙間がめちゃんこあいており、下手するとベッドまでブリブリ音が聞こえてしまうかもしれません。物凄まじい設計です。
アメニティはオムニサンスのものなのですが、1人前しか用意されておらず、これは一体どういう意味なのだろう?女子ふたり旅とかだと一体、揉めるかもしれません。ドライヤーもアナクロである。
部屋のお風呂につき、本館に大浴場がありそちらを使用したので、意見は差し控えます。
本館の大浴場はこんな感じ(写真は公式ウェブサイトより)。土佐村の天然温泉であり露天風呂に内風呂、サウナが用意されているのですが、ビジターでの利用も800円でOKとのことで、こちとら1泊7-8万円も支払っているのに何だか納得いきません。
夕食は「土佐あかうし」が組み込まれたグレードアップ会席。1泊7-8万円の宿としては、まあ、こんなもんでしょうか。私は東京から時間と交通費をかけて訪れているので、もう少しハっとするような何かが欲しかったなというお気持ちです。詳細は別記事にて
朝食はかなり豪華で、偏差値で語れば夕食よりも上かもしれません。結構な量の魚とジャコ天を火で炙り即席のキャンプ気分。併せてベーコンエッグも固形燃料でセルフで調理するので大忙しです。
ところでチェックイン時に「翌朝の食事のライスは白米か麦ごはん+とろろか」の二択を強く迫られたのですが、別に何て事の無い「麦ごはん+とろろ」であり、何故チェックイン時にあんなにもファイナルアンサーを求めるのか理解に苦しむ。両方用意しとけばええんとちゃうの?
このように、オーベルジュと名乗り一見高級ラインを装ってはいるのですが、サービスレベルはそれに全く見合ってなく、一事が万事ちぐはぐです。いったいこの館内の何人がフランスのまともなオーベルジュに泊まったことがあるのかと問いたい。

料理は創作日本料理っぽい雰囲気であり、ワインの品揃えも少ないので、いわゆる温泉旅館と何が違うのだろう。ヘンにまわりくどいことをせず、「旅館 土佐山」でええんとちゃうの。「必要性」について何度も考えた滞在でした。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。