ザ スシ アンダーズ東京(the SUSHI)/虎ノ門

虎ノ門ヒルズ「アンダーズ 東京」52階にある「ザ スシ(the SUSHI)」。アンダーズには日本料理店が無く、唯一ジャパンを感じさせるレストランです。
ルーフトップバーに併設(?)された鮨屋という不思議なコンセプトであり、これぞ鮨屋という誂えながら、BGMはルーフトップバー側のクラブミュージック調で変な感じ。4人がけのカウンターが2台あり、それぞれのカウンターに職人が付きます。
鮨屋からバーのカクテルも注文できるし、バーから鮨も注文できるという面白いシステム。なのですが、飲み物については世界基準の値付けの高さですね。税サを含めればグラスのシャンパーニュは4千円近くを要し、ビールは1,500円、日本酒も徳利で2千円台が中心といった価格帯です。まあ、ホテルのドリンクとはこういうものである。
茹でたての空豆。ホッコリとした食感に青い香りが優しく立ち込め、人生で最も美味しい空豆だったかもしれません。
本マグロのお刺身に鳴門のワカメ。マグロが美味しいのは当然として、ワカメがべらぼうに旨いですねえ。徳島「びんび家」でのワカメ体験を惹起させる品質の高さです。
ホウボウ。あまり鮨屋で刺身として食べることは少ないですが、程よく脂を感じさせ、コクも楽しめる面白い個体でした。
ゲソのシンジョウ。上品なタコ焼きとも言えそうな味わいで、万人受けする美味しさです。
タコとその吸盤。このタコはドチャシコに美味しいですねえ。ムッキムキの食感ながら華やかに包丁が入っており、モグモグしっとりと楽しめる逸品です。
と、ここまでは良かったのですが、「ここからはにぎりに入ります」と高らかに宣言した割に、前のタコから次のにぎりの提供まで25分も待たされました。このあたり写真のタイムスタンプを確認しているので正確です。
異常なスロースピードの原因は隣客の来店(遅刻?)によるキャパ超えなのかもしれませんが、素人目にも仕事が遅く映り、どんくさくトークも冴えない。キッチンの奥でテンパってるならまだしも、ステージの上でオーバーヒートとはチーンです。
キンメダイ、アカムツ(ノドグロ)と美味しいタネが続くのですが、私の心はイライラぱんちだったので、このあたりあまり記憶がありません。
白イカ。清らかで美味しいのですが、先のタコに比べると陰に隠れてしまった印象。
ホタテは面白いスタイルでの提供で、海苔の磯の香りが心地よいアクセント。
アジも力強くメタリックな味わいで私好み。
アオヤギの小柱を軍艦で。ちょっと生臭みが残っていたので、これはかき揚げにでもして蕎麦と一緒に食べたかった。
中トロはドッシリと重厚な味わいで、これぞ鮨といった味覚です。
イクラも美味しいのですが、あまりにも上品すぎるポーションで食べた気がしない。ピンチョスみたいな位置づけなのかもしれません。
お椀は具沢山かつ奥行きのある味わいで美味しかった。
巻物はの長芋わさび漬け。ありそうでないタネであり、〆にシャクっと乙な味。
ラストの水菓子が素晴らしい。とりわけオレンジ(?)が絶品で、美味しいエキスが瑞々しく詰まっており、本日一番のお皿でした。

以上を食べ、酒抜き税サ込で1.5万円。ホテルの鮨屋としてはまあこんなもんかもしれませんが、とにかく仕事が遅くテンポが悪いことと、もしかして私はこの世に存在していないのではないかと心配になるほど職人が無口な点で、鮨は出るが鮨屋っぽくはないお店です。

雰囲気含めて外国人向けなのかな。アンダーズに滞在する外国人ビジネスマンが会社のお金でちょっと行ってパっと食べるには適していますが、普通の日本人が自腹で純粋に鮨を楽しみに行くには違う気がしました。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。