ナーン(Nahm)/シーロム(バンコク)


タイでビジネスを育む大学の先輩ならびに後輩と3人でのディナー。「ガガンかナーンに行きたい」とおねだりすると「アシスタントに手配してもらっとく」。みんな偉くなったなあ。
「ガガンは1ヶ月待ち」ということで、ナーン。World’s 50 Best Restaurants of 2017で28位、Asia's 50 Best Restaurantsで5位、今年発売のミシュランバンコク版の最有力候補です。
COMOというレストランのダイニングという位置づけであり、ホテル内部からも建物の外からもアクセスできます。気温さえ許せばテラス席が最高の雰囲気でしょう。

アラカルトメニューを手渡され、コースは無いのかと訊ねると、アラカルトメニューの各ジャンルから好きなものを選んでいくという、変則的プリフィックスコースでした。
ファーストバイトはパイナップルのスライスに味の濃い何かの塊がのった食べ物。料理下手な主婦の創作パーティ料理のようでイマイチ。
カナッペの盛り合わせが到着。スパイスとハーブの中に、カニ、エビ、魚、ホタテなどのを身をごちゃ混ぜにして生地で包むというのが基本的な構想。いずれも間違いなく美味しいのですが、味覚の方向性は全て同じに感じてしまいます。
スープはトムヤムクンを注文。これまでたべたトムヤムクンの中では極めて清澄な味わいであり、酸味が透き通るような優しさ。「うーん、それはちょっと創作的なトムヤムクンかもしれないなあ」と先輩。トムヤムクンにも色々あるようです。
グリーンマンゴーにグリルポークのサラダ。賑やかな味覚で実に旨い。清々しいほどのマンゴーの食感にコクのある豚肉。マイルドな辛さが食欲を刺激し、クセになる味わいです。
これはバナナだったっけなあ?もったりとした食感の揚げ物で、特に目立った味付けなどはなく印象に乏しい一品でした。
巨大なエビちゃん。中華系の甘辛い味わい。日本人の食べ慣れた味わいでしょう。チリチリのエシャロットとニンニクが風味に奥行きを持たせてくれます。本日一番のお皿であった。
こちらはエビとカニの身。ココナッツクリーム仕立てと聞いていたので甘く見ていたのですが、刺すような辛味に身悶えします。恐らく美味しいのでしょうが、ここまで辛いと舌がバカになってしまい何も判別することができない。
チキンカレー。店員に「辛いからコレはやめておけ」と説得されたのですが、「まあ、食べたいものを食べるのが一番じゃん?」と先輩から背中を押され勢いで注文。

地獄を見ました。身体中が火を拭くような辛さであり、吹き零れる汗をハンカチで都度拭っていたのですが、ついには絞れるんじゃないかと思えるほどのレベルです。これは料理ではなく暴力です。アルコールを飲んでも辛味が増幅されるだけであり、結果、水ばかりを飲む日本のオジサン3人。
グラニテ的な口直しにグリーンマンゴー。キラキラと輝くトッピングと共に食せばハイチュウ青リンゴ味のような食べ易い味覚が口の中に広がる、というわけではなく、どういうことかメチャクチャに辛い。店員に説明を求めると、このトッピングは砂糖と塩とチリだ、とニヤニヤいたずらっ子のように解説する。
毒を喰らわば皿まで。デザートは果敢にもドリアンを注文。覚悟はしていましたが、ここまで臭いとは思いませんでした。私だけならまだしも周りの客にまで迷惑をかけてしまい恐縮で凝縮してしまいそうです。

ドリアンはさておき、その下のもち米とソースも酷い。おはぎのようだと言えば聞こえが良いですが、ソースが練乳をさらに煮詰めたような濃度であり、頭が痛くなるほどの甘さです。

今回のバンコク滞在において、色んな意味で最も記憶に残ったレストランでした。お会計はひとりあたり12,000円とタイ料理としては破格の値付け。しかしお店の風格や雰囲気、サービスを考えれば妥当と言ったところ。World’s 50 Best Restaurantsを受賞するレストラン5万円超がザラということを考えると、中々リーズナブルな体験だと思います。
食後は互いのビジネスの近況について意見交換。先輩は200人ものローカルスタッフを束ねる立場であり、何だか直感的に凄いです。

後輩はコンサルティング関連の仕事であり、M&Aに関わることもしばしばとのこと。私が冴えない顔をしていたのか「ええと、M&Aっていうのはですねえ」とご丁寧に定義まで説明して下さいました。バカにしないでくれる!?知ってるわよそのくらい!!



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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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