元祖赤のれん 節ちゃんラーメン 天神本店/博多

博多は天神ド真ん中で営業する「元祖赤のれん 節ちゃんラーメン 天神本店」。場所はいくつか移転していますが、創業は戦後すぐという老舗も老舗。西麻布の「赤のれん」とは何か関係があるのかなあ。このあたりの系譜は全く把握していないので詳しいひと誰か。
メシドキには行列必至の人気店ですが、我々はタイミングよくスルっと入店できました。ボックス席とカウンター席があり、なんだかんだで50席近くはありそう。ラーメンだけ食べるもよし、一品料理と共に酒を飲むもよしと、老若男女様々な使い方でそれぞれ楽しんでいます。
スペシャリテの「ラーメン」。並は580円、大は680円という昭和価格。こってりドロドロしたスープにチャーシュー、メンマ、ネギという正攻法な設計です。思ったほど豚骨豚骨しておらず、かなり醤油の味も強い。ややもすると家系ラーメン的なニュアンスもあります。
麺が変わっていて麺食らいます。いわゆる博多のラーメンは極細ストレート麺がスタンダードナンバーですが、当店は極細で平麺。麺がある程度波をうっており、スープが良く絡みます。普通にオーダーすると柔らかめなので、硬麺原理主義な人は留意しましょう。
こちらは「ちゃんぽん」。先のラーメンのスープを土台に感じつつも、マイルドでクリーミーな印象。野菜がたっぷりなのが嬉しい。680円と昭和であり、リンガーハットの「野菜たっぷりちゃぽん」より安いというバグ。
ラーメンの麺とは異なりソフト麺的な太目タイプであり、ヤワヤワで私はそんな好きじゃないかも。初めて当店を訪れる場合は、やはり王道の「ラーメン」を注文すべきでしょう。
それにしても安い。これだけの都会で、このクオリティのラーメンが500円台で食べることができるのは素晴らしい。東京のもっと不味くて千円を超えるラーメン屋は反省するように。

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炎水(えんすい)/中目黒

アジアでトップクラスに有名な日本料理店「龍吟」で10年近く腕を磨き、副料理長まで務めた伊藤龍亮シェフが中目黒に「炎水(えんすい)」を開業。中目黒駅から徒歩5分ほどの住宅街、目黒学院の向かいという地味目な立地です。
店内はカウンターが8席に6席の個室。ゆとりのある設計であり厨房も広々。なのですが、シェフがあまり表に立たずキッチンにこもりがちなのが気になりました。せっかくスペースに余裕があるのに勿体ない。
酒は高い。グラスのシャンパーニュは税サ込で3千円であり、日本酒も1合2千円台のものがほとんど。前夜の「すし良月(あきら)」は酒が安くシュワッチできたことを考えるとテンサゲです。
まずは旬のハマグリの吸い物に炭火焼き。おおー、初っ端から旨味抜群歯ごたえ抜群。印象的な幕開けです。
続いて明石のイイダコ。丁寧に優しく炊かれ箱入り娘的に繊細な味わい。酒は進むのですが、前述の通りすげえ高いから気持ちよく飲めないのが悔やまれる。
煎りたて擂りたてのゴマをたっぷりに身にまとったフキとウド。香り良く美味しいのですがゴマはゴマであり、これだけで感動できるほど鋭敏な感性を私は持ち合わせていなかった。
指宿の鰹節に利尻昆布で取ったお出汁。タネはアイナメにウルイにミョウガ。アクセントに木の芽。やはり繊細な味わいでインパクトに欠ける面はありますが、アイナメがすげえ旨かったのでオッケイです。
お造りはトラフグ。伝統的な盛り付けも良いですが、当店の丸っこいプレゼンテーションも可愛らしいですね。中々の厚みで食べ応えもグッド。上質なアンキモを自家製のポン酢に溶いてフグを浸したその時、私は絶頂に達してしまったのです。
焼きの白子でトドメを刺されました。バリっと炙って外皮がムチりと固まり、対して中身はトロトロと魅力的な舌ざわり。
焼きふぐは2種の部位。ヒレ近くはマッチョで食べ応えがあり噛みしめるほどに旨味が流れ続けます。他方、後頭部のあたりはゼラチン質で官能的な味わい。
お口直しにたっぷりの大根と香草。まさにジャパニーズ・サラダといったあしらいであり、口元がスッキリします。
銚子のキンメダイはバリっと炭火で焼きましょう。何でも当店の名前の前半部は炭火を表しているらしく、店主は「龍吟」で焼き場を長く担当しただけあって屈指の出来栄え。紅芯大根もバリバリに焼いてしまうのも面白い。本日いちばんのお皿でした。
炊き合わせは筒状の器に串に刺さって出てきます。タネはウズラの卵にスジ(?)にアワビ。いうなれば史上最強のおでんであり、チビ太に感想を求めたいレベルです。
トラフグ再登板。今度はじっくりと揚げられ旨味が凝縮。黒七味を塗せば大人のケンタッキー・フライド・チキンであり、濃厚なクラフトビールあたりがばっちり合いそうです。
おや、もうライスが出てきました。フグにキンメダイにと見事な魚が続きましたが、やっぱり肉も食べたかったかな。ちなみに中央上の小皿は和牛のホホ肉の煮込みであり、きちんと美味しかっただけに主役級として食べられなかったことが悔やまれます。
炭水化物はもう一品、ふぐ雑炊です。これまでのフグ料理の集大成とも言うべき味わいであり、心温まるフィニッシュでした。
デザートのプリンは謎にキャビアの瓶に入って出てくるのですが、中身はどこにいったと問い詰めたい気分です。
デザート2品目はイチゴぜんざい。プレゼンテーションとしては面白いですが味わいは地味。見た目通りの味覚でした。
ケチって飲んでお会計は3.4万円。気前よく飲めば4~5万は余裕ということを考えると、銀座でもあるまいしちょっと高ぇよなあという印象。文句なしに美味しいですが、文句なしに高い。特に酒が高い。酒類にここまで残酷な価格設定ができるとは、恐らく店主はアルコールにあまり興味がないのかもしれません。

また化粧っ気たっぷりの「龍吟」の芸風とはまるで異なり、涙袋にヒアルだけといった地味目な調理も気になるところ。今夜は妙にフグ尽くしだったので、季節を変えて食材にバリエーションがあればまた印象は違うのかもしれません。しばらく様子見です。

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黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

シンプルズ(Simples)/静岡駅

静岡駅から徒歩で20分ほど。駿府城の西のお堀の脇にある「シンプルズ(Simples)」。「成生(なるせ)」や「温石(おんじゃく)」と共に「サスエ前田魚店」のお魚をガッチリ用いるお店です。
古民家をリノベした趣のある店内。玄関で靴を脱ぐスタイルなので、ややこしい靴は差し控えましょう。座席は居酒屋のカウンターのようで至ってカジュアル。接客が独特で、ホーンテッドマンションのように仰々しい小声で好みが分かれるかもしれません。
飲み物は千円を切る価格設定からで良心的。私はビールにグラスワインをいくつか頂きましたが、総支払金額から逆算するに、いずれも1杯千円程度だったはず。強気でガンガンと、いま飲みに行けるシンプルズです。
のどを潤し人心地つくとスピーディーに供される一品。アマダイのフリットなのですが、これが実に旨い。揚げたてサクサクなのはもちろんのこと、とろけるようなタイの甘味にケッパーソースの大人の酸味。出鼻で心を鷲掴みです。
続いてハマグリにアライグマ。え?アライグマ?なるほど確かにクマっぽい奥行きの濃い脂身です。それに負けじとハマグリにも存在感があり、謎にスパイシーなソースもべらぼうに旨い。ちょっとこの料理は食べたことがないなあ。独創性に溢れた感動すら覚える傑作です。
この写真からは見えませんが、底にヒラスズキが敷かれています。ピカピカに輝く透き通るような味わいながら、不思議と旨味も感じさせます。たっぷりと添えられた根菜も美味しく、美しい。
パンも噛みしめるほどにしみじみと旨いものであり、確かにパンとは穀物であったと思い起こさせてくれる深い味わいです。
ササっと手早く茹で上げられる冷製パスタ。麺の隙間に上手く組み込まれているのはフレッシュな白魚。程よい苦みにツルっとした喉越しがたまりません。調味もサッパリとしており、センスを感じる1皿です。
アマダイ。ウロコをバリっと立たせた印象的な食感。身そのものもムチムチと旨く、素材の美点を上手く引き出す調理です。ブロッコリーのソースも濃密で美味。
こちらはキンメダイ。グラデーションのある火入れであり、よく火が通った部位とレア目な部位の双方を楽しむことができます。ソースはカリフラワー。カリフラワーそのものの食感を残した濃密な味わいであり、大地を感じる味覚です。
鹿のレバー。シンプルにザっと火を入れ鉄分を楽しみます。野性味溢れつつも雑味は無く、フォアグラのようなコッテリ感も楽しめました。素朴な玉ねぎのソテーも程よい甘さ。
アワビのリゾット。ニンニクがきいておりしっかりとした調味。アワビの肝の濃密な風味を楽しみつつ、アワビそのものもたっぷりと入っており、何とも贅沢な炭水化物でした。
メインは鹿肉のハツとロース。お誕生日のようなプレゼンテーションが美しい。レバーに引き続き澄んだ味わいであり、一方で野趣にも溢れています。付け合わせのお野菜も素朴に旨い。

以上を食べ、ワインをグラスでそこそこ飲んでひとりあたり1.4万円ほど。都心であれば倍請求されてもおかしくはないほどの質および量です。何料理と区分はし辛い素材コンシャスな芸風であり、純粋に美味しい料理をたっぷり頂くことができます。親密な座席配置なので、親しいグルメ仲間と共に訪れましょう。オススメです。

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RAMA(レイマ)/白金台

白金、って言っていいのかなあ。恵比寿三丁目の交差点から白金台方面の路地に入ったところに開業した「RAMA(レイマ)」。「白金 酉玉 本館」とかあのへんの高架下あたりです。大きなガラス窓から漏れ出てくる灯りが印象的。
鉄板焼き屋のように弧を描くカウンターは8席のみ。全体として照明は暗めなのですが、お料理などの手元は明るく照らされているといった面白い照明設計です。

青木克大シェフはイタリアで腕を磨き、帰国後は都内のイタリアンの料理長を歴任。2019年秋に当店のシェフに就任しました。実際の調理は二番手に権限委譲し、ご自身は積極的にサービス役に徹しているのが印象的。
ワインリストはなくシェフと相談しながら飲み物を決めていきます。私が楽しんだのはいずれもグラスで1,500円前後であり、この立地この雰囲気のお店としては悪くない価格設定です。夜遅くはワインバーとしての使い方もアリでしょう。
まずは「アニョロッティ ダル プリン」。ピエモンテ州の餃子みたいな料理ですが、当店は肉ではなく魚介が詰め込まれているのが面白い。旨味が強く濃厚な魚介類の味わいが瞬で泡を乾かします。
エディブルフラワーたっぷりのサラダ。自家製のマヨネーズやチーズ、マカジキ節などナチュラルな旨味で味を調えます。いかにも身体の良さそうな一皿であり胃心地が良い。
自家製のミルクパンは優しい味わい。黙っていたら無限に食べれてしまいそうなほどです。
シイタケにサルシッチャ(ソーセージ)を詰め込み衣をつけて揚げたもの。これがメンチカツというかコロッケというか、実に親しみやすい味わいであり、この料理を美味しくないという人は地球上に存在しないでしょう。ポーションもしっかりしており食べ応え抜群。
パスタはタヤリン。手打ちの生麺に出汁やバター、チーズをたっぷりとかけ、トリュフの香りをふわり。食欲を呼び起こす香りであり、素朴な味わいながらも不思議とゴージャスさを感じさせる一皿です。
メインはラム。肉そのものは見ての通りの美味しさですが、フキノトウ香る白ワインソースの感性が素晴らしい。こういったセンスの良さは都会ならでは。長い長い沖縄滞在から帰ってきたばかりでの食事だったので、なおいっそう感じ入ってしまいました。
デザートはバニラアイスにドライトマト由来の醤油ソースがけ。なるほど「アイスにかけるしょうゆ」的な深みがあり、これがトマトでできているのかと思うと不思議な気分です。

以上を食べ、ワインをグラスで2杯飲んでひとりあたり9千円強。酒の項でも述べましたが、この立地この雰囲気のお店としては悪くない支払金額です。今回はショートコースでの提供だったので、次回はフルパワーのコース料理で、フルパワーの飲みっぷりで参りたいと思います。デートにピッタシやで。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。