Entier French Dining/バンサー(クアラルンプール)

クアラルンプールの高級住宅街「バンサー(Bangsar)」にあるホテル「Alila Bangsar Kuala Lumpur(アリラ バンサー クアラルンプール)」のメインダイニング「Entier French Dining」。何かのテレビ番組でマレーシア在住のGackt様も度々訪れるお店として紹介されていました。
ホテル41階にあるダイニングなので格式高いレストランを想像していたのですが、意外に若いゲストが多く、若い女の子同士が写真を撮り合っていたりと表参道「ラス(L'AS)」のような客層です。我々も遅い時間に予約ナシで訪れたのですが、快く窓際の席に通して頂けました。
殆どのゲストはアラカルトメニューから注文しているようですが、我々はラストオーダー間際に滑り込み、そこからフルコース&フルペアリングで注文。厨房近くの座席だったのですが「ワーオ!今からテイスティングメニューですよ!」「イエーイ!」「お前ら黙って仕事しろ!」と多少湧いた部分があり、スタッフ同士の仲の良さが滲み出ています。
ワインのペアリングは良心的で、乾杯のシャンパーニュに料理に合わせた4杯のワインもついて7-8千円。正直なところ料理とワインは深刻なミスマッチが生じておりボトルワインにすれば良かったと後悔。まあ、あまり酒に馴染みの無い国でもあるので、そのあたりは仕方がないのかもしれません。
アミューズから結構凝っていて、こちらはカキに、、、
カニとマンゴーを詰め込んだもの、キャビア、フォアグラとビーツを組み合わせたもの、オニオンにアンチョビと、これぞフランス料理といったスタートダッシュです。
前菜はウナギとアスパラガス。若干盛りつけはダサいですが、ビストロ料理と思って食べれば悪くない味わいです。
コーンブレッドは一見どデカいですが質量は軽く、味わいもフランクです。ソースをたっぷりつけて頂きます。
ホタテにザリガニ。ザリガニと聞くとギョっとする方が多いですが、フランス料理では割によく食べる食材であり、エビと甲乙つけがたい美味しさです。マッシュルームの土っぽさとザリガニの泥っぽさが面白いほど良く合う。
お魚料理はヒラメ。随分と気前よくキャビアが乗っており、これは本当にキャビアなのか不安になるほどの迫力です。ソースはオイスターの風味がつよつよで、海の幸の味覚に満ちたひと皿です。
お肉料理はラムを選択したのですが、これはイマイチですね。随分と脂身が多く野暮ったい味覚でありネガティブファクターが目立ちます。アラカルトで注文する場合は肉料理は割け、お魚中心で臨んだほうが良いかもしれません。
お口直しはルバーブのコンポートにイチゴのソルベなのですが、続くメインのデザートに方向性が似通っていて、振り返ると従属的な味覚に感じてしまいます。
メインのデザートはグァバにイチゴ主体。前述の通り先の皿とニュアンスがほぼ同じだったので、強く記憶に残るといったことはありませんでした。
お茶菓子もきちんとでます。冒頭のアミューズ軍団の活躍を踏まえると、こういった細かな作業が得意なお店なのかもしれません。
以上を食べ、ワインのペアリングを付けてお会計はひとりあたり3万円弱といったところ。東京の似たような雰囲気のお店で食べることを考えれば多少割安であり、言葉を抜きにすればマレーシアに居ることを全く忘れさせてくれるレストランです。

東京からの短期の旅行客はわざわざ訪れる必要はないかもしれませんが、長期滞在者や駐在員にとっては気分転換に良いように感じました。

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