シェ オリビエ (Chez Olivier)/市ヶ谷

市ヶ谷駅から歩いて10分ほど、麹町郵便局の裏手にある「シェ オリビエ (Chez Olivier)」。フランス人オーナーシェフが2009年にオープンしたフランス料理店で、ミシュランでは1ツ星を獲得しています。
店内は30席ほどで、バリっとクロスが張られていますが不思議とゲストを緊張させない居心地の良い空間です。客はフランス料理にうるさそうなマダムたちで占められており、またフランス人のゲストもチラホラ目立ち、この時点でこの店は良い店だと確信。

オリビエ・オドスシェフはボルドー生まれ。フランスの名店を渡り歩いたのち、有名料理学校「ル・コルドン・ブルー」の教授として来日。日本の水が合ったのか、2009年に市ヶ谷で開業する運びとなりました。
ワインリストはかなり分厚く、これだというものを探すのも一苦労。料理の内容を聞くと1本で通すのは難しそうだったので、ペアリングでお願いしました。3杯セットで6千円。中々たっぷり注いでくれます。
アミューズが凝っていて、作り置きというわけでなく我々の到着に合わせて生地の揚げにはいるという拘りようです。
カンパーニュやバゲットのほか、焼きたてのフォカッチャも供されます。仄かに塩気がきいてトマトの酸味も心地よく、パンというよりもツマミに近いひと品でした。
前菜は桜マスを選択。うっすらと火を入れて甘味を増し、心地よい旨味と共にワインが進みます。左にはズワイ蟹とクレソンのマスタード和えが並びオシャレな味わい。モダンフレンチらしいひと皿でした。
お魚料理はホウボウ。お魚を豪快にクマニンニクで包み、ニラっぽい風味が食欲を刺激します。ホウボウそのものもムッチリと食べ応えあり、底に敷かれたチョリソの塩気もアクセントとして素晴らしい。
メインは豚肉。これが豚肉かと驚くほど可愛らしいプレゼンテーションであり、ロゼ色に仕上がった肉そのものも実に美味しい。ソースにはレモンとショウガを用いており、どことなく豚肉の生姜焼きっぽいニュアンスも感じられ、美しくも取っつき易い、長澤まさみのようなひと皿でした。
デザートはチョコレート特集をチョイス。バナナのマーマレードを土台としてチョコレートのクリームやアイスクリームがギッシリ詰まっています。チュイル(外壁のパリパリ)にはクミンをきかせており、実にハイカラなデザートでした。
お茶菓子もきちんとしてて、このあたりやっぱフランス人だよなあと感服してしまう。食後のハーブティーと共に充実したひと時を過ごすことができました。
お食事のコースは6,800円で、ワインのペアリングが6千円、サービス料やら何やらでお会計はひとりあたり1.5万円弱。正真正銘のフランス料理を堪能してこの支払金額はお値打ち。綺麗と可愛いの両方を持った本物のモダンフレンチであり、このクオリティの食事が楽しめるのであれば、コロナと円安とサーチャージでフランス行けんくても別にええか、という気にさえなってしまいます。

港区あたりにあるチャランポランなフランス料理もどきの店が予約困難で、どうして当店のような本物が昼夜問わずいつでも予約が取れるのだろう。東京の消費者行動は謎である。もちろんこういうお店を発掘するのがフランス料理愛好家としての密かな楽しみでもあるのだけれど。

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