日本料理 研野(けんや)/聖護院(京都)

2021年にオープンして早々に予約困難店の仲間入りを果たした「日本料理 研野(けんや)」。左京区岡崎は聖護院エリアに位置し、人気居酒屋「嵐まる」のすぐ近くです(写真は公式ウェブサイトより)。カウンター7-8席のみの小さなお店であり、京都では珍しく17時オープン一斉スタートの2回転制です。
酒井研野シェフは料亭「菊乃井」で修業したのち姉妹店の「無碍山房 Salon de Muge」の立ち上げから厨房を預かったのち、ニューヨークの店舗や京都「LURRA°(ルーラ)」「京、静華」など異業種でも経験を積んだのち当店を開業。出身地の青森の日本酒はもちろんビールや郷土料理まで、青森愛に溢れています。
まずは胃袋を落ち着けましょうとおかゆから。鰹出汁で炊いたチンゲン菜に肉のエキスが溶け込んだ餡を流し込みます。いわゆる王道の日本料理からは外れた方向性ですが、「ラーメンやカレーなど日本人の生活に溶け込んだ料理も日本料理として再定義したい」とのことでした。
続いて長芋を寒天で固めた後にじゅんさいをトッピング。ヌルリとシャキリの食感のコンビネーションが心地よい。
京都のもち豚を八丁味噌に漬け込み、チャーシューとして仕上げました。付け合わせは万願寺とうがらしの焼き浸しにクミンで風味付けしたゴボウなど。美味しいのですが、ちょっと定食屋のオカズのようでもあり繊細さに欠けました。
カツオはポン酢のジュレで頂きます。ニンニクの風味やネギの花の風味など構成要素は多いのですが不思議とまとまりのある味覚。たっぷりの新玉ねぎも美味しい。
明石の鯛。日本一の鯛取扱商として有名な水口商店から取っているとのことで、なるほど文句なしの味覚です。鯛は鯛なのですが、不思議とエビやタコなど色んな海の味がする気がする。
お椀はスズキに湯葉豆腐。スズキの身が厚く特大ポーションであり、スープ料理というよりはお魚料理として位置付けても良いかもしれません。
おや、シュウマイだ。干し貝柱やエビ、シイタケの風味が強く、ニラ醤油で食べて間違いなく美味しいのですが、先のチャーシューと同様に流れからは少し浮いているような気がしました。
特大の鮎を塩焼きで。頭からバリっと加えこんでワイルドな味わいです。
ナスの揚げびたしに白ずいきとスナップエンドウ。ナスがいいですねえ。これまでの風味の強い料理に負けないパンチのある調味であり、ここに来て爽やかな日本酒の合うツマミとなりました。
お食事に入ります。まずは白ゴハンとそのお供に、、、
先のチャーシューの切れ端を用いたチャーシュー丼。エゴマの味噌漬けで脇を固めブルーチーズでアクセントを置くなどセンスの良い丼でした。
追い炭水化物としてラーメン。自家製手打ちの玉子麺に中華風のコンソメスープでフィニッシュです。
食後の甘味がハイクオリティで、存在感のある台湾のパイナップルにキウイ、せとか(ミカン)など濃厚な甘味と酸味をココナッツアイスクリームが全体の調和を取り持っていました。
日本料理店としては珍しくコーヒーで〆。ごちそうさまでした。

以上を食べ、それなりに飲んでお会計はひとりあたり2万円強。最近のいかれた価格設定の日本料理店とは一線を画し、実に良心的な支払金額に落ち着きました。そうだよなあ、みんながみんな花山椒とかウニとかキャビアとかマツタケとかカニを食べたいわけじゃないもんな。

一方で、冒頭の「再定義」の姿勢は理解できるものの、純粋な日本料理とはやはり違うので、好みは分かれるところでしょう。やるならやるで、どうせなら「龍吟(りゅうぎん)」ぐらい振り切ってしまって良いと思うのだけれど。

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