壱岐リトリート 海里村上(夕食)/勝本町(壱岐)

「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎 2019 特別版」において「5パビリオン(豪華で最高級の旅館)」として紹介された「壱岐リトリート 海里村上」。1泊2食付きでの滞在が基本であり、ディナータイムの時間がやってきました。夕日が自慢なのですが、当然に日差しがつよつよなので、気になる方は日焼け止めを塗ってから訪れましょう。
ホテルのダイニングなのでアルコールがめちゃんこ高い。ただ、地元の日本酒が小さなグラスで1,320円というのは明らかにやりすぎで、酒蔵にとってネガティブキャンペーンになっていそうな気がします。地酒に対する愛情や敬意が全く感じられませんでした。
気を取り直して前菜5種。いずれも美味しいのですが、もう少し量が欲しいですね。これだけのミニサイズだと味わいには物足りない。それでも卵黄の味噌漬けは中々の迫力を感じました。
壱岐名物のサザエを壺焼きで。海沿いの旅館で良く出てくるあの味わいです。
お造りが美味しい。ヨコワ・ヒラマサ・剣先イカ・アコヤ貝と地元の魚介が百花繚乱。とりわけヨコワの旨さが群を抜いており、羊で言うところのアニョードレ的な引力を感じました。
箸休めに梅紫蘇大根。3品目にしてコレが出てきたので、もう終わりが近いのかとドキドキしてしまいました。
クエの米麹焼き。どっしりと質量を感じる旨さがあり、それでいてフンワリとした食感も魅力的。米麹由来の調味もよく合っていて、日本酒が進む逸品です。
これまた名産の黒アワビ。しゃぶしゃぶと炭火焼きの2パターンで頂くのですが、これは料理というよりも材料であり、であればもっとジャーンとボリュームを持たせて地元やからお買い得なんやでぇ感を出して欲しかった。
お肉は壱岐牛をステーキで。こちらも美味しいのですが、黒アワビと同様に素材感が強すぎ、あまりにシンプルに感じました。シンプルが人を魅了するにはボリューム感も必要だというのが私の持論です。
〆のお食事も名産のウニというのは嬉しいのですが、実によそよそしい量です。「樺太食堂」とは言いませんが、名産というからにはドーンと大きく構えて欲しいところです。
水菓子のメロンの出自は存じ上げませんが、ちょっとびっくりするほど美味しかった。その驚きを含めて本日一番のお皿でした。
決して美味しくないわけではありませんが、「壱岐の高級旅館/ホテル」を自称し「ホンモノを追求した料理」と名乗る割に色々と中途半端に感じました。日本料理のように華やかな世界観は無く、かといって素材原理主義者的な思い切りの良さもなく、ゲストにどういう感動を与えたいのかの心の裡が見えない。

壱岐という僻地まで来て1泊10万円を払う客など放埒な生活を続けているに違いないのだから、その琴線に触れるにはもっと尖った何かが必要な気がしました。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。